三度目の遭遇と二度目のリベンジ
サンラクと
二度目は初見ながらアンテナ役の
そして三度目たる今回、サイナと共に水晶巣崖に突入して儀杖個体全てを無力化して、静止状態の水晶群蠍達の間を抜けた一人と一機は此の場所へ………彼にとっては久方振りの彼女にとっては初めてとなる、皇帝陛下との決戦の地であり、皇帝陛下の王座の間であり、そして亡骸となって平らにされた
「異常行動です、水晶群蠍の此の様な行動は………」
「強キャラかつ王様スタイルのヤツは、何と言うか決闘スタイルが好きらしい。………いやコレ見ちゃ、裏社会の喧嘩を囲む野次馬とか金網デスマッチを思い浮かべるか?」
「おそらくストリートファイトかと」
「良いねサイナ、良い例えだ」
サイナの言い分からしても、此の光景はストリートファイトが良く合う。
そして巨大で偉大な老成個体の身体を食い尽くし、水晶群蠍の生態系を守る時代の決戦個体となった元偏食個体で、現在は様々な鉱石宝石を選り好みせずに食べられる様になった皇金世代はと言えば、
然しながら無事な片目で『サンラクの姿を目視した瞬間』、決戦場に入る前の時点で鋏で器用に持っていた宝石塔を静かに置いて食事の手を止めるや、周りの臣下とも観客とも言える水晶群蠍達が一斉に横移動しながら広がり、サンラクとサイナを囲い込んだ。
そして同時に彼の眼前にて、皇金世代との戦闘開始を告げるシステムウィンドウが表示されたのである。
『モンスター
『討伐対象:
『エクゾーディナリーモンスターとの戦闘が開始されます』
「おぅおぅ、有無を言わさずかい。良いねぇ、そう来なくっちゃ」
「推測:皇金世代の全身に纏われている甲殻、アレは複数の鉱石を体内で合成した天然合金とでも呼ぶべき物かと」
「まぁそうだな。ほれサイナ、回復ポーション。こっから先は回復する暇はねぇと思え………其れくらい奴の攻撃は苛烈だ」
そんな会話をしている中で皇金世代は構えを取り、人間で言う所の全身を半歩後ろに引いて、潰された左目を前に無事な右目を後ろに置き。
左側の鋏は最大可動範囲まで開いた曲剣、右側の鋏はガッチリと閉じた拳と言える形態を取り、武闘家やボクサーで言う『左手左構え』の体勢になった上で、左鋏の曲剣の鋒で此方にクイッと挑発してきた
「推測:皇金世代は失われた視界範囲の補強の為、あの体勢を取っています」
「だろうな、オマケに前回戦った時と同じく此方に先手を譲って来やがった」
あの頃と同じだと嘗めてんなら、痛い目を見て貰うっきゃないよな?其れくらいの覚悟が出来ている様子と、サンラクは独自の見解に至る。
「サイナ。奴程の強敵を倒せる奴ならば、父親の心無い言葉にも
「疑問:何故暴力的解決手段を前提としているのか」
「百の言葉を考えるよりゃ、五指握り締めた一発を入れた方が手っ取り早い!!さぁ行くぞ皇帝陛下─────────俺のリベンジマッチ兼サイナの卒業試験だ!」
取り出し持つはマッドネスブレイカーが二本、打撃と機動系スキルを使って『よーいドン』から最速挙動で頭………と見せ掛けて機動力を支える複数本の脚を殴る。
が、皇金世代はサンラクの動きや狙いを『既に想定していた』らしく、左鋏を剣モードから鎌モードに切り替えながら手首を捻る様に、裏拳じみた目潰し軌道で死角から刃を迫らせ。
「おっとぉ!」
しかしサンラクもまた皇金世代の動きを読み切り、上半身を屈んだ上で回避からのスコーピオンポーズと共に、
が、やはりと言うか天然超合金を鉄板にして幾重に重ねて甲殻にした様な甲殻は、レベルキャップを解放して跳ね上がったステータスで殴っても傷一つ付いていない。
「サイナ、援護!前衛とタンクを請け負うッ!」
「了解:」
上から鉄槌の如く落とされる鋏の側面より逃れつつ距離を取れば、逃さんとばかりに皇金世代が水晶群蠍達に示す
「【
刹那にサンラクが唱えた一言、其の言霊が深厳戟響脚に搭載された素材由来の力を引き出し、周囲を漂うマナ粒子が足裏に集ってラップ状の薄い膜を形成。
足裏にマジックエッジが接触するや出力に押されて後ろに後退するが、魔法の刃は『ツルリ』とまるで滑った様に彼の頭上を通り過ぎて、夜闇の空の明後日の方角へ飛んで行ってしまった。
「ッシャア!上手くいったぁ!!」
キメラモンハナシャコ達は共通して『海中に漂うマナを突起へ集束・蓄積から、海中を通じて衝撃波諸共に集めたマナを発射する特性』を持ち、其の際に集めたマナは『対魔法攻撃や現象から身を守る、即席盾としての役目も担える優れ物』とのデータが有り、彼は其の素材で脚武器を作ったら『足裏で魔法をパリィや受け流し出来るんじゃね?』と考え。
こうして今、此の瞬間、頭の中で思い描いていた仮説は確証となり、彼の思考に新たな選択肢と戦略が幾つも浮かんだのとほぼ同時、皇金世代の右目近辺へマスケット型の化粧箱:狙撃銃モードで数発狙ったサイナが。
「効果:殆ど無し………蛮勇では?」
「
「指摘:神代人類言語的には
「引き続き援護、ほれ来た其れ来たやれ来やがった!」
残った片目に
「させっかよ………!【
当然ながらサンラクが立ち塞がり、片方のマッドネスブレイカーを上空に投げ上げて
忌々しき再現『サンラク』がやっていた技たる『大質量シールドチャージ』でカウンターを掛け、激突して巨体の進撃を止めれば、頭上より皇帝陛下が掲げる聖剣の鋒が雷撃の如く落とされ。
だが既に『頭上と側面からの攻撃が来ても良い様に備えていた』事で、半オート回避スキルの
雷速を越えた速度に晒されながらも、過ぎ去る風と己の胴体視力で追える景色の中でマッドネスブレイカーを振るえば、数回金属が激突する音と削り取った感覚が持つ手に伝わり、元の位置に戻る過程で投げ上げたマッドネスブレイカーをキャッチする。
「サイナ、聖剣と剣鋏を折る火力武器か何か無い!?此方も持ち得る手札使って奴の武器を圧し折ってやる!」
「可能:申請及び展開に五分」
「頼むわ!」
欲望には実直で在るべし。皇帝陛下の聖剣と剣鋏を奪い取り、
聖剣を破壊する為にも、最大の障壁に成り得る剣鋏は早い段階で取り除く必要が有るので、此方も高火力の切札を全部切る覚悟と心意気、そして勇気をサイナと皇帝陛下に示す!
戦闘開幕