VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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其れを見て何を思う、Part1




黒き夜に灯火を照らし 其の四

「全く…………()()あーくんは相変わらず、目を離すと驚く事を一杯やるなぁ〜………」

 

変形合体分離の弩弓剣(アーチブレイド)に後付け刃生成の片手剣を合体させた直後、バキバキバキッ!と音を立てながら一本の巨大な黄金大剣に姿を変える様を見て、ペンシルゴンは感嘆の声を溢す。

 

シャンフロで十中八九起きるだろう、現王政と先王政による王権を巡って壮大な『身内争い』にプレイヤー達が否応無しに巻き込まれるだろう世界の物語(ワールドストーリー)の進行に備え、先王陣営に付いたサードレマ大公に取り入り。

 

アレコレ策謀を巡らながら別の世界(ゲーム)知り合い(手下)達も呼び込んで、ペンシルゴンはコツコツと来たる盛大な打ち上げ花火に備えた下拵えを進め。

 

そうして数段階在る準備の中の一つの目処が立った所でリリエル=ニーナ(217)から舞い込んだ、黒剣の影狼討伐戦にペッパーが以前の談合で約束した協力を聞いて駆け付けた訳だが、最近シャンフロの掲示板でも随分な暴れっぷりでプレイヤー達の脳を焼き焦がし、少し目を離してから実際に見た事で彼女自身もまた、彼等彼女等が脳を焼かれて炙られた感覚を少なからず味わう事になった。

 

「掲示板で見た皇金世代(ゴールデンエイジ)の聖剣と鋏由来の武器、此れはモモちゃんやムラクモちゃんが欲しがりそうな武器だよねぇ………はぁ〜………」

 

一つの武器で多数の武器種になる武器と、食らった鉱物によって異なる刃を産み出す武器。煌びやかな蠍達の皇帝が遺した遺産を、鍛冶師が作りて形にした業物達の絶大なる威光は、夜と闇を纏った狼王すらも塗り潰さん勢いで輝きを増している。

 

(討伐戦終わったら先ず絶対に『オハナシ』するのは確定として、黒剣含めた他連盟クランとの取引材料になりそうなら釘を刺すのは当然の、後は最近あーくんが育ててるジニシィちゃんが色々物作りしたのを受け取ってたり、シグモニア前線渓谷の地下駐屯地にランドマークを付けたらしいから、其れについても聞き出したり…………。やれやれ、まるで留まる事を知らないなぁ…………)

 

我が恋人ながらプレイするゲームの先々で、一波乱やら二波乱やらを巻き起こしては誰かの脳を焼き焦がし、夜空の中心で煌々と輝く北極星の如く万人の記憶へ、己という存在を深く刻み付けて忘れたくても忘れられぬ状態にする所業は、ペンシルゴンをしても『イカれている』との認識を持つ。

 

そんな彼を好きになり、自分の本性所か本質すらも受け入れ、契りを結んで身体すらも重ねた間柄となった彼女は、同じく彼との関係を享受する側となったサイガ-100を一瞬見た後、今の自分がやるべき事は『本気の彼の全力全開を少しでも支える事』に答えが行き着く。

 

「何時かは来る、リュカオーンの本体との戦い………。あの子が影とは言え、今の私が何処まで通用するか──────試金石として試してみよう」

 

アーサー・ペンシルゴンというプレイヤーは、最後に待つ『最高のアガリ』を得る為ならば、努力と準備を怠る事は決して無い。

 

あるプレイヤーは彼女のスタイルを『魔王』と呼び、あるプレイヤーは彼女のやり方を『花火職人』と呼び、そして多くのシャンフロプレイヤー達は『廃人狩り』と恐れ、経営や運営手腕は時間を掛ければ掛ける程に其の脅威度を増していく。

 

其れは何れ、己の恋人(ペッパー)己の悪友(サイガ-100)ゲーム仲間(サンラク)がリュカオーンに挑む時が来たならば、火力以上に撃破に関わる『サポート』として貢献する事が、自分という存在の立ち回りをより良く理解している彼女の至った『答えの一つ』である。

 

