VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

1092 / 1120


合流してやる事は





人は其れを集会とも公開処刑とも呼ぶ

「いやはや永遠さんや、彼も隅には置けませんなぁ???」

「全くですねぇ慧さん、初々しい甘酸っぱい苺な雰囲気は何度見ても飽きませんわねぇ〜♪」

「もういっその事、一思いにやれよお前等………!」

 

ショッピングモールデートからフードコートエリアで御昼と、恋人が恋人としてやるデートシチュエーションの最中に外道衆来襲と言うハプニングイベント発生。

 

其れがよりにもよって全米一位とダイナスカルの猛禽に、オーバーキルとばかりに思考深度の怪物とナツメグ氏にサイガ姉まで来るという、交通事故も極めれば地殻変動さえも起こせるなるデタラメじみた都市伝説も、今ならば信じられると確信出来た。

 

「フム………此処では初めまして、になるかな。君が家の愚妹の彼氏だね?」

 

いの一番に仕掛けたのは百、サラッと自分の妹を愚妹呼びした事に対して、梓はクターニッド討伐後にフィフティシアに帰港して、サイガ-100と対面した時と似た様な物を感じた。

 

此れはアレだ、自分より優れた妹や弟は存在しないなる、兄や姉の感情を帯びた言葉という針で刺してくるタイプの物に近い。

 

「あ、えっと…………サイガ姉氏、で良いんで?」

「まぁ、そんな所だな。しかし成程………、愚妹も『良い殿方』に巡り会えた様だ」

「ぼひゅぶ!?」

 

片や微笑しての納得の、片や水蒸気爆発じみた赤面の一幕を経て、次に声を掛けるのは全米一位とダイナスカルの猛禽の、アメリカ最高峰のプロゲーマー達に加えて、日本最高峰のプロゲーマーと其れに準ずる実力者。

 

「キミがパンプキンヘッドの中の人なんだ。今度はゼッタイ勝つから、覚悟しといてネ!」

「普通にイケメンって奴だなオマエは。少し得した気分になったよ」

「あー、うん、まぁ其の時は御手柔らかに………」

「何か素顔見たの初めてかも………」

「っても俺も、彼の御尊顔拝んだのは初だね。此れは何か良い事有りそうかな?」

「年がら年中素顔晒してるけどな、総受け魚類君は」

 

ガツガツ来るシルヴィアに押され気味になりつつも軽い挨拶を交わし、其の後に煽って来た慧にはキレッキレの鋭いカウンターをブチ噛ます。一瞬空気が十度近く下がった気配を感じたが、其れも程無くして周りの温度と同じになった。

 

「んまぁ、軽い挨拶は此れくらいにしとくとして」

「永遠、其れは軽い挨拶という名前のボディブローだよ………。実際俺含めて慧も大ダメージ受けてるし」

「お前何で此方の心情察せたんですかね?エスパー?超能力者??其れともエイリアンが送り込んだ、地球人に擬態した宇宙人か何かなの???」

「視線のブレと雰囲気で察した、其れだけだよ」

 

二年の間にゲーセンでレトロゲーム対決を繰り返し、日本最高峰のプロゲーマーに対抗出来る様に鍛えて来た察知技術の賜物と言えるが、普通は身に付けるのに相応の時間を掛ける其の技術をサラッと梓が言った事に対し、恵は戦慄(ドン引き)じみた唖然・アメリアは相変わらずとんでもない奴だと見て。

 

其の横で永遠が二へッと…………其の実『ゲームで何かヤバい事を考えている時の顔』をしているのを、梓は見逃さなかった。

 

「…………でさ、永遠。こうして大所帯で集まった上で、さっきから何かニヤけてるけど『ゲームで何か企んでる』のか?」

「何故バレたし」

「強いて言うなら『顔に出てたから』。以上」

 

梓と永遠は『ほぼ横に居た』状況で、的確に彼女の表情を目視して考えを読み、そして正解を言い当てた読心力に此の場に居た全員の表情に、少なからず驚愕の色が滲み出る。

 

草食動物は天敵となる肉食動物を逸早く発見する為、両方の目が横に付いている事で視野が大きく広くなっており、其の挙動をまさか人ながらやって来るとは思いもしなかったからだった。

 

「………ねぇ、ケイ。彼って何時もこうなの?」

「まぁ、うん。此れが此奴の強さの一端というべきか、武器の一つというべきか………」

「流石だねぇ………。()()あーくんが言った其の通りで、私から言いたい事は………モモちゃん取り敢えずステイ」

「おい永遠、解っているだろう?」

 

