VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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状況流転




ランチタイム・コミュニケーション

「フッフッフ〜、まさか君達が居るなんてネ。もしかしてデート中だった?」

「そうだねぇ〜、そんな所かな。もしかしてそっちも?」

「イェア!」

「まぁアタシは其処の三人の付き添いだがな」

 

ショッピングモール内フードコートエリア、一区画を取った上でシルヴィア・ゴールドバーグと夏目(なつめ) (めぐみ)魚臣(うおみ) (けい)にアメリア・サリヴァン、そして五条(ごじょう) (あずさ)天音(あまね) 永遠(とわ)斎賀(さいが) (もも)の七人が対面する。

 

変装こそしているが其の実態はアメリカ最高峰プロゲーマー二人に日本最高峰プロゲーマーと準ずる実力者、更にはティーンエイジャーから絶対的な支持を受けるカリスマモデルに、其のカリスマモデルの心を射止めてアメリカプロゲーマーの片割れを落としたレトロゲーマーと、真実を知れば知る程『とんでもない状況』だと解る状態なのだから。

 

注文した食事を受け取り終え、梓はダブルチーズ&パティのハンバーガーセットで永遠はタコ焼きに、百は辛さ増々の担々麺。

 

そしてシルヴィアは300gは有るステーキの、アメリアはカレーライス大盛り、恵は揚げたてで山盛りのフライドポテトに、慧はまさかの鰻重という、本人の財力というか資本主義者のステータスをまざまざと、此れでもかと見せられた気分だ。

 

「で、梓さ。そちらの女性は?」

「永遠の友人の斎賀 百さん、因みに慧は既に会った事が有る」

「斎賀、百………えっ、あ、まさか………?」

「まぁ『そういう事』だ」

「マジかよオマエ………」

 

多くは語らず、されど要点を踏まえれば辿り着く真実に、慧は梓にジト目を向ける。

 

『お前マジかよ、二股かよ』と言いたくも有るのだろうが、恵とシルヴィアと一緒の部屋で過ごしている自分も似た様な状況で、隙を見せたら何時そうなってもおかしくは無いし、何なら煽った瞬間に天音 永遠(ペンシルゴン)から手痛いカウンターを食らいそうな気配を感じたので、心の内で留める事にした。

 

「因みに四人はデート以外で買い出し中?」

「食料品関係でね。結構大食らいなんだよ、シルヴィが」

「ケイの作るゴハンはヤミーで、一杯食べられちゃうんだ!」

 

全米一位の発言に、永遠が其れは其れはニンマリと、随分()い顔をして言う。

 

「へ〜………へー???カッ、じゃなくてケイ君の手作りなんだ〜?へー???」

「ペンシ、トワさんや。絶ッ対、碌でも無い事考えてるだろ?」

「…………ソナコトナイヨ」

「「「漏れ無く考えてる時の顔だな」」」

「わぁ、同調(シンクロ)した………」

 

何やかんやゲーム仲間としての付き合いや、昔馴染みの悪友的間柄から大方察せる程度には彼女を知っている三人の声が重なって。

 

「ちょいと辛味が足らないけど、悪くは無いね日本のカレーも」

「アメリアさん、カレーが好きなんで?」

「まぁな。アンタもかい?」

「二人分作るならフライパンでも小型鍋でも作れますし、時間が有る時はシチュー作ったりしますね。カレーの匂いが残らない様に、洗い物で細心の注意を払わないといけませんけど」

 

食事の席での料理談議に繋がり、慧が和洋中の粗方の料理に精通していて其れなりに作れるらしく、小洒落たおつまみ(コーラや炭酸飲料に合う物)から手の込んだキャラ弁当等々、料理のレパートリーは梓が自炊して写真等に記憶している数を上回っている事が発覚。

 

プロゲーマーで一人暮らしともなれば、自炊出来て当たり前だろと慧なら言いそうなのと、直近で作ったビーフストロガノフとサフランライスのディナープレートなる題名の夕食は、洋食屋の看板メニューを張れそうな出来栄えに梓は少し嫉妬してしまったが、逆に嫉妬を抱えた事は自分にも成長出来る余地が有るとポジティブに捉える事も出来た。

