VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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部位破壊も大詰め




積み重ねた刃は歴史を宿す地層の如く、猛々しき焔は烈火と轟炎の如く

剣・鎌・拳の三形態に変形し、手首を捻る事によって攻撃射程と攻撃範囲の変則と変動を切り替えられる、剣鋏二本の消失を経験する事になった皇金世代(ゴールデンエイジ)

 

そんな圧倒的な優位性(アドバンテージ)を持つ二振りの得物を奪われ、残すはあれから十三分経過時点で更にダメージ受けて、付け根に七割近い傷を負った事で千切れるか否かという状態に陥った皇帝陛下だが、寧ろ手が無くなったとしても無い腕でブン殴って来る様になり、聖剣を必殺の一撃の為に温存・機動力と質量突撃で懐に飛び込みインファイトで補完する戦術(スタイル)に変更して来た。

 

「ジャカジャカ動きまくって、相変わらず元気じゃねーか皇帝陛下よぉ!!オマケにサイナばっか狙いやがってなぁ!!俺を無視すんじゃねぇ!!!」

 

剣鋏破壊の過程で(利き)腕を失って隻腕状態になりながらも、残った左腕と左手でアラドヴァルを振るい、前衛として避けタンクとして兵威逸体(エピタフ)で産まれた分霊サンラクとサイナを単身守るサンラクは、アラドヴァルの切札たる輝槍実証第四(ブリューナク):焼燬(キャール)を切るタイミングを見計らう。

 

此処まで剣鋏の片割れを斬り落とし、剣鋏の片方と聖剣にダメージを与え続けた事で必然的に重武装かつ大火力を出せるサイナと、其のサイナを護衛する分霊サンラクがターゲッティングされ、幾ら幸運機動力ビルドに優れた自分から産まれた分霊でも、流石に何時までも持ち堪えられる訳では無い。

 

右側をアラドヴァルの鋒でチクチク刺しては目の近辺にも刃を近付け、接触するか否かのギリギリで銀に輝く刃を向け、自身に集るウザい羽虫と皇帝陛下に思わせる挙動を取れば、相手もウザいと感じたか聖剣や剣鋏を失った右腕を振り回す。

 

「サイナー!残り何分だ!?」

「報告:残り二分」

良し(ベネ)!エピタフ君も準備だ、一気に勝負を掛けるぞ!」

 

『焦れど焦らず・慌てど慌てず・急げども急がない』…………刻一刻と変わる状況の中で最適なルートを瞬間的に見極める力を身に付け、身の保全と身の犠牲を天秤にかけた限界点の見極める技術をサンラクが学んだ『クソゲー』。

 

ジャンルはタイムアタックアクションゲームながらも『とある点』を除けば面白い部類(サンラク基準)に入る、正式名称を『ドルチェフェアリー☆スクランブル・アイスクリーム!』なる可愛らしいタイトルのインディーズゲームで、其の略称を『ドブアイス』という物。

 

主人公はドルチェの妖精で丸々まぁるい、虫みたいな羽の生えた其のまんまのアイスクリームである『アイスクリームちゃん』であり、恋人のプリンちゃんに会いに行く為に野を越え山越え谷を越えて行くのだが、ジャンルがタイムアタックアクションゲームである為にアイスクリームちゃんの身体は時間経過と共に『溶けていく』。

 

オマケに真夏の炎天下の中、限られた時間以内にステージを攻略しなければならない上、ステージによってはアクションゲームの焦らせ要素の強制スクロールが有ったり、ギミックアイテム『天ぷらの鎧』を手に入れる必要が有ったりと、最速クリアをしようとすれば漏れ無く洗練を食らうという、まさに『急がば回れ』を此れでもかと経験させられる。

 

そしてインディーズクソゲーの特徴として、個人制作の為に『所々に変な部分や雑な箇所が点在』し、此のドブアイスは『主人公のアイスクリームちゃんの声』が特に酷い事がクソゲーマー界隈では有名だったりする。

 

具体的に抜粋すると、だ─────────太陽光で身体が溶ける度に「うんぬ、ぐぉああああああああ!!」と極道映画の大親分じみたドスの効いた声でアイスクリームちゃんが叫ぶだったり。

 

己の身体を守るべく比較的冷たい下水道の水に浸かって「ぬぅ、ふぅぅぅぉぉぉああああ………」と熱い温泉に入ったおっさんみたいな声でアイスクリームちゃんが息を吐いたり。

 

天ぷらの鎧を得るために料亭に忍び込み、灼熱の油へ身を投じて「おごぁぁぁあっ!ぐっ、がぁぁぁああ!!」と拷問に耐える歴戦の戦士の如き叫びを上げるアイスクリームちゃんだったり。

 

此の様に、プレイヤーの笑いのツボにダイレクトアタック+笑ってはいけない〇〇24時間じみた我慢(拷問)を食らわせ、オマケとばかりに『※彼女は妖精なので神秘のパワーで清潔なままです』と表示される仕様が有ったり。

 

此れを仮にモルドがやった場合、数週間か酷くて数年は笑いのツボが刺激され続けて使い物にならなくなり、もしルストにネフホロでギッタギタのボッコボコにやられたならば、此れを最終手段の奥の奥の奥の手(禁じ手)として切る算段でいるが、余程の事が無い限りは使わないつもりでいる。

 

サイナが超連接回転鋸(ヴァルヴェイブソー)を皇金世代の聖剣にブチ当てるのに、此方は『此処から先をノーダメで通しながら生存』と、『皇金世代のヘイトを分霊サンラクとサイナから自分一人に向けつつ』、かつ『アラドヴァルの必殺を聖剣と尻尾の付け根の境界線に叩き込んで破壊する』といった、超高難易度クエストでさえビックリの超極悪難易度の戦いをしなくてはならない。

 

「サイナ!ターボ掛けて勝負に出るぞ、気合入れろ!エピタフ君、傑剣との憧焉終刃(エスカ=ヴァラッハ)傑鎚との憧焉終鎚(エリサ・ドゥタール)を受け取れぇ!」

「了解:超連接回転鋸(ヴァルヴェイブソー)展開」

 

蠍系モンスターに共通する挙動、聖剣の位置と尻尾の可動範囲、回復動作の皆無、水晶群蠍達を統率する皇帝、金晶独蠍という種族の特色…………其れ等を加味した果ての果てに、インベントリアから空中に展開した二振りの武器を深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)を纏った脚でリフティング、からのキックパスで受け渡した直後にサンラクが動く。

 

「よく聞け、サイナ!不可能じゃなければ、即ち可能だと言う事!小数点刻みの確率を恐れるべからず!試行しなくては成功の確率なんぞ、ゼロから決して変動しないッ!!!」

「!」

 

戦闘開始から既に数時間、もう十分にエンジンが掛かって温まったアラドヴァルの刀身は銀から金の(輝き)を放ち、震える刀身が『今の時点で放てる輝槍実証第四:焼燬が最高最大級になった事』を、担い手のサンラクに報せた。

 

ならば、此方のやるべき事は一つ!アラドヴァルを握る左手を握り、アラドヴァルを持つ左腕を掲げ、そして剣であり槍である竜を滅する焔で皇帝陛下の聖剣を砕く事!!!

 

()は在り得ざる槍、断章積み編みて紡がれた非実在の輝き!!」

 

赤竜の脚を毟り取り、白竜の土手腹に風穴を穿った焔。今出せる極限(有りっ丈)で皇金世代の最後の得物を落とす!

 

 

 






聖剣を奪い取れ


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