VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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試験会場(地獄の一丁目)




メンタリズムは弱酸性くらいが丁度良い

ベヒーモスで調べ物をせんとして統括AIの象牙(ゾウゲ)との会話を通し、先に契約したサイナの問題を解決する事が先決だと結論に至ったサンラクは、エムルのファストトラベルでエイドルトに飛び。

 

セーブによってリスポーンポイント変更から、水晶群蠍(マブダチ)達相手にエムルは相性が悪いので待機させ、裏路地を使って人目を掻い潜って目的地兼金策地、そしてサイナの卒業試験会場たる水晶巣崖(すいしょうそうがい)を目指す。

 

「さてサイナ。どうして俺がアンドリューに会う前に、水晶巣崖(此の場所)に来たか答えられるか?」

「不明:オルケストラ攻略の手掛かりやアンドリュー・ジッタードールに会う事よりも優先される理由は薄いかと」

「まぁぶっちゃけると、此処のエクゾーディナリーとは少なからず『因縁』が有ってな。正直オルケストラを撃破するよりも、先に此方を撃破しておきてぇんだ。ある意味じゃオルケストラより優先する理由にもなる」

 

勇魚(イサナ)兎月(トゲツ)金皇照(こんおうしょう)】の真化素材になった皇金世代、甲殻の一部を剥ぎ取り片目を潰せど、倒すには至れ無かったあの時から強くなり、こうして今は古い因縁へ決着を付けるべく向かっているのだ。

 

最初の遭遇時の【マジックエッジ】による一蹴された時の屈辱も、宝鍠趙弩剣(シャガル=ニュア)皇金剣(アンティアレス)を作り上げたいという欲望も、其れ等全てをモチベーションの炉に焚べて燃やし、やる気の業火に変えて全身に滾らせる。

 

「作戦を説明!"皇金世代"を俺達の手で討伐する、以上だッ!」

「…………」

「おうおう呆れんな、サイナ。皇帝陛下と戦う中で、お前が抱える葛藤に確り終止符を打つ。次いでに俺も、奴との因縁に決着を付ける」

 

作戦は手短に、やると決めたら即行動。日和って遅れれば、誰かに皇帝陛下を討伐され得るかも知れないので、迅速に謁見し(さっさとカチコミ)に行く…………!

 

 

 

 

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「ほわああああアアアアアアアアア!?!?」

 

水晶巣崖の片側、サンラクが嘗て皇金世代と出会って戦い、そして因縁に決着を付けんと再び挑んだ此の場所で、突入から『僅か二十秒後』には皇金世代の統率指揮と、中継役を担う儀仗個体の統率により襲い掛かった水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)達によって、水晶巣崖は地獄地帯と化した。

 

「多重方位挟撃に戦力の逐次投入!オマケに同族砲丸投げと着地狩りたぁ、戦術バリエーション豊富で殺りに来てるじゃねーか!!?」

 

あの頃以上に強く濃い殺意を内封した戦法の数々をぶつけ、此方の癖すら()()()()二手三手先さえも読んだ様な蠍達の投入は、サンラクの脳裏に思考深度の怪物(ペッパー・天津気)の姿が思い浮かび重なる。

 

水晶群蠍達は其々の崖にテリトリーを持ち、SF-Zooの独自調査報告書によれば『水晶群蠍は幼体を成体が谷間を越える様にぶん投げ渡す事で、テリトリー間での情報や戦術に関する交流を行い、其れを元にシャンフロ運営による神託とは別に集団(クラスタ)のアップデートを行なっている』らしいが、其れにしても『殺意が高過ぎる』。

 

有り得ない話では無いが、もしや『皇金世代自身がサンラク()()()片目を潰された事を今でも根に持ってる』か、或いは『蠍達の思考(AI)に其の(ツラ)覚えたからな………!的な戦略選択肢(コマンド)が追加された』くらいの要素無しでは、此の殺意を片付けられないのだから。

 

「フッ、フフフフ………!良いねぇ、そう来なくちゃなぁ!?サイナ、地上を走れ!空中ギリギリだと被弾しかねねぇ!!」

「報告:第三波を確認。撤退を推奨」

「水晶だけにってか!?ギャグじゃねーかじゃあかしいわ!!スッとろい奴が潰されるだけで俺等は無問題(モーマンタイ)………って居たぞ『#のトサカヤロー』!サイナ、アイツを破壊すっぞ!」

「………了解:」

 

此れだけで殺意を抱いて襲って来てくれるならば、サイナが抱えている葛藤という名の承認欲求にも、蠍達が答えて教えてくれる。

 

サイナの回収は『最後の最後に置ける最終手段で』、やるべき事は彼女が機械か否かで揺れ続ける自分自身という存在を、()()()()()として認識させる事─────────其の為には此の場所の、此の蠍達の鬼畜じみた殺意(視線)が必要なのだ。

 

「トサカヤローは皇金世代の配下であり、斥候役であり、そして其の近辺の蠍達の統率役だ!ある意味じゃ『御貴族様か辺境伯』って所かぁ!?!」

 

幾ら皇金世代が数多の水晶群蠍達を統率する個体であったとしても、観客席を含めた下手な広さのサッカースタジアムよりも尚も広い崖一帯の全てを仕切るのは、水晶群蠍の機動力が有っても不可能に等しい。

 

であるならば其々の地域を担当し、其の領域を治める水晶群蠍を置いて、其の区画を分担する事によって全体の統率をより強く、よりスムーズに指示を伝えて水晶群蠍達の集団に被害が出る前に暴動を鎮圧する事が出来る。

 

「伯爵様御付きの近衛兵だよなぁ、オメェ等はよぉ!!無駄無駄無駄無駄無駄ァッッッッ!!!」

 

ディオーネーの神助(ディオーネー・アシスタンス)多重的円周運動(オービット・ムーブメント)相対的立体運動(ソリッド・マニューバー)起動!同族砲丸投げを半オート回避から円周挙動と空中疾走で、包囲網を一気にブチ抜ける!

 

サイナが追い付ける距離感かつ、#トサカこと儀杖個体を守る水晶群蠍を一瞬で抜き去り、両脚に纏った深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)を用いた利き脚ライダーキックの要領で蹴り込めば、前回の時と同じく『余りにもあっさりと』トサカでアンテナを担う水晶は砕け散り。

 

「報告:近辺の水晶群蠍が不自然な静止状態」

「此処のアンテナ役は四体居る!止まった蠍は下手に刺激しないで無視安定!後三体を道なりに行って叩けば、皇金世代の居る老成個体(グランパ)亡骸(玉座)に辿り着ける!」

 

皇金世代の指示を受信出来なくなり、指示待ち状態になった水晶群蠍達を見ながら、丁度此の辺りが授業開始の頃合いと言っても良いだろうと、そう心の内にて判断したサンラクは、サイナへの卒業試験の為に密かに準備を開始したのであった………。

 

 

 

 






サンラク流の授業


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