 

「!」

 

そんな時、幕末で常に意識している草食獣の視界に近い状態に置いていた梓は、其の目によって一瞬『ある者達』が過ぎて行ったのを見て、渾身の眼力で其の方向をジッと見ていれば永遠と慧に百が疑問を抱き、彼の視線を追って先を見詰めれば───────

 

「はっはぁ〜ん………?へー、へー………コレは楽しくなりそうな予感がするねぇ〜………」

「ほぉほぉ、コレはコレは………なぁるほどぉ〜………?」

「フム………そうか、成程な………」

「ケイ、どしたの?」

「…………何か弄り甲斐の在る玩具を見付けた、邪な物を感じる視線に似てるな。特にオマエに似てるよ全一」

「ワッツ!?」

「変な所で流れ弾が飛んでる………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハンバーガーセットを購入し、斎賀(さいが) (れい)と向き合ってフライドポテトを齧る陽務(ひづとめ) 楽郎(らくろう)は、其の背筋が悪寒に震えた。

 

絶対に面倒な状況が待っていると確信する程度には、困った状況になると言う確信を抱くには充分な物で。

 

「あ、の………陽務、君………。何か、邪な気配を、感じません………か?」

「…………そっ、すね、玲さん………」

 

斎賀 玲は其の気配が『何処から発生している』のかにも気付き、同時に『其の気配が何人居て』、更には『其の中の何人が該当しているか』にも感付いていた。

 

(気配は七人。内三人で、一人は………姉さん?………どうして此処に──────)

 

何の偶然か、はたまた運命か。己の姉が其の中に居て、此方を見ており、其の周りにも他の人達が居て見詰めて居る事。

 

まるで此方がデートするのをとんでもない直感で勘付いて、此処まで付いて来ていたのでは?と玲は思ったが、実際はデート場所であった目的地(ショッピングモール)が『偶然にも全員重なっただけに過ぎず』、最早其れは神か邪神が仕組んだ運命の悪戯としか思えぬ様な、神懸かりの確率の収束としか考えられない状態だったのだ。

 

(なぁんか二人程、感じ慣れた視線なんだよなぁ………いやまさかそんな訳…………)

 

片や黒幕外道大魔王(カリスマモデル)で、片や総受け魚類(プロゲーマー)のニヤけ面が楽郎の脳裏に浮かぶも、流石にそんな事有り得るか?と考えれど、背筋を走った悪寒はそんな楽郎の考えを『安直に捨ててはいけない』と警告して来て。

 

更に言えば此のフードコートエリアの所々から聞こえるシャッター音や黄色い声が、其の悪寒をより強い物へと変えており。

 

「あ、あの………陽務、君」

「えっ、はい、何ですか玲さん?」

「其の………実は………向こうの席に、私の姉が居まして………。近くに『オイカッツォ』さんが、居ます。其れに『ペッパーさん達』も一緒に…………」

「─────────ふぉえ???」

 

何故恋人が視線の主を言い当てられたのかは、此の際些細な事では有ったが、問題は日本最高峰のプロゲーマーが此処に居る事で、状況次第では向こう数年煽られる事は確実であり。

 

もしそうなった場合、如何にして奴にゲームで制裁を下すと思考し始め……………

 

 

「ごめんね、其処のカップルさん。近くの席に座って良いかなぁ?」

「いやホントに、家の恋人がすいません………」

「えっ」

「んぐぇ!?」

 

天音 永遠・魚臣 慧・五条 梓・夏目 恵、そしてGGCでの打ち上げ二次会で同席して来たアメリア・サリヴァンにシルヴィアゴールドバーグと斎賀 百(恋人の姉)がやって来ると言う、予想の斜め上所か頭上から隕石が落ちて来たレベルの衝撃を伴って、楽郎と玲に直撃したのである。

 

 

 






魔王からは逃げられない


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