「あーくん達の動きに合わせて動く訳だけど………。確りクリティカルを連続出しして、スムーズにゲージMAXまで持っていく事は重要。後は私の技術(ウデ)次第か………。うん、よし、やっちゃいましょっか」

 

脳内演算を完遂し、手首に在るインベントリアより取り出すは黄金の棒の形状をしながらも、武器種は大槍にして魔槍とされる武器。

 

其の実態は天覇のジークヴルムとの決戦に始源存在の一柱・彷徨(さまよ)大疫青(だいえきせい)を倒した後、ヴォーパル魂の向上とゼッタの育成で様々なモンスターと戦いを続けたある日、其のゼッタ経由でヴァイスアッシュに呼び出された彼女は彼より『兎風(とかぜ)彩雲(さいうん)】とおめぇさんが強者と認めた奴の素材を一緒に渡しなぁ』と言われた事が由来となり。

 

彼女は現物と共にジークヴルムの撃破報酬の一つ、EXシナリオ攻略の証たる残影シリーズでジークヴルムを討った偉業が、概念存在として具現化した霊爪(れいそう)残影(ざんえい)を渡し、其れを用いたヴァイスアッシュが更なる真化を行った事で次なる領域に到達せし得物を振るい、其の名を呟く。

 

「さぁてと、頼んだよ?───────『勇魚(イサナ)兎風(トカゼ)金嵐(キンラン)】』ちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、凄まじい物だよ。君は………」

 

二振りの皇金世代由来の武器を一つに合わせ大剣を作り、天覇の角より作られた意思を持つ覇刀を握り、彼自身が英傑であると証明する英傑武器(グレイトフル)を持ち、リュカオーンを惹き付ける七つの穴が空いた聖剣を振るって、夜の帝王の視線を唯一人に向ける男の背を、修正前剣聖勇者は見た。

 

ペッパーは複数腕の操作及び複数の武器の同時運用に長けていると、様々な情報網や現地に居たプレイヤー達の話を見聞きし、そうして実際に目の当たりにした事で彼は自分と同じ様に剣聖に適性を──────或いは己と血縁を持つ龍宮院(りゅうぐういん) 富嶽(ふがく)と同じ道を辿りながらも生前の事実に気付いた人間であり、刃を交えた事で人の皮を被った怪物という認識を彼女は持っている。

 

(皇金世代の武器………私を含めた剣聖就職者達のモーションをトレースした、蠍の皇帝の尾先の聖剣に三形態に変わる鋏を素材元とする物…………)

 

紆余曲折を経てアーサー・ペンシルゴンと同じく彼との関係を享受しつつも、自分自身がシャングリラ・フロンティアという世界(ゲーム)で成し遂げんとし、初めてリュカオーンに出逢って蹂躙された日から抱いた目標は、今尚決して揺らぐ事は無い。

 

(確か其の蠍から得られる不世出の奥義(エクゾーディナリースキル)はパーティーの人数が関係した、効果時間と効果出力が変動するピーキーな物らしいが、最高出力時のスキルエフェクトは、フラッシュバンとも言える物になると。………いや、フルメンバーで効果時間が一瞬なら、プレイヤーのレベルに比例した時間だけ使える虹華顕燗(ブリリアント)の方が、リュカオーン相手に相性が良いとも思える)

 

クラン:黒剣(シュバルツシルト)やパーティーリーダーとして他プレイヤーを指揮する身であり、対リュカオーンを見据えてジークヴルムとの戦いの後、遂にレベルキャップ解放を実行に踏み切り。

 

三桁への壁をブチ破り、新たな領域に到達したサイガ-100は、限界突破によって目覚めた新しいスキルや新規に習得した魔法達を、莫大な額のマーニを用いたスキルの連結や魔法の接続等を構築・運用・分解を行い続け、リュカオーンの影に挑む為の準備を愚直とも言える程、本気で真剣に継続し続けた。

 

(まぁ一瞬の目眩ましで敵の動きを止めて、全力の従剣劇(ソーヴァント)をリュカオーンに叩き込めるならば、何も問題は無かろう。皇金剣(アンティアレス)宝鍠趙弩剣(シャガル=ニュア)を使えれば、戦略と攻撃パターンも大幅な拡張に、剣を矢の代わりに射出して従剣劇で操る、そんな戦法も取れる…………か)

