VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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新章開幕




歌よ響け、世界を揺らせ
ジェネレーション トゥ アスカロン ザ ネクスト


シャングリラ・フロンティアという世界(ゲーム)内に存在するユニークモンスター・冥響のオルケストラの撃破─────────七星の一柱を考察クランたるライブラリのメンバー・ミレィが打倒した事で、世界の歯車はまた一つ動き。

 

然してオルケストラを倒して得た物は『偽典』という名の『欠片』であり、其れだけではオルケストラの答えを解くには足らぬ物という事実と共に、オルケストラという存在の真実を解き切る為には正典へと至らねばならない事が判明した。

 

世界は動き、此の世界の地を治める王国で二つの派閥による見えない覇権争いや、未だ討伐に至っていない蔓延りし脅威(始源)達、そして波濤を越えた大陸で『無数の蛇の乙女達』もまた動き出し、世界は少しずつ………だが確実に変革を遂げている。

 

其のオルケストラの撃破アナウンスから数日、真実へ至る為の鍵を持ち、断片的ながらオルケストラに一番最初に接触していた『ペッパー・天津気(アマツキ)』と其の仲間達は現在、新大陸の海上ギルドに在る鍛冶師組合『鐵打ち達の集い』に居た。

 

「来たね、ペッパー。アスカロンの強化、確り出来たよ」

「ありがとうございます、ル・ジニシィさん。鞘から抜いて見ても良いでしょうか?」

「構わないよ。ただリバースから『ちょいとばかし出力が上がって』、水中戦以外だと扱いづらい状態になってる」

 

日付は10/10、午後八時。

 

アスカロン・リバースの強化素材に指定された二つの素材、其の片割れでアスカロンの大元になった黄金のマグマを使い強化され、コーラルホエールで作った鞘から抜けばリバースの頃より赤みと金の範囲が増した『赫煌剣(かくこうけん)アスカロン』へと名を改めていた。

 

が、ル・ジニシィが言った通り鞘から刀身を僅かに引き出しただけでも、凄まじい熱気が襲い掛かり顔の一部がヒリヒリと焼けて体力が削れ、彼は慌てて武器を鞘に収め直す。

 

「た、確かにコレは水中戦じゃないとキツいですね………。あ、ル・ジニシィさん。冥府の王水を掬って来ましたので、休んでから赫煌剣アスカロンの強化を御願い出来ますか?」

 

インベントリアから彼女謹製の宝淵瓶(ほうえんべい)アビスポットの一つを取り出し置けば、本人は中身に入った極上とも言える純化された水を見て言葉を失い。

 

慎重に木製のスプーンで掬って其の凄まじさに驚愕から、復活まで暫しの時間を要した後、落ち着きを取り戻した彼女は赫煌剣アスカロンと宝淵瓶アビスポットを預かり、仕事場に向かって行った。

 

そんなやり取りの後、ペッパーは鍛冶師や利用者のプレイヤー達に囲まれて、彼は色々な質問を投げ掛けに対応し。そして質問や回答に追われる中、ふと脳内に浮かんだ黄金のマグマと冥府の王水…………シャンフロというゲームで採取可能な最上位の土と水。

 

此の世界で魔術の基礎四属性に当たる其れ等が存在し、黄金のマグマと冥府の王水を実際に採取出来ているならば、火や風も『特定の方法』を用いれば採取が可能になり、鍛冶以外で様々な用途に使えるのでは?───────と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………という訳でエフュールさん、風を捕まえる為の方法って概念形成(コトナリ)以外で何か有りますかね?」

「風を取っ捕まえる方法と来ましたかぁ………。あても其れは初めて聞く注文やわぁ〜」

 

日本の絵には風神が風を収めた袋を持ち、雷神と共に嵐を巻き起こす姿を描いた物が有り、其れに則るなら鍛冶師のビィラックやル・ジニシィにイムロンよりも、アクセサリー職のエフュールやラピスにダルニャータの方が適任と、ペッパー個人は考え。

 

アイトゥイルの開いたゲートで致命兎の国・ラビッツに帰還から、エフュールが商売をしている御殿内のアクセサリー店に顔を出し、事情を説明した上で聞いたのだが、彼女の反応から『難しい注文』と言えるらしい。

 

「風を捕まえるやのうて、風を器やらに収めるってなら話は変わりますけどぉ………」

「風を納める………。袋みたいな奴で其の中に風を閉じ込める………みたいな形で?」

「まぁ、そんな所やわぁ。其れを仮にやるとしたら、風属性と相性が良い『凄まじい雷属性の素材で作った布』とかが在れば、あてが袋とかに出来ますが………」

「雷属性の凄まじい奴………あ、なら『こういうのは』どうですか?」

 

宝石匠(ジュエラー)ならばモンスターの素材を糸や布に加工する技術も持っていそうな()が有り、雷属性で凄まじい素材とすれば手持ちの中で其れに心当たりが有るのは、最早『アレ』しか思い浮かばない。

 

インベントリアを操作、アイテム一覧の中から其れを………嘗てジークヴルムとの決戦に備えて修行していた時、残雪の山にて死闘を繰り広げた強大なる敵であり、其の一部は覇皇獅将の両刃長剣(ネメア・キングソード)の真化素材となった『レオ・ネメアレクス"覇雷業封(サンダルダイン)"』の毛皮や鬣を取り出し見せれば、エフュールも目を丸くした。

 

「こらまた、とんでもなぁ………。前にピーツが仕入れの旅で立ち寄ったっちゅう、獣人族(ビーストマン)の里の住民から聞いた『黒雷の白獅子』………しかもマジの()()かいな…………」

「本、物………?」

「アクセサリーやらの界隈ではコレの偽物やらが出回っててな。あての見込みが間違い無いなら、此の毛皮一つ売るだけで王国の宝物庫を『空っぽ』に出来るわ。其れくらい獅子王の素材は価値が有るし、マントにしたら其れは其れは覇気に満ちた王位を奮えるやろなぁ〜………」

「……………そんなに?」

「そんなにやで」

「えぇ………」

 

どうやらペッパーが思ったよりも遥かに、覇なる黒雷を従えし獅子王を討ったという偉業や事実は途轍も無い力を持ち、其れだけの素材を使って作った覇皇獅将の両刃長剣の英傑武器(グレイトフル)としての箔も、其れ相応の物になるのは明白だろう。

 

(となると毛皮や鬣を宝石匠のラピスさんかダルニャータさんに頼んで、糸と布に変えて貰ってからエフュールさんに袋にして貰うのが流れか…………)

 

始源存在の討伐もやらねばならぬが、優先度合いの高いサブクエを終わらせ、冥府の王水でアスカロンの更なる強化を完了で憂いを無くす事が最優先。

 

そして火水風土の四種の属性と言えば、自分の持っているユニーク小鎚三兄弟の一つ『エレメオールブレイカー』にも無関係とは思えない上、何かしらの『フラグ』が建つかも知れないので、ビィラックとイムロンに強化プランを相談してみる事にしよう。

 

 

 

 






風を捕まえる為の物は、獅子王が遺した遺産で作れ


※因みに赫煌剣(かくこうけん)アスカロンはクリティカル時に高威力の炎熱効果+非クリティカルでは氷結効果を持っており、水棲・海洋・始源存在への特効補正+特効倍率がアスカロン・リバース時代より上がったが、時間経過で装備者に炎熱由来のスリップダメージが発生する様になっています。


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