創造主が笑う理由
『ふふふふ…………どうせ姿を見せないだけで聞いているんだろう『
『だから言ったでしょうエルマ=317……アンドリュー・ジッタードールとは『こういう人物』なのですよ。おはようございます、アンドリュー』
『私としては仮眠を取った様な物だがね。………さてエルマ=317号、いいやサイナだったかな?君は本当に幸運だ、何せ君が抱える
「勘、違い………?」
サイナの問い掛けに一通り笑った後、アンドリュー・ジッタードール………正確にはアンサーコード・トーカー Type アンドリュー・ジッタードールの言葉に対し、サイナは益々懐疑的な視線と表情をしながらアンドリューを見、ベヒーモス統括AIの象牙はやれやれと言った顔でアンドリューを見ている。
もっと言えばサイナの勘違い…………征服人形は使い勝手の良い使い捨ての消耗品という考えは、此の
『そも
「取り敢えず俺は其処に関しちゃ『ニワカ』なのと、オススメするコンサート映像は後でゆっくり見てやる。ペッパーからアンタが掲げた三号計画と最終目標も大方把握してるが、サイナの為に征服人形の使命を解り易く教えてやってくれ」
『…………成程。君にも伝わっている辺り、ペッパー・
「まぁ、そんな所だな。ファステイアでカルネ=
ペッパーから断片的に聞いた話にしか過ぎないし、シャンフロの征服人形スレには『カルネ=ヒトミの路上ライブ映像』が在るらしいが、サンラクは其処まで詳しくは知らない。
…………が、サンラクが何気無く言った路上ライブの一言に、アンドリューが食い付いた。
『…………いや待て、カルネ=ヒトミの路上ライブ!?一体何時行われた!?』
「其処の
『象牙何時だ!?何時行われた!?』
『…………アンドリュー、説明を。当時の映像は此方でも保管していますので』
『ぐっ…………仕方無い、気乗りしないが良いだろう…………』
此の
征服人形達は一号及び二号計画によって世界に拡がった新人類種と並行して定着させ、シュテルンブルームというアイドルグループを未来永劫に渡って『
シュテルンブルームというアイドルグループと神代の文化を後世の人々に伝え紡ぎ、文化や同志達の遺志を断絶させないメッセンジャーであり、嘗てのシュテルンブルームの存在『其の物こそが征服人形本来の使命である事』。
熱く、熱く、熱く…………ホログラフィックで有りながら、ドルオタと科学者と天才を融合させて三で割らなかった男は、機械と映像で出来た身体ながらも滾る血潮と熱意を掲げて叫び、其の熱量にサイナは一歩引いてしまい、サンラクは実際に話を聞いて一周回って感心するに至った。
(取り敢えず思ったのは『推し活は推せる時に推せ』と『何だ此のドルオタ!?』って感じだな………うん)
ペッパーがアンドリューの事を、頭のオカシイタイプの重度の拗らせドルオタと言っていたが、百聞は一見にしかずとの言葉が有る様に、実際に話を聞いた事で成程納得と言える物になった。
そして話を聞いて漸く落ち着いたのか、サイナはアンドリューに問う。
「疑問:征服人形の基礎プロトコルは『
『三号計画は凍結されたからね………』
「では、其の理由を」
『仮にも三種目の人類種と定義するなら『
人は其れを英断と言うが、言わぬが花と感じたのでサンラクは心の内にて仕舞って置く事にし。
「確かペッパーが言ってたのは、アンタは征服人形の『未完成』を改善点みたくピックアップして、上層部に
『うむ、そうだ。彼等彼女等からしたら『人間』と表記したのが気に食わなかったのだろう。ならばと当時の私はこう考えた………『最早シュテルンブルームは人間という枠組みすら超越した存在なのだ!』とね!!』
「過度な神格化ってのは、何時の時代もロクな事態になんねーぞ………」
プロゲーマーやカリスマモデルにしても、常に其処にはファンと信者にアンチの三派閥に分かれ、電脳世界ではレスバに発展したりと混沌を極めたりする事が多々有る。
そして未完成という
「質問:征服人形に元から存在する『未完成』とは?」
『もちろん教えるとも。其の『未完成』とはシュテルンブルームのファンたる私では無く、征服人形の父として設けた物であり。そして其れは此のラボに辿り着いた征服人形に与えられ、君達は初めて『完成』するのだ』
『神代人類がバハムートに辿り着く事が使命であるならば、
『おめでとうエルマ=
───「N」パッチ、インストール…………完了。
「…………」
「…………」
『…………』
「………いや、で!?何かこう、何か無いの!?」
ド派手なエフェクトやらが発生すると期待した反面、何も起きていない事にサンラクが声を上げた中、アンドリューは己が作り上げた創造物を慈しみながらも何処か突き放す様な表情で、サイナに言った。
『既にインストールは完了している。Nパッチがサイナに導入された事で、サイナの感情に掛けられていた
「感情、上限………?」
『そうだ。君達は常に聡明で理性的な判断が出来る様に、『一定以上の知覚情報の写真に対しての反応』にリミッターが掛けられている。だがNパッチを適用した事で、君は其の枷が外された』
そう語るアンドリューの表情に、サンラクは見覚えが在る。アレはまさに『別のゲームで
『君は主観的な感情に知性を忘れる事になるだろう、愚かな選択をして後悔する事になるだろう、或いはより強く浮き彫りとなった死の恐怖に怯えるかも知れない。
だが君は同時に主観的な感情による喜びを得るだろう、非合理の先に新たな境地を見るかも知れない、或いはより強く浮き彫りとなった生の実感を楽しむ事が出来る』
喜怒哀楽の四つに大まかに分けられた感情は、時としてゲームでは負の側面が強調されるパターンが多い。此れでもかと前面に押し出す事で、正の感情はより深みと強さを増すのだ。
『征服人形は設計段階から賢く生きていける様に………万が一にも全滅しない様にと、合理的な判断を下せるように設計した。他にも二号計画との合流や
「………感情:非合理な選択」
『だが其の『非合理』こそが
取り敢えずサイナとアンドリューの会話から、多分上手くいったし此れで良いかと思ったサンラクに、此処まで肩に乗っかって彼等のやり取りを黙って見ていたエムルが、まるで確信したかの様に彼に言う。
「サンラクさん、今何か『しょーもない事を考えてる頭の揺れ』でしたわ」
「…………うっそだぁ〜?」
「サンラクさんがしょーもないことを考えてる時は、大抵『ちょっと上向いた後に大きく左側に頷く』んですわ。無意識のクセってヤツですわ」
「マジ?………うわマジだ!?」
長らく旅路を共にした相棒からの指摘に、自分を鑑みたサンラクは其の発言が正しいと認識してギョッとした。
何時だったか学校の授業で四分割されたマス目状の表に、自分と他者の見える物と見えない物についての区分けに於いて、自分には見えずに他者からは見えている要素の中に、自分の無意識の癖が『そっくり其のまま当て嵌っていた』のだから。
一大イベント完遂