VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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一方其の頃ペッパーは




猛る血脈よ、豪火の如く

シグモニア前線渓谷で地下駐屯地を作っているプレイヤー達に補給物資を届け、ツァーベリル帝宝晶(ていほうしょう)の大王冠に座する帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)達相手に激闘を繰り広げた一夜を越えた。

 

学業にバイトと復習に、夕食作りから食事とシャワーを浴びて、水分補給とトイレを済ませてシャンフロにログインから地下駐屯地のベッドルームで目を覚まし、帝晶双蠍の素材の一部を地下駐屯地に卸してパーティーメンバーを連れ、最初に向かうは地下都市ホルヴァルキン。

 

アイトゥイルのファストトラベルで到着から、ミダス28世より発生したユニークシナリオ【未開の坑道、未知を拓く】で樽爆弾作りに必要な、アーミュレット・ガルガンチュラのゼリーマテリアルを納品してシナリオをクリア。

 

報酬の『樽爆弾の製作レシピの写し』を貰い、次に向かったのは前線拠点の海上ギルド内鍛冶師組合『鐵打ち達の集い』、昨日ホルヴァルキンでアスカロン・リバース強化の為に必要な黄金のマグマを掬って納めた、皇金桶(おうごんとう)カイザーバケットがインベントリア内に入っている事を今一度確認し、扉を開いて中に入れば丁度別口の仕事を終えた彼女を発見。

 

「ル・ジニシィさん。アスカロン・リバースの強化に必要な黄金のマグマ、掬って来ましたよ」

「………まだ一日くらいしか経ってないってツッコミは野暮かい?」

 

皇帝陛下の遺産でビィラックが作った金色のバケツ、黄金の地脈を掬って納めた其れを慎重に取り出し置けば、ル・ジニシィ含めて鍛冶師プレイヤーにNPC達の目は丸くなる。

 

「…………此れがアスカロン製作の元になった、黄金のマグマ、か…………。いや本当に凄い(モン)だ。此の容器なら普通のマグマさえも掬える、作った奴はとんでもない腕の鍛冶師だよ………」

「えぇ、凄い鍛冶師ですよ」

 

まじまじとマグマが入ったバケツを見ながらも、ペッパーが続いて取り出したアスカロン・リバースを受け取ったル・ジニシィは代わりとして『二つの品』を取り出し、カウンター越しのペッパーの前に置いた。

 

一つはビィラックより始まり、サンラクを通じてイムロンも作り出せる様になったという、深海の王(アトランティクス・レプノルカ)の照鏡骨を基軸として魔法による現象の悉くを弾き返し、超過機構(イクシードチャージ)によって魔法の悉くを吸収・自らの強化(バフ)へ変える吸転換(コンバート)を内蔵した『甦機装(リ·レガシーウェポン):冥王の鏡盾(ディス・パテル)』。

 

もう一つは様々な骨に甲殻やらで継ぎ接ぎした見た目の、カイザーバケットの1.5倍程の大きさを持つ青み掛かった『水瓶』が二つ、どうやら此れがル・ジニシィがアスカロン・リバースの強化に必要な素材『冥府の深海の底に在りし王水』を持って来る為の器の様だ。

 

「機械関係が海水に弱い以上、地上で鍛冶をするのも中々慣れなかったが………。此処の鍛冶師達の力添えで、アンタの要望通りのモンをキッチリ作れたよ。此方が注文した冥王の鏡盾、そして此れが冥府の深海の底に在りし王水を汲み上げる水瓶、其の名を『宝淵瓶(ほうえんべい)アビスポット』って所かな。渡した量が量だっただけに二つ作れちまったよ」

 

耐久値はカイザーバケットよりも低いが、其れでも三分の二に迫る程で有りつつ、深海三強と不世出個体の素材を使い作られた事からか、搭載された能力に『水圧による耐久値減少:完全無効』が付与されていた。

 

