VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

1106 / 1141


見せろ切札




炎剣なる炎槍よ、皇金を砕け

槍焔剣(そうえんけん)アラドヴァル。

 

ヴァイスアッシュの朋友であった今は亡き巨人族(ギガント)の英傑ドルダナが用いた得物であり、シャンフロで数有る英傑武器(グレイトフル)の中でダントツの知名度を誇る()が有る武器であり、朽ち果てから火を灯して修繕(リペア)からの再構築(リビルド)を以て至った、元は槍の穂先で在って現在は剣でも在る逸品(モノ)

 

修繕に関わったビィラックが言うには、現在の(槍焔剣)アラドヴァルは『真なる竜の血を満たす為の空っぽの器』らしく、仮説だった焔の槍は槍焔剣となって実証に至った事により、リビルド時代は刺突のみで繰り出せた焼燬(キャール)を、今の段階は『穂先の刺突』と『武器の投擲』で撃ち放てる様になっている。

 

非物質性の炎属性の槍なる必殺技、本来貫通力に秀でたのが槍の特徴と特色でありながら、アラドヴァルの焼燬は貫通力は乏しく爆発と範囲攻撃に秀でている『何ともチグハグな大技』を保有しているが、其の必殺技はサンラクが所有している武器が持つスキルや能力を見れば『上位かつ指折りの威力』なのだ。

 

「燃えろ灼熱!燃えろ闘魂!隻腕だろうが弱者だろうが、強者に難敵相手に食らい付いて食い破るのに、手足の本数と多い少ないは関係ねぇッ!!!」

 

アラドヴァルを握る左手と掲げる左腕が物理的に金炎で燃えているが、体力を減らして此方にスリップダメージを与えている訳では無いらしい。

 

そして金に輝き、今にも()ぜるアラドヴァルの勢い(パワー)は、此処までサイナと彼女を守る兵威逸体(エピタフ)産まれの分霊サンラクを排除しようと躍起立っていた皇金世代の意識を釘付けにし、たった一度の行動(ワンアクション)視線(ヘイト)を奪い取ってみせた。

 

「シャア、行くぞ皇帝陛下ァ!!」

 

爆ぜるが如き灼熱と力、数時間戦って皇金世代がペッパー・天津気(アマツキ)の様な深い思考とサイガ-100の様に対人対モンスターを想定した剣聖としての力、そして其の節々に見られる自分自身(サンラク)の動きから、勝負を掛ける時は最高火力でブッパすると前提に置き。

 

そして此処に来る前は愚か、ペッパー含めて水晶群蠍(マブダチ)達に誰も彼にも見せていない『本邦初公開の動き』を以て初見殺しを掛ける………そう、正しくこんな風に!

 

「本当にありがとう、マクセルさん!!!」

 

マクセル・ポートマン創設、回避を主眼に置いた格闘術マクセル・ドッジアーツの多重的円周運動(オービット・ムーブメント)は、物凄い距離を円周カーブを描きながらステップ一つで移動するスキルだ。

 

相対的立体運動(ソリッド・マニューバー)と合わせれば半オートで一気に回避挙動を取って安全圏に逃れたり、回避から攻勢へと一気に転じて相手との攻撃じゃんけんで優位を取れ、畢竟雲耀(ひっきょううんよう)と其の進化スキルの雷閃超越(いなびかりこゆる)摩天縮地(まてんしゅくち)を合わせれば、音を立てない雷速越えの超移動を可能にする事が出来る。

 

阿修羅の覇眼(アスラズ・ロックオン)で死角を無くし、刺突を仕掛けた皇金世代に『敢えて』背を向けた上で繰り出した多重的円周運動はサンラクの身体を浮かせ、空中に三日月の孤影を描いて黄金の巨躯たる背中に着地という結果を立証。

 

そしてサンラクは『よく知っている』──────水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)、其の中でも戦闘特化に進化した同族喰らいの金晶独蠍(ゴールディ·スコーピオン)に、テリトリー主義者となった帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)は敵対存在が背中に乗っかった場合、取るべき行動は『大体二つしか無い事』を。

 

一つは『己の損壊を覚悟した上で尻尾の先端に在る針を敵対者を貫き仕留める』か、もう一つは『巨躯を大きく振り回して背中から敵対者を空中に放り投げて鋏や針にビームで仕留めるか』の二択であり、そして黄金に輝く皇帝が取った行動は…………後者の大回転による振り落とし兼薙ぎ払いだった。

 