一瞬バチッと空気に稲妻が迸った気がしたが、其れは決して気の所為では無い。

 

「先ず大前提に、此の場に居るのが『シャンフロプレイヤー』であるのを踏まえた上で、端的に言うけど─────────『一緒にクーデターしない』?」

 

余りにもサラッと、とんでもない事を口走ったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カリスマモデルの天音(あまね) 永遠(とわ)、もといシャングリラ・フロンティアでは悪名高き『廃人狩り(ジャイアントキリング)』のアーサー・ペンシルゴンからの国家転覆とも言える御誘い(悪巧み)に、全員が彼女の顔を見た後に隣同士で顔を見合わせ。

 

「もしもし国家権力?」

 

そして開口一番、楽郎が永遠に対して言った。

 

「現実見てないでゲームの話しようよ、学生君(クソゲーマー)?」

「いやお前が言わんとしてる事は解る。軽いジョークだ、笑って聞き流せ」

「其れやりかねない顔だよねぇ…………まぁいいや。じゃあ話を戻すけど、つい先日にオルケストラが倒されてワールドストーリーが進展した訳で。今エインヴルス王国は新王陣営と先王陣営の対立がバチバチになったから、近い内に『大きな戦い』が起きるって聖盾輝士団(聖女ちゃん親衛隊)の団長ちゃん経由で聖女ちゃんの話を耳に挟んだの」

 

永遠の話した内容を整理していくと、だ。

 

以前にサードレマへ彷徨(さまよ)大疫青(だいえきせい)が侵攻していた時、エインヴルス王国の第一王子でクーデターの首謀者たる『アレックス』が、サードレマの統治者たる大公『ノアベルト・オストロス・サードレマ』の娘の『フレデリア・オストロス・サードレマ』を始源存在で忙しい緊急事態にも関わらず、嫁として寄越す様に要求されて『ブチギレた』。

 

其の一件以来、先王トルヴァンテ派と新王アレックス派の対立は日に日に激化、ワールドストーリーが第五段階に進んだ事によって今現在『両陣営が戦力を募り集めている』そうで、シャングリラ・フロンティアのプレイヤー達を巻き込んだ『大規模なPVPイベントが発生する気配が出て来た』のだと。

 

新王アレックス派が勝った場合、アレックス自身が新大陸の多種多様な亜人種(NPC)達を毛嫌いしており、十中八九『亜人種達の奴隷化か弾圧による反理想郷(ディストピア)化は待った無し』となり、先王トルヴァンテ派が勝てば『其の最悪の未来は防ぐ事が出来る』と見て取れる。

 

(まぁ永遠の『本当の狙い』は、先王派閥に味方する事じゃ無いんだがな………)

 

墓守のウェザエモンの撃破報酬で彼女が手にした『遠き祈りの花飾り』は、彼女にとって因縁深いNPCである『遠き日のセツナ』こと神代人類最高峰の天才だった『天津気(あまつき) 刹那(せつな)』に関わるロケーションを指し示し、其の内の一つがエインヴルス王城の地下空間に在る。

 

彼女の事なので、何かしらの方法で『王城の爆破解体』をやらかしそうな()が有り、オマケに見えない所では『もっと凄まじい事をしそうな感じも有る』ので、大規模PVPイベントになったら文字通りハッスルした後に大爆発フィナーレを飾る…………なんて事も有り得ない話では無かろう。

 

そして此のイベントはプレイヤーの数や質が戦力の大部分を占める物の、ペッパーというシャンフロ内でも最高クラスのネームバリュー持ちが『サードレマ側』に在る以上、そもそものバランスが取れていない…………即ち其のバランスを取る為に、運営が何かしらの対抗策を打ってくる可能性が高いと永遠は読んでおり。

 

「で、あーくんがサードレマ大公に力を貸してる現状、新王陣営が先王派との戦力差を埋める為にやって来そうな手段が幾つか有ってね。PKerへの恩赦としてカルマ値の精算や借金の免罪、其れから……………アレックスの近辺護衛に『王認勇士(キングス·パラディン)のアルブレヒト』を投じて来る可能性が、だいぶ濃くなったんだよ」

 

先王派が新王派に勝つ為に絶対に乗り越えねばならない、最大の障壁………シャンフロ最強のNPCを何とか攻略し、アレックスを押さえねばならないという、おそらくゲーム内でも『最難関の課題(エクストラミッション)』に当たるだろう懸念事項を述べたのだった。

 

 

 

 






戦争の気配有り


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。