進め、進め、進め
暗闇を蹴り、全身に纏わり付く海水の手達を振り払い、ペッパーが海の底を目指して進む。
其の身は単身で浅瀬と中層に漸深層を越え、海道中で出遭ったモンスター達を装備と
(リュカオーンの愛呪様々だな………。いや確かに様々なんだが、制約やら色々付いてる分を差し引いても、どうにもプラスに働いてるのが否めないというか………)
ヴァイスアッシュによるとリュカオーンの
逆に愛呪はリュカオーンの呪いが寵愛の証に変化して
此のフレーバーテキスト外効果によって、ペッパーは灼骨砕身の相殺効果を一日一回と限定せざるを得なくなり、其の約束をノワ相手に何とか納得させるのにも苦心させられ、此れを万が一にも破れば『絶対にヤバい事が起きる』と確信している程度には、愛呪という存在はシャンフロをプレイする時に常に頭の片隅に居座っているのだ。
(リュカオーン本体倒したら愛呪はどうなるんだ?
其れは其れで『絶対に面倒な事になる』と脳裏に過ったのと、思考を回し続けていると坩堝に嵌って抜け出せなくなりそうなので、一回区切って後々其の場面が来た時に備えておく。
遠くを泳ぐアルクトゥス・レガレクスの群れや、ノコギリザメな見た目をしたシャーシルソーク・ウェルフェンダにフルボッコにされているにも関わらず、甲殻に一切の傷が付かない状態で何処吹く風の様子で返り討ちにするキリューシャン・スフュールの成体、大陸棚の海底でのっそのっそと歩きながら背中で生命を育み育てるアーコリウム・ハーミット等々、地上世界とは全く異なる生態系を構築する海中世界を進んで行き───────
(二度目の到着、か…………)
最大潜水を獲った時以来の、深海から深層深海に続く境界線たる光が下から射し込む海溝に辿り着き、すかさずインベントリアに【
再来した深く蒼き清浄なる海の底、淡く蒼白き静か過ぎる世界の中に唯一人で辿り着いた男は、再びインベントリアに入って装備群を脱ぎ外してインナー状態になった後、現実世界へと戻ってアビスポットを両手に持って深層深海に満ちる水を満タンになるまで収めていく。
(片方はアスカロン・リバース強化に繋げて、もう片方は何かに使えるんだろうけど、果たして何に使えるのやら………)
ル・ジニシィは『属性武器の強化には属性其の物が必要であり、採取には其れに対応した器や道具が必要不可欠だ』と言った。
黄金の地脈と呼ばれし土属性の極上素材、或いは星の願いの凝固たる黄金のマグマは
冥府の深海の底に在りし王水と言う水属性の極上素材、其の実態はアトランティクス・レプノルカ"
そうなると風と火を採る為の器や容器も気になる所で有るのと、以前ラビッツのユニークシナリオの実戦的訓練でレーザーカジキが一体目として戦っていた、火・水・風・土の四属性を纏った精霊『クインタ・エレメンツ』に、ユニーク小鎚三兄弟の中でもクインタ・エレメンツと同じ属性を宿した『エレメオールブレイカー』の真化か神化に関わる
アクセサリー群も全て外した無装備状態になった後、格納空間から現実空間に戻った直後に水圧によって全身がメシャっとなり、僅か一秒で体力が全損して死亡したのであった………。
「あ、ペッパーはんが戻って来たのさ」
「其の様子だと件の物品は無事入手出来た様だね」
『ワンッ!』
リスポーンポイントをラビッツの休憩室に設定し直していた事で、深層深海での水圧による圧死より戻って来たペッパーは、待機していたアイトゥイル・ディアレ・ノワに迎えられた。
「やぁ、皆。目的の品は手に入った、ヒトミさん」
「了解した、
装備とアクセサリーを着直す中、インベントリアからル・ジニシィ謹製のアビスポットと共にヒトミが出て来て、二つ在る内の片方を皆の前に置く。
水瓶に収まった無色透明な液体の見た目をした王水は、魔法に関する技を習得しているアイトゥイルと、純魔法職ながら前線を張るディアレに見て貰い、二人の意見を聞いてみた所…………
「とっても綺麗な水なのさ。高純度のマナが循環して出来たコレで酒を造ったら、絶対に『凄い物が出来そうな予感がする』さね」
「魔法触媒としてもポーションの元にしても、素材となる水質が影響していると聞いた事が有るが………。魔法職の立場の私をして、此れは『ある種の極限を突き詰めた様な物』だよ」
『グルルン』
…………との回答を得られた。
水属性搭載武器の強化だけで無く、飲み物やポーション等の様々な用途に用いる事が出来る様で、ラビッツ防衛戦でも衛生兵が居たので『薬剤師関係のヴォーパルバニー』が兎御殿内に居ないかと考えつつ、一度ビィラックにも此の王水を見て見解を貰うと決め手、彼女の鍛冶場へと向かったのである………。
有識者の意見は多い方が良い