VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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戦いを終えて




白に二百通りの色が在る様に、金にも二百通りの色が在る(個人的見解)

「ぐごごごご…………皇帝陛下、お前は本当に強敵(マジダチ)、だったぜ…………!」

 

数時間に渡る激闘の決着、イムロン作の冥王の鏡盾(ディス・パテル)による閃光抜刀斬撃を反射し、カウンターで金晶独蠍(ゴールディ·スコーピオン)"皇金世代(ゴールデンエイジ)"を一刀両断して勝利を収めたサンラクは、重い身体に鞭を打って歩みを進める。

 

剣鋏の厄介度合や聖剣の破壊タイミング、制限時間付きの発狂モードにフレーム単位の即死ギミックと、一つのミスで間違い無く即死を強いる強敵であり、人によっては『クソモンスター』と烙印を押す様な相手だった。

 

「ふひ、ふへへへへ…………」

 

サンラクが笑うのも当然と言えば当然だろう。何せ目の前に積み上がった宝の山々は、此迄生きた皇金世代が遺した煌びやかで絢爛豪華な、多種多様な黄金に彩られている報酬にして遺産達なのだから。

 

正確にはサイナと兵威逸体(エピタフ)で産まれた分霊サンラクが居るので単身討伐では無いが、システム上の兵威逸体はNPCの様な存在であり、シャンフロのモンスター討伐によるドロップアイテムの量と質は『プレイヤーの数を参照しており』、今回の戦いを単身(ソロ)討伐で成し遂げた事で、ドロップアイテムの量は途轍も無く多く。

 

更にはサンラク自身のビルドが『幸運敏捷に秀でた軽戦士路線を行くステータス』の為、素材の中には希少(レア)なアイテム達がゴロゴロ在り、そして其の中でもサンラクの視線を一際引く逸品達が有った。

 

「『皇金(おうごん)煌耀核(こうようかく)』、コリャ皇金世代の心臓()か。………オマケに『二個も有る』たぁ、幸運ステータス様々だぜ」

 

嘗て手にした金晶独蠍の核『金晶独蠍の命晶核(めいしょうかく)』が黄金に輝くバスケットボールサイズの球体なら、皇金世代の核たる其れは黄金の中に漆黒やオーロラに透明度の高い水晶、他にも瑠璃色や星晶体の要素が入った物等を混ぜて球体ジグソーパズルにした様な、一種の芸術作品(アート)として飾っても客を十分に引き込めそうな物である。

 

そして当然ながら、皇帝陛下を討ち取って革命を成したサンラクを、水晶群蠍(民草)達は逃すつもりは決して無く。己の巨体で作った円形の観客席を徐々に狭めつつ、ジリジリと包囲網を狭めながら迫って来ていた。

 

「警告:周囲の水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)に動きが」

「見りゃ解るサイナ。………いやしっかしまぁ、物の見事に『スッパリ』と両脚斬られたなお前。其れとサンキューなエピタフ君」

「此の状態での活動は、半透明の契約者(マスター)契約者(マスター)に抱えられなければ困難です」

 

そんな折に分霊サンラクの脇の下に抱えられながら、此方に合流して来たサイナは其の両脚がスッパリと斬られており、皇金世代の最終攻撃たる三度の超高速超射程のレーザーソード抜刀斬撃の初撃、脚を狙って放たれた一閃でサイナは脚を断ち切られながらも地面に寝そべっていたからこそ、残りの二撃から生き延びて。

 

分霊サンラクは自分やサイナと違い、出撃から此処まで五体満足で生き残っている点を加味しても、本当に優秀なAIを搭載しているのだと理解出来た。

 

サイナはインベントリアに入れば回避出来るが、何やかんや有りながらも皇金世代の討伐に一役買ってくれた分霊サンラクを、此のまま無駄死にさせるのは流石のサンラクでも気が引ける。

 

「まぁ俺は逃れる術は有るが、お前やエピタフ君を置いてけねぇんだよなぁ…………。あ、インベントリアに入れるのかな?」

「回答:不可能です」

「おっと問題発生?」

 