 

後は何らかの方法で『自分の体重を軽く』出来れば、従剣に乗って『空中サーフィン』でもやれる様になれたなら、剣聖職に有りがちな機動力低下の保管が可能となると思い、(ペッパー)ならそんなモンスターかアクセサリーやらを知ってるのでは?と考え。

 

然して彼がリュカオーンと対面し、リュカオーンの視線を釘付けにする剣を振って居るのを目視した事で、幾ら敵のモーションや思考を学んで攻略法を作り出す事に秀でても、負担を強いれば何処かで必ず綻びが生まれると感じたが故に、彼女は即座に思考を切り替えて指示を飛ばす。

 

「此処から作戦を第二段階に移行!草餅はベヒーモス居る黒剣メンバーに天候操作を指示、コードは『強風』!

「御了解ッ!」

「ムラクモはペッパー君達の援護を行いつつ、リュカオーンのヘイト分散に動け!彼一人に負荷を掛けさせるな!」

「えぇで!任せな、サイガはん!」

「後衛魔法職はマッシブダイナマイトにバフ供給を継続!事前に用意したアトラス・バインドの使い捨て魔術媒体(マジックスクロール)と強化系列物の使用も許可する、出し惜しみは無しだ!!」

「了解よぉ〜!」

「「「「「「ラジャー!!!」」」」」」

 

一通りの指示の後、サイガ-100はリヴァイアサンにて獲得し、利き手の手首に装着した格納鍵(かくのうけん)インベントリアに納めた数多の剣達と共に、ペッパーが渡してくれたゴルドステラ・ドレスシリーズ一式に着替えて。

 

研鑽の道の過程で手にした剣聖の更なる御業(手札)を─────────レベルキャップ解放によって『八の剣を操る術』を得た彼女は、此処で其の剣技を振るうと決意した。

 

「今の私の全力を以て、君の全力に応えよう………!ブライト、アレフト、やれるか?」

「はーい!」

「御任せですよー、団長!」

 

そしてクラン:黒狼(ヴォルフシュバルツ)内に居た穏健派閥の双子達もまた、此の時に備え作った『秘密兵器』を此の戦いへ投入するのだった………。

 

 






ペンシルゴンの思い、サイガ-100の思い




勇魚(イサナ)兎風(トカゼ)金嵐(キンラン)


ヴァイスアッシュのユニークシナリオEX【致命兎叙事詩(エピック.オブ.ヴォーパルバニー)】の進行によって、アーサー・ペンシルゴンに齎された個別のヴォーパルウェポン強化イベントにより、兎風(とかぜ)彩雲(さいうん)】に霊爪(れいそう)残影(ざんえい)を素材に加え、ヴァイスアッシュによる真化を行った事で新たな姿となった、武器種:大槍にして魔槍に当たる業物で逸品。

真化前の彩雲が『格上相手にクリティカルを発生させた場合、武器の色が赤碧→赤→碧→赤碧という順に変色を起こし、同時に武器に備えられた『魔力ゲージ』が上昇。装備者が此の武器にエンチャントした魔法の効力を、クリティカルを出す度に効果時間を延長する事が可能になる』だった状態から変更。

次なる真化形態の金嵐は二振りの刃が槍の両端に在り、其々でクリティカルを出す事でゲージを蓄積(0→50→MAX)、持ち主の体力と魔力を捧げる事で武器の耐久値回復とクリティカルのダメージ補正を強化。

またゲージが一定量に到達する毎に、金嵐の両端の刃の形状が変化を遂げていき、ゲージMAXになった状態での投擲攻撃は、敵の最大弱点に当たるまで追尾・確定でクリティカルが発生・捧げた体力と魔力に付随したダメージボーナスが発生する『絶対必中の一投』を放てる。


通常状態のイメージは『仮面ライダーアギト』に登場するフォームの一つ『ストームフォーム』の武器『ストームハルバード』、ゲージ50段階はストームハルバードの展開状態。

ゲージMAX状態は『仮面ライダークウガ』に登場する強化形態の一つ『ライジングドラゴンフォーム』の武器『ライジングドラゴンロッド』。

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