VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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最終決戦




猛り昂り叫べよ魂

『OOOO、OOOoooLllLLLiiiiiiiiiiiiiiiiii!!!!!』

「死に物狂いの連打!良いね、そうこなきゃだよなぁ!!嵩増(かさま)大黒繊(だいこくせん)!!!」

 

嵩増す大黒繊が最終形態と思わしき姿への移行、空気圧縮による雷の発生と強化、一回の行動(アクション)毎に身体が崩壊する事象の発生。

 

其の光景を見てペッパーが思ったのは、嘗て相対して張り倒して(終わ)らせたユニークモンスター・墓守のウェザエモンの第三段階と、リヴァイアサンで目視し経験した全盛期(ナーフ前)ウェザエモン・天津気(アマツキ)が使った晴天流【雷】第二奥義「成神(なるかみ)」を彷彿とさせる姿から、嵩増す大黒繊の最終形態は『敵の超強化状態で一定時間耐久による勝利が約束されている』と読んだ。

 

雷が発生する程まで筋繊維の圧縮で起こした空気を解放し、己の身が自壊する事さえ是とする程の力を行使し、自らの存在を賭して唯一人の人間を仕留めんと嵩増す大黒繊が吠え、自壊と死に至る時間が加速する事になろうとも、絶対にブッ壊すと決意して。

 

だが其の攻撃はペッパーには当たらない、無作為に放っても届かない、幾度も振れども掠る所か、雷による空気への影響すら加味したかの様に、まるで『此方の打つ手が()()読まれているとしか考えられない動き』で回避され。

 

筋肉と筋肉を繋ぐ腱に当たる箇所を黄金の盾の角張った縁で突かれ、拳打は鏡面で威力を流され逸らされ、此処まで至るまでに唯一人の人間を仕留められない状況は、脳筋極まった嵩増す大黒繊でもペッパーという存在を『異質極まる怪物』として、漸く認識するに至った。

 

「せいっ!」

 

晴天流【雷】派閥・第二奥義:成神───────天揺らし轟く雷に鳴る様に、悪鬼鏖殺の神と成る様に、マナ粒子の力に押されて体内電流が莫大なる出力を以て発露した雷電の化身は、己を万全から死地に追い込む程に力を発揮し、巡り巡る電気は身体の反応速度を高めて、全身の筋力含めた汎ゆるステータスを限られた時間強化する。

 

彼が今現在手に持つ勇者武器(ウィッシュド·ウェポン)聖盾(せいじゅん)イーディスは装備時に担い手に強大なバフを与え、装備時にのみ使えるスキルを幾つか追加するのだが、ペッパーは右手含めて全身に強化(バフ)弱体化(デバフ)両方の効力を無効にするリュカオーンの愛呪(あいじゅ)が付いており、灼骨砕身(シャッコツサイシン)による呪い相殺を行う必要が有った。

 

だが此の灼骨砕身による愛呪の効力を一時抑える行為は、最強種(リュカオーン)が刻んだ寵愛の証を消し去るという『一種の暴挙』に等しい行動であり。リュカオーンの分け身のノワも直ちにペッパーの元へとスッ飛んで来た上に、事情を説明しても『物凄く不機嫌な顔をした為』、ペッパーは『此の行動を一日一回』と縛りを付ける事で何とか納得させたのだ。

 

(何時か訪れるリュカオーン本体との決着、イーディスとグランシャリオを用いて戦う事を念頭に、敢えてイーディスに絞って戦っているが…………こういうのも悪くは無いな。寧ろローンウルフ盾縛りで嵐皇タイタニオンを倒したガル之瀬さんの動きを、イーディス用いて自力再現(セルクリエイド)の質を高めるのには良い!単純な火力を用いて来るならば、此れ以上の相手は早々居ない!)

 

攻撃を受けると操作キャラが怯むのでDPS重視で前のめりに攻める事が最適解とされていた攻略法(其れ)を、相手のAIが転倒させられる事を想定していなかった事でスッ転ばせた後に盾で滅多打ちにした、ゲームプレイ動画で検索エンジンを掛ければショート動画に出て来る其れは、ペッパーが自力再現で嵐皇殺し(タイタニオンスレイ)を産み出す元となり。

 

現在はローンウルフを盾縛りプレイした時の様々なガル之瀬の動きを自力再現で表出させ、呪い相殺効果と勇者武器のバフが同時に切れる五分の間に嵩増す大黒繊を殴殺する勢いで、次から次へと攻撃を躱して往なして叩き付け。

 