「其れを待ってたんだよッ!」

 

普段ならばインベントリアに回収していたのを、いざという時に備えてインベントリに回収していた女帝城の顕壁盾(ヴォーバン・ガルガンチュラ)を左手にアラドヴァルを握りながらも左手人差し指で選択、展開すれば右手が無い事で装備されずに重力に従って落下し。

 

堅牢なる要塞女王蜘蛛(フォルトレス・ガルガンチュラ)の素材で作った超重量の巨大城壁盾が皇帝陛下の背中に伸し掛かり、大回転中だった複数の脚達が縺れて唯でさえ振り落とす為の回転によって威力が入らず、ダンス中に足首を挫かれる様な真似をされれば人は転倒するのが当たり前だ。

 

「サイナ!歯ァ食い縛って、覚悟を決めろ!」

「問題有りません。契約者(マスター)………きっとコレも()()なのでしょう?」

「多分此れは蛮勇だわスマン!!」

「……………超連接回転鋸(ヴァルヴェイブソー)、攻撃します」

 

ギャオンギャオン!ともギャリリリリリン!とも言える駆動音を鳴らすサーキュラーソーと、バランスを崩されて威力が落ちた聖剣による横薙ぎ一閃が激突し、激しい火花を散らし合う。

 

「ッ!?」

 

だがしかし腐っても金晶独蠍にして次代の水晶群蠍達を守る決戦個体たる皇金世代。

 

サンラクの突発的な重量不意打ちにすらも耐えて、分霊サンラクに支えられたサイナが振るった超連接回転鋸(ヴァルヴェイブソー)の一撃を聖剣で受けた上で、尻尾の後ろに引くのでは無く重量不意打ちで縺れた身体を、更に其の方向に傾ける事で回転鋸の連撃連斬を受け流してみせるという、此の状況での『最適解』を見せて。

 

「だからこそ、俺が居る!」

 

サイナが破壊出来るならば良しとしていたが、腐っても相手は決戦個体だと備えて後詰めを用意していたサンラクは、左手のアラドヴァルを今一度握り締め直し、受け流しによって一瞬止まった聖剣と尻尾の境界線を補助スキル『エンクティム・ルリオーサ』によって見定めと構えに移行。

 

頭上をサイナと分霊サンラクが通り過ぎ去る時間が『やけにゆっくり』だと思ったが、どうやら優れたスポーツ選手やゲーマーが極限まで集中した一種の『FLOWに近い感覚を得る効果』が有るらしく、詳しく検証しようにも今は一秒たりとて此のチャンスを無駄にしたくない。

 

「貰うぞ聖剣!輝槍実証第四(ブリューナク)──────焼燬(キャール)ッッッッッ!!!」

 

黄金に輝き、幾多の強化と幾多の敵に竜を屠った英傑武器、巨人が担った槍にして剣が巨大なる炎を纏い、聖剣と尾の境界線へ灼熱に燃える穂先を突き付ける。

 

「お前の聖剣が幾年年月重ねても、此方は古い時代より蘇った英傑武器だぜ!年季と重ねた歴史(モン)が違う!!!」

 

刹那、黄金の大爆発が中心点に居たサンラクの視界を埋め尽くし、轟音と衝撃に吹っ飛ばされる中で『パキン!』という、確かに割れた音がハッキリと聞こえた。

 

吹き飛ぶ中でサイナと分霊サンラクに背中を支えられてキャッチされたサンラクの体力は残り幾許と、其の左手には耐久値限界と武器交換推奨を報せる警告画面(アラート)が出たアラドヴァル。

 

そして爆発の煙の中から飛び出し、空中で回転しながらに弧を描いて地面に刺さった、皇金世代の象徴たる聖剣が。

 

「ひゃっほほぉ〜い!!!こんな所にレアアイテムが落ちてるゥーっ!!!」

 

アラドヴァルをインベントリに入れ、言うが早いか迅速に動いて聖剣と巨大盾をインベントリに放り込むと同時、皇金世代の動きがピタリと止まった。

 

其の次の瞬間には以前に潰した片目に、今し方壊した尻尾の付け根を含めた在りと汎ゆる傷口から莫大な光が溢れ出し、一つ一つが剣の形を創り出して傍から見ても『高出力かつ超火力のレーザーソードを展開した発狂モード』───────正式名称『激昂月光態(バーストモード)』に移行したと、サンラク・分霊サンラク・サイナに報せたのである………。

 

 






破壊完了、発狂開始


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。