約束を果たすにも順番が有る
サイガ-100から届いた、夜襲のリュカオーン(影)の討伐協力要請を乗せた
本日はバイト及び講義が何方も無い久方振りの一日フリーであり、同時に今日の夜十時にシャンフロで影狼討伐作戦が決行される日で有るが、協力要請を受けたペッパーこと
「…………よしよし。何とか挙動のコツと性能把握に漕ぎ着けられたぜ」
シャンフロにてルスト&モルドと約束した、複腕か複脚のネフィリムを作って対戦を成し遂げる為、最近のアップデートで新規追加されたネフィリムを捕獲からパーツや武装を吟味して着せ替え、こうして一つの形と成って降臨したホットペッパーの新たな機体。
見た目は『白を基調としたカラーリングに副腕二対を二つとバックパックを背負った、六本腕と二脚合わせて合計八本脚のタランチュラを擬人化から、人型兵器に落とし込んだ姿をしつつ、手と爪先はローラー形状のタイヤの意匠を持つ』という、地上戦高機動型をコンセプトに置いたネフィリムと言える物。
「時間は掛かったが、グリゴリの解体も出来た。名前は………
名付けの後、手頃な相手を見付けて挑戦状を叩き付ければ、ホットペッパーの新機体と見抜いてか即座に返信が届いて数秒後にはバトルスタート。
相手の機体は特徴的な巨大実体盾の配置から『ギガノトフォートレスをベースにしたネフィリム』と一見時に印象を抱くが、実体盾の形状に違和感を抱いて記憶の図書館に在るネフホロ区画を調べれば、エネルギーを代償に複数のパーツへ分離・突撃槍の役割を兼用出来る『カッションシールド』なるオールレンジ武装だったのをサルベージした。
(ギガノトフォートレスが通常状態があまり動くのを得意としてない点を、カッションシールドで牽制しながら武器を作成。アーマーパージからスピードタイプに移行してもカッションシールドがデッドウェイトにならない利点を突き詰めたタイプか。良い勉強になるし、今度カッションシールドも試してみよう)
「うん、だろうね。
威剣刃の脚であり腕の役割を担う『デュアリンク・ユニット』は、八月頃のアップデートにて追加された『偽装双脚』に通ずる物を持ち、足とマニピュレーターを一つのユニット内に
そして此のウィールスマッシャーはマニピュレーターであると同時にタイヤの役目を担う事が出来るユニークさは有れど、デュアリンク・ユニット登場まで変わったパーツ程度の認識しか持たれていなかった…………『此の瞬間までは』。
「今──────!」
直後に威剣刃の体勢が四足歩行ゾンビめいた物から、四腕四脚の『ケンタウロス体勢』へと移行し、副腕二つのウィールスマッシャーがショットガンを側面から殴り砕き、四脚のウィールスマッシャーによる馬力がギガノトフォートレスカスタムの敵機を押し込み、自重によって体勢を崩す。
突発的な体型や形態変更………ロボットゲームやロボット物作品では基本中の基本とも言える要素であり、其れを可能にしたのが『デュアルフレームを搭載した新型ネフィリム』の登場だった。
変形による形態移行でエネルギーを馬鹿食いするという、対戦環境では多用すれば直ぐにガス欠不可避のリスクを踏まえても、ホットペッパーが此れを選んだ理由はデュアリンク・ユニットとウィールスマッシャーのシナジーによって、此処に『全領域対応並びに変速挙動可能ネフィリム』として完成に至り。
そして勢い其のまま、重力の補強を乗せた残り二腕によるダブルナックルで、御世辞にも頑丈とは言い難いギガノトフォートレス本体の胸部と頭部を、振り下ろしとアッパーカットのダブルアタックで削り砕いて、四脚のウィールスマッシャーで即座に後方離脱を果たした瞬間に敵機が爆発し、此処に勝者が決定したのである…………。
あれから数人の挑戦者を威剣刃で屠り、一旦昼休憩の為にログアウトから醤油と胡椒で味付けした、野菜マシマシ(ピーマン玉葱人参もやしの微塵切り)に万能葱をトッピングと梅干しの粗刻みを隠し味に添えた、和風炒飯を作って食べ終えて。
食後に白湯を一杯飲んで暫く休んだ後、調理器具に食器を洗って元の場所に戻し、炊飯器で白米と玄米を合わせた御飯を炊き、トイレを済ませて再びネフホロへログインすればホットペッパーが新機体を引っ提げて来た噂から、沢山のプレイヤー達がやって来ていた。
世界的なゲーム祭典に大々宣伝した張本人、更に名が知れたレトロゲーマーながら世界的な神ゲーのシャングリラ・フロンティアで指折りの有名人に、続編ナンバリング追加が加わった結果だろうが其れにしても多い。
「よっしゃ、やるか………!」
叩き付けられた挑戦状達を一つ一つ整理し、格納庫に置かれた威剣刃に武装を備え付け、挑戦者達を迎え撃つ。気分はチャレンジャーを待ち受けるチャンピオン、されど何時だって忘れぬは己が挑戦者であるとの心意気ッ!