「おぉ………!」

「属性を搭載した武具を鍛冶師が手を加える場合、其の属性に応じた素材が要る。土に関わる武器は鉱石や黄金のマグマの様な、水に関わる武器なら澄み切った綺麗な水に冥府の深海の底に在りし王水の様な物がな。…………まぁアンタなら其の内、世界を走ったり飛んだりして風や炎に雷やらの素材を採って、アタシや他の鍛冶師の所に持って来そうな気配しかしないけどさ」

「あはは…………」

「まぁ、ペッパーはんならやりそうなのさ」

「そうだね、ペッパーさんならやってそうだ」

『グルルルルルル…………!』

 

やるかやらないかと聞かれたら、其の内『絶対にやっているのがペッパー』という事を理解しているのか、ヤレヤレな表情で首を横に振ったル・ジニシィ達に対し、ノワが『お前等はペッパーの何なんだ???』と言わんばかりに喉を鳴らして威嚇していた。

 

ギスギスにならぬ様にペッパーが全員を思いっ切り撫で撫でしまくって落ち着かせれば、ノワは足首に尻尾を巻き付けて身体を擦り当て始め。一先ずアビスポットと彼女謹製の冥王の鏡盾をインベントリアに入れれば、多くのプレイヤー達が周りに集まり此方を見ていて。

 

「あの~、ペッパーさん。姐御が作った宝淵瓶アビスポットのスクショ撮りたいんですが…………」

「オレ鍛冶師なんですけど、シグモニア前線渓谷(フロントライン)にファストトラベルから、其処に生息してる帝晶双蠍の素材を採って来れるのマジすか?」

「ジークヴルムとの決戦前にウェポニア含めた、鍛冶師達に素材渡して大規模コンペしたってフレンドから聞いたんですけど、またやらないんですか!?参加希望です!」

 

スクショや質問を求める声の数々に、ペッパーは律儀に解り易い解説と対応を行う最中、ル・ジニシィから『三日後にアスカロンを取りに来な』と言われた。其の後も幾つかのスクショ希望や質問やらに答え、鐵打ち達の集いより出てディアレの持つ【座標移動門(テレポートゲート)】を以てラビッツへ帰還。

 

休憩室にてセーブを行いリスポーン地点の更新から、アイトゥイル・ディアレ・ノワを待機させて、装備をマクティスシリーズ一式と深海三強の神器含めた深海用アクセサリーに変更後、今一度ファストトラベルで前線拠点に戻った勢い其のままに海岸線より海の中へ飛び込んだ。

 

深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)で海中を蹴り飛び、霊眼(れいがん)残影(ざんえい)で海中を潜水艦のサーチライトの如く見定め、海道中で遭遇する海洋系モンスター達をマクティスシリーズから漏れ出す深海の王の気配と、リュカオーンが刻み付けた寵愛の証たる愛呪(あいじゅ)権能(ちから)で追い払い、其の身は凄まじい勢いで深海を目指して突き進む。

 

(深海で王水を採ったら、インベントリアで装備解除から水圧で潰れてリスポーン。明日は水晶巣崖(すいしょうそうがい)水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)の素材を獲得からビィラックさんに帝晶双蠍の素材共々渡し、出来上がってるだろうカイザーバケットで黄金のマグマを掬い、宝鍠趙弩剣(シャガル=ニュア)皇金剣(アンティアレス)の片方の製作を御願いする…………!うん、ちゃんと達成目標と其の為の道筋が見えてるぞ、俺ッ…………!)

 

ペッパーというプレイヤーは其のゲーム内で掲げた最大の目標とは別に、其の都度毎に達成可能な目標を設定し、高い集中力とモチベーションを維持する事で凄まじい記録を叩き出してきた。

 

そしてゲームをする時に抱く、今も変わらぬ信念は彼の背中を押し、其の身と心に滾る力を以て、深海の奥の奥底の深海深層へと。

 

リヴァイアサンのアンロックファイルや、ベヒーモスのデータベースを調べて判明した『雷輝の冥王』と呼ばれ、全てのモンスターの中でも『断トツの危険度』を誇る、絶対と絶大なる覇者『アトランティクス・レプノルカ"三位一体(トリニティ)"』が居る場所へ、恐れる事も無く進んで行くのである………。

 

 

 






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