盾縛り時のガル之瀬を己の身体へと落とし込みつつ、汎ゆるレトロゲームの盾武器使いのキャラの動きを記憶の書庫から引き出し組み込み、骨格と血肉に変えて戦い続ける。

 

 

 

 

─────────ペッパーは気付いていないが、最終形態の嵩増す大黒繊は刺突武器やスキルが著しい効果を発揮し、打撃武器や打撃系列の攻撃は効果が薄い状態になっており。

 

だがしかし、刺突等で大黒繊の筋繊維に攻撃を加えると、圧縮された空気が雷の速度で噴出されて、当たれば余程の耐久値が無い限り肉体を貫かれ、四肢は一瞬で吹き飛んだり、頭や心臓を穿たれたならばスリップダメージによって食い縛りも無視され死ぬ、初見殺しに等しい結果(顛末)が待っていた。

 

ステーキ肉を調理する際に肉叩き器具で筋繊維と組織を解し、焼き上がりの硬直で肉が固くなりにくくするのと同じ事だが、聖盾イーディスによるシールドバッシュの連打により、嵩増す大黒繊が圧縮した空気は打撃によって雷共々外へと(押し)出され。

 

放電による影響も成神によって体外に現れた蒼白の電撃で中和が起き、シャンフロエンジンによる近接戦闘故に発生する麻痺の影響緩和と、嵩増す大黒繊を相手にした際のペッパー・天津気(アマツキ)は余りにも…………『神掛かったとしか形容出来ないレベル』で、相性が良過ぎたのだ。

 

『OOOOoooOOOOooooooooo!!!!OOOOOOOOOOOLllllllllllllllllliiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!!!!』

「掛かって来いッ!!!」

 

片や全身の腱が千切れ欠ける中、片や呪い相殺終了の刻限迫る中で、互いに渾身の力を。

 

最大最速の右ストレートが此の刹那に交錯し、嵩増す大黒繊の必殺にして最も信頼を置いた右ストレートを、此の最終局面でも繰り出してくると『信じた』ペッパーは其の一撃を紙一重で擦り抜け、有りっ丈のバフを流れる様に点火して最後に翼神の黎撃(ニーケ・インパルス)聖攣の神覇業(ウルク・フォルセティ)を乗せた右拳を、嵩増す大黒繊の鳩尾に叩き付ける。

 

アルテア・メダリオンフィストによる鋼鐵じみた拳に、剛狼重肢(エナハ・ガウシル)の四肢の筋力並びに耐久強化を始め、ビックバンバーストとプルス・アステリズムに成神と勇者武器の重厚な強化(バフ)で、灼骨砕身の呪い相殺の代償たる耐久値半減効果を塗り潰し、放った拳は黒一色の単眼剛力鬼の身体を構築する『最後の一線をブチ破り』。

 

『O………oo、LO……ii…………───────』

 

全身の腱と筋肉と筋繊維が保持力を喪失し、まるで紐と糸で作られた人形が生命線の糸を引っこ抜かれた事によってホロホロと解け、バラバラになって崩れるが如く砂漠に落ちて行き。

 

聖盾イーディスの縁に落ちたのを見れば、其の正体は『黒一色の大小様々な大きさの蛭』と、大多数のプレイヤーが嫌悪感をMAXにして悲鳴を上げる未来が見えた、(むさぼ)大赤依(だいせきい)と別の方向性で恐ろしい存在だった。

 

「嵩増す大黒繊。愚直に強さを求め続け、頂に至るならば同族喰いすら厭わぬ、求道にして覇道の旅路を征く黒き蛭達よ。お前達と戦えた事を、俺は生涯の誇りに思うぞ」

 

力尽きた蛭が更にバラけて崩壊し、砂漠に吹いた夜風に消えたのをペッパーは見送り。そして現れたシステムウィンドウ画面の表示と共に、此の戦いは終結となったのだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『流動せし黒き腱にして筋は砕け散る。だが終わりしは僅かなる欠片に過ぎず………』

 

『モンスター急襲(レイド)………討伐(クリア)!』

 

『討伐対象:嵩増(かさま)大黒繊(だいこくせん)

 

『レイドバトルが終了しました』

 

『参加人数:1/15』

 

『次レイド開始:別の嵩増(かさま)大黒繊(だいこくせん)との遭遇時に開始されます』

 

『称号【災食主義(ハザードイーター)】を獲得しました』

 

『ユニーククエスト【我が身は人と共に、色災を破る】が進行しました』

 

 

 






終着する戦い


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