VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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次にやる事は




黒き夜に灯火を照らし 其の二

威剣刃(イツルギ)拳堅伏耀(ケンケンフクヨウ)の対戦は遠距離武装による扱いでルスト&モルドが上を行っていたが、圧倒的な複腕複脚による戦闘経験値と技術を持つホットペッパーが近接戦闘領域まで接近し、遠距離武装を破壊した事で五分に戻り。

 

最後は互いに銃火器をかなぐり捨てた、ウィールスマッシャーによる近距離のラッシュ対決に縺れ込んだ果て、紙一重の差で上下反転による回避に間に合った威剣刃のアッパーカットが拳堅伏耀の胴体と胸部を抉り削ってブッ飛ばした事で決着した。

 

僅差で負けた事が余程悔しかったのか、ルストが『もう一回ッ!』と言ってネフホロに引き留めんとした物の、ホットペッパーも『此方もシャンフロで大切な予定が有るからゴメンね』とやんわり断って、ネフホロよりログアウト。

 

早めの夕食として昼に新しく炊いた白米と玄米合わせの御飯・大根と油揚げの味噌汁・鮭の塩焼き・人参と胡瓜の浅漬け・梅干しからなる和風定食を作り、大根の葉と皮はしっかり洗って漬物やざく切りにして別の料理に使う為、容器に入れて冷蔵庫に保管。

 

食後に食器を洗って片し、シャワーを浴びて水分補給にトイレを挟み、シャンフロへとログインしラビッツからホルヴァルキンにファストトラベル後、都市最奥部の地下神殿で皇金桶(おうごんとう)カイザーバケットを用いて黄金のマグマを掬い上げ、再びファストトラベルでエイドルトに飛んでから水晶巣崖(すいしょうそうがい)に突撃。

 

宝鍠趙弩剣(シャガル=ニュア)製作に必須の水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)達を狩って、其の過程で水晶巣崖に在る宝石塔を蹴り砕いて圧し折り、金晶独蠍(ゴールディ·スコーピオン)の出現による混乱に乗じて水晶群蠍と共闘したりと、殺意の荒波の中に揉まれど順応しつつ偏食個体を討伐すれば、大親分の水晶群老蠍(エルダー·クリスタル·スコーピオン)の出撃に追われながらも、ペッパーは殺意の煌めきと地雷原の戦場より生きて脱出に成功。

 

エイドルトにて待機していたアイトゥイルとディアレと共にラビッツに帰還後、ビィラックに黄金のマグマ・帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)・水晶群蠍の素材とマーニを渡して宝鍠趙弩剣の新造を依頼した…………が、イムロンが物凄い視線で此方を見ていたので仕方無しと、彼は水晶群蠍・金晶独蠍・水晶巣崖の宝石塔で『イムロン製の煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)を見てみたい』と素材を渡し、取り敢えず納得して貰った。

 

伝書鳥(メールバード)でサイガ-100に本日の作戦ポイントの決行地を教わり、回復アイテムや使い捨て魔術媒体(マジックスクロール)【マジック・トーチ】の本数に武器耐久値ねは確認を終え、パーティーメンバーをラビッツに待機からイレベンタルにファストトラベル。

 

ポイントが有るイレベンタルとフィフティシアの間のエリア・無果落耀(むからくよう)古城骸(こじょうがい)の指定地点に向かえば…………

 

 

「やぁやぁ、()()あーくん。影狼討伐のアシスタントするみたいだから、私も来ちゃった」

 

 

黒剣(シュバルツシルト)団長(リーダー)で剣の勇者武器(ウィッシュド·ウェポン)・聖剣エクスカリバーの持ち主サイガ-100に、副団長(サブリーダー)で弓の勇者武器所持者の草餅(くさもち)

 

パワー is ジャスティスの極みを信条にしながら巨人族(ギガント)改宗(コンバージョン)した事で更に圧が増したマッシブダイナマイトに、サイガ-100と真正面から戦って総合戦績で引き分ける実力と、現在は黒剣の実働部隊隊長に就いた廃人プレイヤーのムラクモ。

