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左方始源眷属の黒、正式名称を
攻撃パターンにモーション、移動時の動きには共通して筋肉をポンプの如く流動させる事によって空気を圧縮、其の圧縮した空圧を解放した際のエネルギーで拳や巨体を加速し、唯でさえ凄まじい打撃力・破壊力・馬力に更なる乗算を加えて殴る。
そんな
筋肉というのは弛緩と緊張を切り替える事で、堅い攻撃と柔らかい攻撃を繰り出し、更に筋肉の密度と大きさによっては攻撃時のインパクトによる影響範囲は拡大し、背筋周りが強くなれば悪路でも安定感の有る打撃を繰り出せ、腰筋周りが確りすれば自重によって押し潰される事も少なくなるメリットを持つ。
大黒繊の場合は特に顕著であり、全身の至る部分というよりは『身体構造の大多数が筋肉で占められている』と思しき此のレイドモンスターは、筋肉を緊張させてガッチリと固めるだけでも鋼鐵の様な硬度によって、刃物や槍による生半可な刺突や打撃を通さず破壊する程の鉄壁へ。
逆に筋肉を弛緩させての流動を行えば体内を走る衝撃を外や地面へ逃がし、接近戦による拳打や脚撃を受け止めて拘束した状態で超高火力の打撃を叩き付けや、其のまま拘束して頭をプチトマトの如くプチッと潰す、胴体を鯖折りや胴と腰を握り持って脊髄抜きすらも出来たりと、筋肉が有れば生殺与奪の権利を握れるというのは間違いでは無い。
(まぁ一般的な人体に置ける筋肉ってのは、ある意味『呼吸と似てたりする』………なんて論文を何処かで見た覚えが有る。つまり生物の筋肉は永遠に硬化は出来ないし、弛緩と流動も永久には行えないのが摂理でも有る訳だ)
人体の三の法則の一つに、人の呼吸は平均三分しか持たないという研究結果が在る。筋肉の緊張を其れに当て嵌めると、硬化を維持出来る時間には限りが有るとの証明に繋がり、筋肉を固め続ければ角張った行動しか出来なくなる為、動きに支障を来す。
そして筋肉を固め続ける事は無呼吸運動と同じで有り、激しい運動を行った場合の最大活動時間は大体三十秒が限界が常識─────────なのだが。
(戦闘開始から約十五分、先ず間違い無く嵩増す大黒繊は『筋肉で呼吸してる』な………。空気を圧縮・放出出来るって事は必然呼吸してるのと同じ訳だから、鯨やアザラシにペンギンとかの海洋生物に見られる物と似ている………)
ブーストされた拳打十数回、其の間にインターバルの如く挟まる体内を巡る蒸気の排出、全身から立ち昇る業火の如き湯気が夜天の星空の下に照らされ、オーロラを想わせる様に揺れている。
嵩増す大黒繊は筋肉の流動で圧縮した空気の放出で、此方の実体武器が放った軌道を逸らすだけで無く、空圧で威力が減衰した攻撃を御自慢の筋肉で受け止め、自身が攻撃する為の絶対的な隙を作り出す。
当たれば即死は不可避、かと言って全身筋肉と仮定した此の始源眷属が持つリソースを吐かせる方法を考えた場合、やはり『相手の間合いで相手を動かさせてスタミナを削る事』が一番だとペッパーは考えるに至った。
「其の為にはお前の最も力を振るえる
『OOOoooOOOOOOOOLLLiiiiiiiiiiiiiiiiii!!!!!』
やると決めた日こそ吉日!其れ以外は全て凶日!冥響のオルケストラとの謁見は後日に持ち越しも視野に、嵩増す大黒繊をブッ飛ばす!!!
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其れから十分経過。
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「ほにゃあああああ?!!?」
敵の最も得意とする領域、嵩増す大黒繊の場合は至近距離〜超至近距離、或いは奴を中心として半径五メートル圏内、一歩か一回の判断ミスが死に直結する緊張の中、墓守のウェザエモンの
「改めて考え直すとっ、単身レイドモンスター討伐って馬鹿げた
『OLLiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!!!』
「ツッコミ御苦労!んじゃ食らえコンチクショウめ!!!」
ディトライヴブレイカーによる何十回目の打撃、
(いや其れにしたって『おかしくないか』………!?)
ディトライヴブレイカーのリジェネ並びにスリップダメージは『同じ箇所へ打ち付け続ける度』に、其の直撃回数に応じて効果倍率は上昇していく。
其の特性を理解した上でペッパーは此処まで嵩増す大黒繊の両脚の脛をピンポイントで殴り続けているのだが、発生していると思われているスリップダメージが効いている気配がしないのだ。
嵩増す大黒繊が単純に『サイクロプス系統のモンスターが持つ特色の体力お化けタイプ由来の物』か、はたまた『筋肉流動によって身体に与えた影響をリセットないしズラしている』のかの二通りで、其れを確かめる為にペッパーはインベントリから投擲アイテムの『投擲玉:炸色』を取り出し、右手に持って全力で投げる。
此のアイテムは某有名狩りゲーたる『モンスターハンター』で言う所の『ペイントボール』に当たる物で、一定時間『直撃した対象へ
大黒繊の右腕による弾きで炸色が破裂し、右腕にベッタリと色が付いた中、再びディトライヴブレイカーを脛に叩き付けつつも、今度は太腿をも狙って殴りまくったペッパーは敵のポンピングパンチ発射を誘発する動きを続け………其の答えを知った。
「成程な………!道理でスリップダメージやらが、お前には効いてない訳だ──────!」
彼が目撃したのは、筋肉が一際大きく流動して空気を圧縮しながらパンチを繰り出す準備する嵩増す大黒繊と、投擲玉:炸色によって色が付いた部位の位置が『流動によって移動する瞬間』で有り。
全身が筋肉其の物で出来ている始源存在であるからこそ、筋肉を流動させた際に排出する蒸気によって体内に起きた影響を、汗と蒸気と一緒に纏めて体外に排出する事で『ほぼ無力化させていた』のだと確信した、次の瞬間。
両脚の筋肉さえも一気に流動させて圧縮した空気を解放し、此迄で一番の速度で繰り出された大黒繊のポンピングパンチが─────────
ペッパーを飲み込んだ。
厄介極まる