そうこう言っても居られない緊急事態発生と水晶群蠍達の包囲網が迫る中、サイナはインベントリアに退避出来ない理由を説明する。

 

格納鍵(かくのうけん)インベントリアの基本機能は装備時点で二号人類の肉体其の物にインストールされる為、インベントリア自体が欠損などで損失した場合であっても行使可能ですが、エンター・トラベルシステムに関しては演算および座標関連の………」

「長い、簡潔に頼む」

「…………インベントリア本体はリスポーンシステムが発動した時点で再構築されますが、現時点ではインベントリア本体が『一時的な消失状態に在る』為、当機(ワタシ)契約者(マスター)の格納空間への転送が出来ません」

 

要約すると、格納鍵インベントリアによるエスケープを行うには其の部位が現存している必要が有り、戦闘や何らかの理由で損失状態になった場合は征服人形(コンキスタ・ドール)をエスケープ出来ないという事らしい。

 

そんな此方の状況とは裏腹に、水晶群蠍達は後方組が階段状に同胞を乗せて包囲網と逃げ道を更に減らしに来た為、取れる選択肢は少しずつ限られているが、其の解決策は既にサンラクの手中に在った。

 

「……………うん、よし。其れなら値千金の価値が有ると、そう信じる事にしよう」

「───契約者(マスター)、其れは」

「元々アクセサリー枠を無理矢理埋めてた所有ったし、コイツを買った時からどうするか考えてた訳だが、其の時が今だって話さ」

 

百足の人形をアクセサリースロットから外し、枠を設けたサンラクが取り出したのは嘗てリヴァイアサンにて購入し、インベントリの奥に仕舞って其のまま使い所を見計らい続けていた物………()()()の格納鍵インベントリア。

 

左手首に装着し一体化したのを見計らい、インベントリに納まり切らない残された皇金世代の素材を纏めて無限容量の神代文明製の倉庫に放り込み、最後にサイナを見つつ左手首をスナップして言う。

 

「どうしたサイナ、まさか此の状況で『未登録のインベントリアには避難不可です』………とか言わないよな?」

否定(いえ):可能です。ただ、此の為だけに二つ目を装備するとは…………」

「後悔なら後で自分で済ませとくから、今はさっさと避難しとけ。ほれほれ」

「………了解:契約者(マスター)の行動に最大級の感謝を」

 

格納鍵インベントリア二つに致命魂(ヴォーパルだましい)の腕輪と、現状アクセサリースロットが八枠の内の三枠使えず、エリュシオン・オートクチュール謹製の決闘級メイド服「千古不易」のカートリッジアクセサリーで残りが全て埋まるが、サイナの生存とインベントリアの取り外し不可を天秤に掛けた結果なので、後悔はしていないと思いたい。

 

そして分霊サンラクにもインベントリアを翳しながら入る様にジェスチャーしたが、半透明な彼は首を横に振りながらも、サンラクの右腕が再生するには自身の死も必要だと、まるで己の運命さえも受け入れた様子でサンラクと背中を合わせ、水晶群蠍達に向き合った一幕によりサンラクの兵威逸体の評価は一気に鰻上りとなった。

 

「…………エピタフ君がカッコいい所見せたんなら、俺も負けてらんねぇよなぁ!そうだろ兄弟達(ブラザーズ)!?」

 

最早包囲網はワンインチの距離まで詰まり、無機質な水晶の鋏と口に甲殻を鳴らして産まれた音が、革命の主犯格に死の鉄槌を下す処刑人の如き圧力を四方八方全面封鎖の状態で示す。

 

であれば此方も、民草に王者の風格と威光を見せねば無作法!そう決心して皇金世代を倒して得た不世出の奥義(エクゾーディナリースキル):皇金時代(ゴールデンエイジ)を起動せんと能力を確認した結果、皇金時代は攻撃系統スキルでは無く強化(バフ)系統スキルに当て嵌まる効果だと知って。

 

「あ、コレ、バフ系スキルなの?」

 

次の瞬間、其れが遺言として見られたサンラクと分霊サンラクは、蠍達から文字通り『袋叩き』にされて死亡する事になったのだった…………。

 

 

 






終わりは何とも締まらず終わる


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