VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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運命や如何に




魚や肉は常に確りと火を通して焼かないと、食べた奴は腹を下す最大の要因になる

嵩増(かさま)大黒繊(だいこくせん)の繰り出すポンピングパンチ………正式名称を圧縮黒色咆打(クウヲヘコマス)は、嵩増す大黒繊の()()()で有ると同時に、全形態で()()()()使う技でも有る。

 

此の技は大黒繊の個体差にもよるが、同族との戦いに勝ち残り続けている個体かつ一ヶ月以上生き残っている個体ならば、()()深海三強をも唯の一撃で砕き潰して沈める事が可能になる程の、文字通り『必殺技』に等しく。

 

其の破壊力は、シャンフロ最強の物理型タンクのSF-ZOOタンク五人衆が展開したスキルや、魔術型タンクで最大防御(ディフェンスホルダー)のジョゼットの門魔法(カウンター)すらも貫通した上で叩き潰す程の威力を持つ。

 

そして何より恐ろしいのは、大黒繊が全形態で繰り出す此の拳打は『タンク職が必須としている衝撃耐性や物理耐性をも無効化する能力を常時搭載(デフォルト)しており』、パリィこそ何とか出来たとしても『耐久値減少無効化能力が搭載されていなければ』受ける事さえ許されない、超火力の一撃だと言う事なのだ。

 

『OOoooiii………ori?』

 

拳に当たったという手応えを感じ、此の手で敵を仕留めたと確信し、振るった拳を引いた大黒繊だったが、其の拳には『誰も居ない』。

 

己の力が凄まじ過ぎるのも考え物というか、鍛え続けた結果がコレというべきか、はたまた戦った相手が脆過ぎたと思ったか、また同族喰いの為に研鑽の旅路に「何自分が勝った気でいるんだ?」

『OorLllaGiii!?!?』

 

次の瞬間、大黒繊は此迄の戦いで一番とも言うべき凄まじいパワーで後頭部を殴られ、文字通り『目玉が飛び出す程の衝撃を味わった』挙句、冷たく冷えた砂漠のベッドへダイビングする屈辱を味わわされ。

 

そして其の後ろには、雲の羽衣と紅き火焔を身に纏って蟹脚の巨大なる鎚を抱え、空中に踏み留まり。確かに自分が殴り殺した筈の、小さな人間(ニンゲン)が居たのである。

 

 

 

 

 

 

ペッパーが無事だった其の理由、其れは彼が星天秘技(スターアーツ)コスモ・ネビュラとレーアドライヴ・アクセラレートを使っていたからに他ならない。

 

前者は一回の接触によって消えてしまう脆弱さを持ちながらも、接触した際に感じる感触が人体に触れた時の物と同じという特色を持ち、後者は一定回数使用するまで使い切りで使用後から再使用時間が発生するも、其の間は連続で【瞬間転移(アポート)】じみた瞬間移動を可能にするスキルを用い、相手が此方を殴り殺したと誤認させ。

 

敵が此方に気付く前に砂塵に紛れ、封熱の撃鉄(ニッショウトリガー)並びに封雲の撃鉄(タイタントリガー)起動からの、インベントリアより大海鐘(だいかいしょう)を取り出して巨人兵の大厳撃覇(ジャイアント・インパクト)を嵩増す大黒繊の後頭部に叩き付けた…………というのが、ペッパーが行った一連の流れだった。

 

「其れにお前の筋肉流動を見て、ちょっとした攻略法みたいな物を考え付いたんだよね………!」

『OOOoooiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!!!!!!』

 

大海鐘をインベントリアに収納し直し、怒り狂い立ち上がった大黒繊へとペッパーが即座に接近。

 

炎熱を帯びて燃え上がる雲の手で大黒繊の身体、人体で言う鎖骨と片側の肩に掴み掛かり、指先を黒一色の肉体に食い込ませれば、放出される圧倒的な熱が黒い身体を焼き始め、一秒経つ度に焼かれるペースが速くなる。

 

『OOOOllleeeeeeeeeeeeeeeeee!?!?!!!』

「火傷ってのは最短でも数日の、長ければ数週間は確実に痛みは残り続けて、身体に生々しい痕跡は残る。そして最悪のパターンとしては『細胞が呼吸不全に陥って死ぬ』………じゃあ筋肉其の物と言える嵩増す大黒繊、熱耐性を下げた上で燃え易くする封熱の撃鉄で至近距離から焼かれた場合、君の筋肉は『一体どうなるのかな』?」

『OOOLLLoooooOOOOooooooooooOOOOoooOOOONilllleeeeeeeeeeee!!!??!!』

 

赤熱化していく黒一色の巨体を振り回し、力で引き剥がさんと抵抗をする大黒繊だが、超巨大な猛獣相手に常に死と隣り合わせのロデオレトロゲームと試作型戦術機獣(しさくがたせんじゅつきじゅう)天王(てんおう)】を相手にロデオを行った経験を投入。

 

現実世界でも1tは下らない筋肉の塊で有る牡牛(ブル)を乗り熟す熟練のブルライダーの如く、人体の構造で暴れ回る嵩増す大黒繊相手にシャンフロで手に入れた感覚を、シャンフロ含めて様々なゲームで研鑽を続けた『脊髄反射の要領で動く事』で、己の重心を大黒繊相手に『常時真っ直ぐにする』。

 

相手の縦横無尽に動きまくる筋肉の流動から、如何様に動くかを一瞬一瞬の中で『先読みして重心を調整し続けて』移動し、現実世界のロデオやロデオゲームで失敗す(振り落とされ)る最大の要因『身体のブレを極限まで抑え込む』という、日本最強のプロ格ゲーマー(オイカッツォ)が良く言っている『VR全盛期の此の御時世で人体が如何に行動した時にどんな結果を産み出すかを把握していて当然』に当たる物に等しい。

 

時間経過と共に肉体が焼き焦がされ、表面から内側に連鎖的に熱を注ぎ込まれ続け、巨体を振り回しては冷たい夜の砂漠に身体を打ち付けど、此方の動きを常に把握された様に移動されて捕まえる所か指先でも触れる事は出来ず、胴体の長い昆虫が身体中を這い回る得体の知れない気持ち悪さを嵩増す大黒繊は味わって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『OOOOoooooooooooooooooooooooooolllllllllllllleeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!』

「っ、おわぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

其れが体皮たる筋肉と体内の筋肉に『一定以上の疲労及びダメージを受けた』嵩増す大黒繊が、其の口から咆哮を上げた事により、第一形態から第二形態に移行する引き金となり。

 

突如として其の巨体と筋肉の数々は『パンパンに膨れた風船の如く一瞬で膨張』、張り付きロデオをしていたペッパーを大きく吹っ飛ばして、己から害虫を引き剥がすが如く。

 

そうしてバキバキメリメリと、ダメージを受け続けた部分を表面に出しながらも、筋肉達を流動させて無理矢理動かしては唯でさえ大きな巨躯は更なる成長を。

 

特に封熱の撃鉄の効力で火傷を負った箇所は『より深い黒を帯びた部位』となって、嵩増す大黒繊はペッパーを前に相対したのだった。

 

「此処からは第二形態…………其の認識で良いって事かな?」

 

直撃=死の方程式は変わらぬ中、勇者は唯一人で黒き単眼鬼との死闘に身を投じ続ける。

 

 

 






次なる形態


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