ウィールスマッシャーが唸りを上げて廃墟の街を疾走し、サンラクがネフホロ界隈に旋風を巻き起こしたカワセミビルド似の機体を、威剣刃は捕捉する。
空中戦を主眼に置いてる訳では無い威剣刃にとって、空中を逃げ回ってチクチク狙撃されるだけでも脅威なのは間違い無く、ワイヤーショットによる緊急回避手段有りとは言えど、其れが何回も通じるともホットペッパーは考えていない。
「だからこそ威剣刃は、オプションパーツでのカスタマイズ性を持たせられる様に作ったからな!」
今回装備したのは排熱転換ブレード【
副腕四つを脚として機能させた六速ならぬ六足で相手の三連装ミサイルを抜き去り、滑る様な挙動で廃墟のビルを駆け上がりから五足に変えてのワイヤーショットを放てば、敵機が真正面から飛んで来る其れを物理ブレード【
カワセミビルドは速度特化の都合上、装甲は紙耐久で一箇所でも損傷すれば機動力は大幅ダウン、そしてフルスロットルで稼働すれば三分間しかエネルギーが持たないという欠陥を抱えたアセンブルだが、其の欠陥構築を差し引いても最速到達兵装を軽々と抜き去る高い機動力と、重装甲ビルドを貫く大火力を両立したロマン溢れるビルドだ。
其れ故に何かを尖らせる事は当然何処かを削るに等しく、ゲームに於いての万能とは良く言えばオールラウンダーの悪く言えば器用貧乏と同じ、其処に如何にして独自性を持たせるかもプレイヤーにゲーマーの腕の見せ所だろう。
「チェックメイト」
レールガンを被弾させた時点から『此の結末が見えていた』ホットペッパーは、迷い無く引金を引いて砲弾を敵機にブチ当てる。
頭部を破壊されて錐揉み回転しながらも、最後まで諦めないとブーメランじみた自爆特攻の一手に敬意を払って、六腕形態に移行からのウィールスマッシャー六連撃で殴り砕き、ホットペッパーと威剣刃は勝利を収めた。
其処から立て続けに襲い掛かる挑戦者達を相手に戦い、時に苦戦を強いられながらも勝機を手繰り寄せ、勝利を掴み取っていったホットペッパーは遂に『此の時』を迎える。
『約束果たしてくれた事、感謝するよ。ホットペッパー』
「此方こそ。………まさか『同型』で来るとは予想外だったけど」
『ルストが「ホットペッパーと戦うなら同型作って上回る」って譲らなくてね………御陰で此方も
「成程、ならば此方も
ルスト&モルドの青春コンビの参戦、対ホットペッパー用のカスタマイズをしたのだろうネフィリムが、まさか威剣刃と同じデュアリンク・ユニットにウィールスマッシャー、デュアリンク・フレームを採用した威剣刃のコンセプトを
此の二人の息の合ったコンビネーションは、思考深度の
『
システムアナウンスと開幕のブザーが鳴りて、複腕を抱えた機人達が戦場にて舞い踊った。
自由自在に踊る機体
ホットペッパーが構築した新型ネフィリムで、ルスト&モルドとのシャンフロでの約束を果たす為に開発した。
メインとなる四肢と四本のサブアームからなり、腕及び脚としても機能する『デュアリンク・ユニット』と、手がタイヤとして回転して機動力と近接戦の破壊力を上げる『輪回転型マニピュレーター【ウィールスマッシャー】』が組み込まれ、背面のアームや四肢を駆動させて地面を走り、状況に応じて二から八脚、或いは二から八腕で変速移動を行う。
其々のデュアリンク・ユニットにはワイヤーショットが組み込まれ、建物や残骸に打ち込んで巻き直す事で緊急回避や跳躍に移動、他にも敵の拘束に用いる等々の汎用性を持たせつつ、オプションパーツによる拡張性も視野に入れたデザインをしている。
また本機最大の特徴として、直近のアップデートによって追加された『デュアリンク・フレーム搭載ネフィリム』を採用、頭の位置を上下反転させて切り替える事による超至近距離緊急回避や、六脚移動から六腕近接に突発的に戦闘タイプを変えるという、ホットペッパーの潤沢なアイデアと多腕多脚の戦闘経験で培われた技術が詰まった機体である。
見た目は王様戦隊 キングオージャーの二号ロボ『タランチュラナイト』+デュエル・マスターズのドリームレア『轟く邪道 レッドゾーン』+コードギアス 亡国のアキトの主役機『アレクサンダ』の要素を掛け算して三で割った状態に、仮面ライダーギーツのデザイアドライバーのメインギミック『