VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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剣聖という職業の真意




黒き夜に灯火を照らし 其の七

サイガ-100は修正前剣聖にして、剣の勇者武器(ウィッシュド·ウェポン)・聖剣エクスカリバーの所有者であり、夜襲のリュカオーン討伐を目指すクラン:黒剣(シュバルツシルト)団長(リーダー)である。

 

剣士系最上位職業:剣聖とは固有魔法【従剣劇(ソーヴァント)】を用い、複数本の剣武器を浮遊・ロボットアニメの兵装としてポピュラーな、無線兵器の射出と攻撃じみた挙動で敵を斬り裂く、シャンフロ内の前衛職考察スレでは今尚『最強候補』として一番始めに其の名が上がり。

 

彼女自身の技量とネームバリューも相まってか、もう一つの剣士系最上位職業で魔法を剣へと付与し、持ち得た剣を多彩に切り替えて相手に出方を悟らせにくくする神秘の剣(レーツェル)と異なる強さを持っている。

 

では剣聖とは最強なのか?───────そう言われる疑問に対し、シャンフロの剣聖就職者達は『NO』と答える者も多く、剣聖固有魔法の従剣劇は使用者の魔力(MP)に依存しており、剣士系から派生する魔法剣士系統職もまた例に漏れず、魔剣系統を扱う際には相応の魔力(コスト)を必要とする。

 

更に言えば剣聖とは、従剣劇で飛ばせる剣武器の能力に依存している上、単に剣の本数を多く飛ばせれば良い訳でも無く、オートによる攻撃とマニュアルによる妨害orオートによる防御とマニュアルによる攻撃の切り替えがスムーズに行える事や、神秘の剣の様に魔法を新規に習得しなくても運用可能な点が、剣聖という最上位職業なのだ。

 

シャンフロ初の剣聖への就職、聖剣エクスカリバーを手にした事により、剣聖勇者という唯一無二(オンリーワン)の立場に立ったサイガ-100は未だ冷め止まぬ『打倒リュカオーン』に心血を注ぎ。

 

対リュカオーンを見据えたスキルと魔法の習得やステータスポイントの振り込み、ペッパーによって確約されたリュカオーン討伐の手伝いに備えて、黒剣の主力メンバーが揃える日時の調整と必須の物資を買い漁り、漸く此の時を迎えた。

 

そして此の日にログイン出来るメンバー達もまた、此の時の為に各々が出来る準備を続け、元黒狼の双子達たるアレフトとブライトもベヒーモスにて獲得した戦術機球ボールメンを改修、バイク型に変型と同じ物が揃う事を条件とした『合体する戦術機を作り』。

 

今宵、サイガ-100やマッシブダイナマイトが此迄持っていなかった『駆ける為の足』を、影狼を討つ為に初陣戦兼御披露目として持って来たのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アレフト、団長を振り落とさない様に行くよ!」

「解ってるよ、ブライト!団長、御願いします!」

「助かるよ二人共………!」

 

二輪車(バイク)を横に合わせて四輪車(バギー)にした戦術機巧(カラクリ)が、修正前剣聖勇者を其の背に乗せ荒野を爆走し、彼女の周りで八本の剣が持ち主に付き従う精鋭の騎士の如く、或いは敵軍の侵攻を阻む槍と盾を担った太古の戦士達(スパルタ)迎撃陣形(ファランクス)に等しく在り。

 

其の内の一本は、ペッパーがグランシャリオでリュカオーンを誘き寄せる前、サイガ-100に一時的に貸し出した傑剣との憧焉終刃(エスカ=ヴァラッハ)、其の業物達を従える指揮剣は聖剣エクスカリバー。

 

「【従剣劇(ソーヴァント)八重奏(オクテット)】…………!」

 

彼女の魔力を喰らった八振りの剣達が月光に照らされる荒野を低空で飛翔し、其れを見たムラクモとペンシルゴンが剣の飛び交う射程距離内でリュカオーンを狙う邪魔をせぬ様に動きつつ、其々が持つ得物でヒット&アウェイを繰り返し。

 

ペッパーはグランシャリオでリュカオーンの視線(ヘイト)を単身背負いつつ、黒剣の後衛職メンバー達が展開した【マジック・トーチ】と封熱の撃鉄(ニッショウトリガー)の光源を以て影を塗り潰し、透明分身による不意討ち被弾を回避と覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)で攻撃を加え、其の黄金の剣身が闇を固める性質を持つ夜の帝王に適応から、何かしらの攻略法を編み出す為の時間を稼ぐ。

 

そして彼等彼女等の行動により、出来上がった隙がサイガ-100の新たに身に付けた従剣劇を………レベルキャップ解放によって手に入れた、『七より先の領域の技』を遂に解き放った。

 

