敗北の先で何を見る
※今章のエピローグです
ユニークモンスター・冥響のオルケストラ撃破。
シャンフロ中を駆け巡ったアナウンスによって、最初の討伐者になったミレィの名前がプレイヤー達の間で飛び交いながら、広く浸透していた頃。
オルケストラの仮称:楽器群ガードに阻まれ、唯でさえ幾度もコテンパンにやられて敗北していたサンラクこと
「ふぁああ…………」
大きな欠伸をして朝食を食べ、顔を洗って歯磨きの後に制服を着、学問に勤しむ為に学校へ行く。
昨夜もクソゲー仲間で自身の人生目標としている武田氏から贈られてきた『風雲プレジ伝』をプレイ、オルケストラにクソゲーと発狂した叫びを轟かせた後に集中的に続け、漸くストーリーモードをクリアした───────のだが。
「オルケストラ………エリーゼ・ジッタードール、アンドリュー・ジッタードール………リヴァイアサンにベヒーモス………うーん………」
出来る限り記憶の隅に置いていた
(
墓守のウェザエモンは遠き日のセツナの祈りを聞き、過去に縛られた
深淵のクターニッドは
天覇のジークヴルムは
では冥響のオルケストラとは『誰の物語』だ?エリーゼか、アンドリューか、其れとも
「うーん………」
冥響のオルケストラとは音楽プレイヤーであり、新品ピカピカで劇場内に埋め込まれていた。物理的な破壊を試みたが叶わないカチコチな耐久性、あの劇場内が嘗てウェザエモンがセツナの墓を護って居た場所と同じ、特殊なバトルフィールドで時の流れが止まっているのか?
動画や音楽の視聴に一時停止が在って、スイッチを押す事で再生された後に歌姫が現れる。其の前には第四と最終楽章の幕間で感じた無数の見られた感覚、アレも気になる所でもあり…………。
「…………解らん」
答えに至る為の扉が有り、答えに向かう為の道は在るが、其の扉を開ける為に必要な鍵が無い。
謂わばバラバラになっているパズルで出来た絵画を完成させる、最後のピースだけが何処にも無い上に見付からないという状況が、現在の楽郎が直面している問題だった。
「ぐむむ………」
何か、そう何か………謎解きの最後の鍵が見付かれば一気に謎が解けると確信は有るが、肝心要の鍵が無いのだから解ける謎も解けぬまま。
謎が謎のままに堂々巡り、或いは謎が謎の状態でキャッチボールされていると思わざるを得ない中、視界に
「お、おにゃようございますッ!!」
噛んだ、思いっ切り舌を噛んだ。ツッコミを入れるのは流石に野暮と思えども、ツッコミを入れてしまいたくなるくらいには、恋人が舌を噛んだ。
「おはよう玲さん。大丈夫?」
「だ、大丈夫………れふ………」
挨拶を交わして隣同士で通学路を歩く。
十月に入ったのも有り、長袖を着て仕事に出掛ける通行人の姿もチラホラ見掛け、最近の気象からしても夏と冬だけの極端な寒暖と、春と秋の期間の短さからしてあっと言う間に冬服に変わるだろう。
「オルケストラ………うーん………」
「…………やっぱり、難しい、ですか?」
「えっ?あ、うん。………此処まで詰まったのは、随分久し振りというか………」
恋人が困っている、私に出来る事は何が有る?
楽郎の横顔を観て玲は考え、自分が同じ様に壁に当たった時は『其の物事から思考を一旦離す』を、モットーにしていたのを思い浮かべ、思考の坩堝に嵌っている彼を救うべく『提案』をしたのだ。
「あの、陽務、君…………ちょっと、良い………ですか?」
「え、どしたの玲さん?」
「えっとですね………色々考え過ぎて煮詰まり過ぎるのも、身体に毒と思うんです。なので、その………───────スポーツの日に、私と付き合って欲しいんで………しゅぶ!?!?」
唐突な御誘いに口走った本人は赤面、通行人達は二度三度見の勢いで振り向いたり視線を向け、コーヒーや御茶に飲料水を飲んでいた者はギャグ漫画じみたモーションで噴き出し。
「えっ…………、もしかしてデート?」
「ぽびゃあ!??!は、ひゃい!デートですッ!!??」
「あ〜…………取り敢えず、何処行くかちょっと相談、する?」
「は、はいっ!相談しましょう!!」
至極あっさりとデートの流れが決まり、恋人二人が通学路を歩いて行く。
そんな光景をまざまざと見せ付けられ、恋人居ない暦=年齢の者達は去り行く二人の背中を見送り、心の内でこう唱えたという…………。
気分転換の為のデート
※一方其の頃のカッツォは…………
シルヴィ「ケイ、デートしにイコ!」
カッツォ「ファッ!?」
メグ「抜け駆けなんて許さない………!私も行くわ!」
カッツォ「メグゥ!?!?」
アメリア「んで、何処行くんだ?ショッピングモールなら色々物品調達出来るだろ?」
シルヴィ&メグ『其れだ!』
カッツォ「ドウシテコウナッタ………」
※次章の骨組みや構築の為、一ヶ月程の御休みを頂きます