VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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取り敢えずやる事をやる

※少し短いです




ファッションの価値観は、誰にも揺らがせぬ強き心で征するべし

「そもそも私としては、会社以外の日常で過ごす分にはジャージでも事足りるのだが………」

「あのねぇ………。私が言うのも何だけど、モモちゃんは『TPO』って言葉は解ってますぅ〜???」

「当たり前だろう、社会人な訳だからな。必要な時に必要な服くらい、私自身解っているつもりだ」

「其れ『会社と葬式は極論スーツで統一してれば問題無し』にしか、私には聞こえないだよねぇ…………」

 

ショッピングモールに入り、一番先にやって来たのは某有名衣服店。天音 永遠(カリスマモデル)直々の監修の元に色々な服を斎賀(さいが) (もも)に着せ替えては、あーでもないこーでもないと思考を捻って色々試す。

 

行く先々で永遠の邪教徒(ファン)とすれ違って、一部の過激派達の視線は梓や百に向けられ、更に隠れた場所からスクショをする者も居るのだが、永遠は被写体と常に自覚しているのか全方位から撮影されても自然体、かつ写真となっても絵になる姿勢の為に常に何処かでティーン達の黄色い声が聞こえる。

 

今回選んだ衣服の代金は当然ながら百が全持ちし、此の後は靴屋でサンダルから別の靴に変える方針で、男性視点である梓からの意見も貰いつつ、ショッピングモール内の別の衣服店も梯子しながら服と靴を決め、最終的に購入した衣服に靴で百は着替えて…………

 

「………うん、コレなら良いんじゃない?」

「そうなのか?」

「此れから先の冬を見据えつつ、春と秋にも対応した組み合わせで良いと思う。特に背筋が真っ直ぐだからコートやワンピース形状の背中部分が長く、ストレートなタイプの服とは親和性(シナジー)が有る。つまり百にとって其の類の服は相性が良い」

「そういう物なのか………」

 

何という事でしょう───────ヨレヨレクタクタのジャージ姿でサンダルを履いていた、痴情心の欠片も無かった目も当てられ無い身姿から大転身。

 

彼女の元来のスタイルの良さと、確りとした背筋を活かした永遠直々のファッションによって、其の出で立ちは『夏場以外の気温変化に大抵対処可能な、他の者達よりも一歩先を行く大人の女性のコーディネート』と言える物になった。

 

「予算内でやりくりして八十点って所かねぇ。私としても他者をダメダメ状態から、マシな状態に変えるのは得意分野なんだ」

「デジタルタイプのカードゲームで始めたばかりに配られるスタートデッキとかも、使い手に改造の余地を残す様に欠陥部分を残す事が有る。其れに人も完璧満点を常に出せる人はそうは居ない、其れは逆を言えば成長の余地が有る事に等しい」

「………永遠の言い分に、些か悪意を感じたぞ」

「はて、何の事やら」

 

ジャージとサンダル姿だった頃から随分とマシになったと、ウンウンと永遠と梓は首を縦に振って、永遠の意見に邪を感じた百が半目で彼女に視線を向ける。

 

「まぁ取り敢えず複数買ったから、御出掛けする時はちゃんと着てってよ?」

「…………努力はする」

「ホントかなぁ〜???ホントに御座るか〜???」

「努力はする」

「うーん、信用ならない………」

「まぁまぁ、少しは信じようよ」

 

百の衣装はデートに相応しい物となり、此れで少しは彼女に対する視線も改善されるだろう。

 

仮に此れが一昔前の貴族間の食事やら会合の席でのやり取りだったなら、みっともないや情けないやらの侮蔑の視線を向けられて、其の時点で相手方に格下の烙印を押されているのが容易に思い浮かぶ。

 

ファッションとは情熱(パッション)であり、情熱(パッション)とはやる気や生き甲斐(モチベーション)に直結し、其れは時として自分の価値観や感覚の『軸』が、人という内面を表面に変えて現れる事でもあり、衣服とは其れを現す表現方法だったりする。

 

だからこそ、ほんのちょっぴりか、或いは極僅かでも………衣服に対する意識が変われば、見える世界と景色が変わる物なのだ。

 

「さてと、ちょっと早いけど御昼にする?二人共」

「だね。久し振りにタコ焼きが食べたいかな」

「ラーメンで辛いのが有れば、私は其れにしよう」

「俺はハンバーガーにしよう、チーズたっぷりのヤツで」

「ガッツリいくね、あーくんや」

「最近はさっぱり系の食事が続いたから、たまにはガッツリ系も良いかなと」

 

見事に三者食べたい物がハッキリと分かれて、目指すは多種多様な食品企業が自社自慢の一品で客を魅了する表の顔と、日々の売り上げを巡って鎬を削り合う弱肉強食の裏の面を宿す、大型ショッピングモールには間違い無く存在しているフードコートエリア。

 

目当ての物が在れば良いなと想いを馳せて、腹ペコの腹の虫の要求の音を静めるべく、梓・永遠・百の三人は目的地を目指して進み。

 

 

 

 

「ねーねー、ケイ。此処のフードコートはステーキがアルんだって!すごくない!?」

「フライドポテト食べたいなぁ………」

「日本式のカレーが少し気になってるんだが…………」

「全部俺が奢るから、三人共好きな物食べると良いよ…………」

 

 

 

 

前方から『物凄く聞き覚えが有る声』が聞こえ、梓と永遠が同時に視線を背けた状況に百が首を傾げ。

 

しかし梓と永遠が取った其の行動は、TRPG系列ではプレイヤーのダイスロールにて『一番やってはいけない場面にて、最も最悪の出目を引いてファンブルになったシチュエーション』と良く似ていて。

 

 

「あ」

「あ」

「「あ」」

「「あ」」

 

 

エンカウントは、突発で唐突に訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「陽務、君………そろそろ、御昼にしませんか?」

「確かに腹減ってきたし、御昼しますか」

 

そして時を同じくして楽郎と玲の二人もまた、導かれる様にフードコートエリアに歩を進め始めたのである………。

 

 






偶発的な集結



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