「──────【八岐の大河(ハイドラ・ストリーム)】ッ!」

 

エクスカリバーに傑剣との憧焉終刃、そして六本の剣達が魔力を帯び、剣身が豪火の如きエフェクトを放った直後、鋒より『其々の剣を象徴する色のビーム』が飛び出し、光源によってペッパーの背後に伸びた影を狙わんとしたリュカオーンに直撃。

 

影で出来た分身故に直撃こそしなかったが、喰わせた魔力をも使い切る覚悟で八岐の大河を維持し、ロボットアニメでラスボスが味方機体をオールレンジ兵装で四方八方上下左右よりビームを降らせて、ボッコボコにする其の光景は何処ぞの妖怪ネフホロ狂いが目撃したら、先ず間違い無く狂乱して、何かしらの戦術機で再現せんと躍起になる予感をペッパーは少なからず抱き。

 

剣聖の固有魔法を以て発現したビームを踏まえ、封雲の撃鉄(タイタントリガー)で出来た巨腕に握った宝鍠趙弩剣(シャガル=ニュア):極撃大剣形態(アルティマブレイドモード)を頭上に放り投げた彼は、インベントリアよりル・ジニシィ作の冥王の鏡盾(ディス・パテル)を持って自ら青と黄色のビームの前へ。

 

リュカオーンと同じく夜の暗闇を昼間の如く見る眼を得るスキル・黒狼の鋭眼(アーテオル・ガウス)の起動によって、()()()()()()彼は見付け出し、神代の鍛冶技術によって魔法を弾き返す権能を宿した鏡面を、迫り来る其のリュカオーンに向けた。

 

彼女に貸した傑剣との憧焉終刃、剣聖の固有魔法、魔力を帯びて鋒から飛び出した光──────バラバラに散らばっている記憶と情報(ピース)を集め、思考の直結による電気信号が『剣の性質をビームとして放っている』と脳細胞に発光を起こして。

 

 

 

 

 

『ガルァ!?』

「よし、予想的中!」

「やっぱ魔力由来だから魔法系が効いてるぞ!」

「此のまま一気に畳み掛けろ!!!」

 

 

 

 

 

リュカオーンに当たった傑剣との憧焉終刃のビーム着弾箇所が、剣に搭載された能力…………本来はクリティカルでゲージをMAXにして始めて繰り出せる筈の、一定時間の付与効果(エンチャント):魔炎焼(まえんしょう)の魔力反応炎上、及び追撃現象:雷の影響で雷属性に起因した効果が『ゲージMAXにしていない状態で()()()()()()』発揮された。

 

従剣劇・八重奏:八岐の大河には隠された効果として、使用者が従剣劇使用の際に剣へと注いだ魔力を対価に、其の剣が持つ効果の発動条件を満たす能力が有る。

 

そして其の効果発動は、武器の希少度合いと強化指数に比例して重くなるが、理論上与えた魔力の総量が大きければ大きい程、効果を十全に使う為の面倒な前提条件を埋め、タイムラグを無くす事が出来るのだ。

 

……………が、今迄以上の手応えと同時に魔法職が往々にして抱え続け、決して避けられぬ『問題』がサイガ-100を襲っていた。

 

「八重奏:八岐の大河で、MPをかなり持っていかれた…………!」

 

レベルキャップ解放と共にステータスポイントを振り込み、魔法使い系最上位:賢者にも匹敵する程の数値を得て、従剣劇による稼働時間も数倍近く延びた莫大な魔力が、八岐の大河を一回使っただけで『四分の一を割り切り』、ゴルドステラ・ドレスシリーズによって直ぐ様リジェネされ始める。

 

剣武器達も此の一戦に備えて選りすぐり、今の自分に出来得る限りの強化を施した上で途轍も無い魔力消耗は、自身の持つ最大威力の雷属性攻撃魔法・完全詠唱【暴虐の雷獣(バイオレンス・サンダー)】をも上回るレベルで。

 

八岐の大河に置ける魔力消費比率に関してはペッパーが貸してくれた傑剣との憧焉終刃が、エクスカリバーの次に魔力を費やした事からも『此の武器がペッパーによって何れ程運用されたのか』、そんな代物を『此の一戦に懸ける自分にどんな想いで貸したのか』が、従剣劇を通じて犇々と伝わる。

 

そして何より初見である筈の八岐の大河の特性を予測し、因縁深い魔法反射と吸収の円盾で完全回答(パーフェクトアンサー)と言えるリュカオーンにリフレクトアタックを決めたのを見た彼女は、()()()()()()()相変わらず凄まじい思考深度だと感心と共に想いを馳せ、回復モーション省略アクセサリーで魔力回復を行いながらも次弾攻撃へ備えるのだった…………。

 

 






新技炸裂

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