其の時の彼女達は
※少し短いです
『シャングリラ・フロンティアをプレイされている全てのプレイヤーの皆様に御知らせ致します。現時刻を持ちまして、ユニークモンスター………『
「ユニークモンスターの撃破!!?」
「冥響のオルケストラ………シャンフロのWikiにも載ってた奴だ………」
「もしかしてペッパーさん達が倒した………のかな?」
新大陸・前線拠点に在る木造住宅密集地、ジークヴルムとの決戦以降から新大陸の更なる開拓と改修、そして要塞化を経た事によって前線拠点内に出来上がった区画・商業エリア。
其の一等地とも言える場所に居を構え、
『討伐者プレイヤー名は『ミレィ』一名です。更にユニークモンスターの討伐に伴い………ワールドストーリー【シャングリラ・フロンティア】が進行しました』
「ミレィさん!?」
「ペッパーさん達じゃなかった…………って、ミレィさん一人!?
「ユニークモンスターってレイド級が当たり前って聞いたけど、其れを単騎って…………凄いなぁ」
ユニークモンスターこと七つの最強種、其の何れもが神代の時代より由来する
そしてミレィというプレイヤーは、ラピスの元にユニークシナリオ【太古を知る小鎚、迷宮の闇を裂く戦斧】で必要な、アーテクレイブレイカーとダンジョンアックスを持って来た人物であり、シナリオ発生後にルートエンド・ミノタウロスの歴戦個体を打倒し、イベントアイテム・迷宮牛頭人の積戦剛角を入手。
ラピスの手によって三種のアイテムは
こうしては居られないと、ダイヤ・カット・トッパの三人はラピスが仕事をしている工房に向かい、扉を勢い良く開ければ何かしらの新しい武器と思わしき羊皮紙と、其処に図面を描き示すラピスが居た。
「師匠、アナウンスは聞きました!?」
「えぇ、聞いてるわ。ミレィさん、どうやら成し遂げた様ね」
スラスラスラリと線を引いて、脳内に浮かんだアイデアを見える形にしている彼女は、嘗て自分の腕を頼りに来た者がオルケストラ討伐を成し得た事を羨ましく思う事は無く、かと言って彼女が扱っている武器が自分の手で作られた事を、誰かに自慢するでも無く。
『自分は自分のやるべき仕事をして、担い手が其れに応えられるだけの力を示した』─────────其れこそがラピスというプレイヤーの宝石匠として、同時に鍛冶師としての『矜持』であり、そして『誉れ』なのである。
「まぁ、こんな所かしらね。さてと皆、今から私達は遠出するから準備して頂戴」
「準備?何処かに出掛けるって事ですか?」
「そう。あーあー………コホン、
一拍置いての呼び声一つ、刹那に室内に現れた魔法陣より四人の前に、年季の入ったローブと杖を持つ老身のゴブリンが一匹現れる。
「おぉ、ラピスじゃあないか。何か用事かい?」
「………えっ、ゴブ、リン………?」
「ばっ、カット!?ペッパーさんが言ってた星化職に転職するのに必須な、ユニークNPCのポポンガさんだよッッッ!」
「此の方が…………」
「御久し振りです。キャッツェリアにいらっしゃるダルニャータさんに会いに行きたいので、御力を貸して下さい」
見た目で有りの儘に言葉を零したカットは不敬だとダイヤに頭を引っ叩かれ、後衛職のバックパッカーだったペッパーが前衛じみたポジションとして最前線を突っ走る一端となった存在の登場にトッパは目を丸くし、ラピスが事情を説明した後にポポンガは四人を一見し言った。
「…………成程。其の様子からして、ダルニャータからペッパーに伝えた事が届いたという所じゃの」
「そうですね」
ラピス本人もポポンガの台詞から、彼が『何らかの手段でプレイヤーが起こしているイベントフラグを知覚、もしくは彼視点で確認している疑惑持ち』という認識に変わるが、下手に口を出すと三人が余計混乱しそうな気配を感じ、大人しくしている。
「………よし。では三十分後、儂が【
「ありがとうございます、ポポンガさん。御礼に宝石匠として何か逸品を作りますよ」
「ありがたいのぅ………。儂としては美味なる酒を飲み、流離うままに世界を巡り渡るのが好きじゃから、お前さん達が『これぞ!』と思う酒を選んで渡してくれ」
「解りました」
一般的なファストトラベルに当たる座標移動門、本来はプレイヤーが一度行った場所にしか行けない筈だが、ポポンガのファストトラベルはプレイヤーが行った事が無い場所にも行ける、そんな特殊な判定か効果が有る様だ。
ポポンガの門魔法発動準備時間中に、四人其々が各自の準備を整え、ポポンガへと渡す酒を用意し。そうして開かれた門魔法の光に包まれ、室内から四人と一匹の姿は消えたのであった…………。
キャッツェリアへの夜行便