 

他にも双狼戦争の談合前に訪れた黒狼館で見た双子のプレイヤーを初め、元穏健派で実力も上から数えた方が早い粒揃いの精鋭達と、何故かペンシルゴンが一緒に居たのだ。

 

「因みに位置が解った理由を聞いても?」

「アルトランティア遠征であーくん、ヒトミちゃんにニーナちゃんと連絡取れる様にしてたじゃん?其の御陰でそっちの状況把握出来たのだよん♪」

「あ〜………そりゃそうなるか………」

 

いざという時の緊急連絡手段をペンシルゴンが悪用すればそうなるとの実例を、まざまざと見せられ付けられる形になった中で「コホン」という咳込みが、漂う空気に風穴を空けて注目が集まった状況からサイガ-100の口を開く。

 

「改めてペッパー君には感謝を。時間は相応に掛かってしまったが、こうして万全の状態で影狼討伐戦に持ち込む事が出来た」

「メインはサイガ-100さん達黒剣、俺は補助に徹するのみです。其れから一応此れを貸しておきます」

 

対リュカオーンに有効な、アトランティクス・レプノルカの素材で真化した傑剣との憧焉終刃(エスカ=ヴァラッハ)を一時的に彼女へと貸し、言うが早いかペッパーが取り出すは星帝剣(せいていけん)グランシャリオ、鞘を右手で握り締めてリュカオーンの愛呪(あいじゅ)による装備不可の誓約を一時的に解除から、柄を持ち鞘から抜剣。

 

七つの穴に三つの宝玉を納めた剣身が現れ、空いた片手で一つずつ宝玉を外し、残り一個になった状態から黒剣の面々を見て。

 

「…………覚悟は良いですね?リュカオーンを呼び込む以上、俺達はもう後戻りは出来ません」

「無論だ。其の為に準備をして、其の為に鍛えて来たのだから。そうだろう、皆」

『『『『応ッ!!!!!』』』』

「…………其の覚悟に、覚悟を以て応えましょう」

 

最後の一つを取り外した瞬間、嘗てリュカオーンの光を奪った事でベッタリと()いた気配が、宝玉によって抑えられていた枷を外された事で一挙に吹き出し、此の場に居る者達の目には『グランシャリオの鋒や刃先から黒炎を放ち、夜の闇を更に濃く深みを与えている』…………そんな風に見えて。

 

直後、近辺に放置された瓦礫のオブジェクトに質量を持った『重み』と、四足歩行の生物が高所から着地するのと『同じ音』が響き、全員が其の方角を向く中でペッパーは一人、グランシャリオを右手に握り締める。

 

「サイガはんから聞いっとった、リュカオーンを誘き寄せる得物ってのはホンマやった訳かいな………」

「ポルターガイスト存在らしいから、自分の魔法弓に団長の固有魔法で何とかなるか………」

「うふふ〜………腕が鳴るわぁ………!」

 

黒剣面々が武器を構え、視界の先の鉄屑の山の頂で狼特有の唸り声と向き合えば、暗闇に黄金の双眼は浮かび、闇が固まり、其の身姿を『狼』の物へと変えていく。

 

「やぁ、リュカオーン。今回の主役は彼女達の俺はあくまでも補助の立場…………とは言え、俺はお前を相手に手を抜く手緩い真似はしないし、全力でぶん殴るから──────よろしくな?」

『グルルルルルルルル………!』

 

 

 

 

 

『ユニークモンスター』

 

『夜襲のリュカオーンに遭遇しました』

 

 

 

 

 

 

不敵な笑みと共にペッパーが封熱と封雲の撃鉄達を鳴らし叩き付け、左手に聖盾イーディスと雲の両手に光帝の籠手(サナラ・ブリル)を握り、現れし影狼に視線を向ければシステムウィンドウが表示され。

 

ペンシルゴンにとっては二回目、ペッパーにとっては三回目、サイガ-100にとっては幾度目ともなる夜襲のリュカオーンの影との戦が幕を明けた。

 

 






いざ、影狼狩り


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