VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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答えを求めた旅路の先




滾る血潮で真相を解く

「……………というのが、俺とレイさんが出した冥響のオルケストラに関する仮説だ。多分一番納得というか、筋が通った答えだとは思うが」

「…………素晴らしい考察だ。であれば早速検証せねばね」

「ミレィさんに連絡送りました。数分でログインしてくると返信来ましたよ、キョージュ!」

「其れは重畳」

 

サンラクとサイガ-0、そしてエムルにエクシスとウォットホッグ、エルマ=317(サイナ)とレイカ=193(イクサ)は冥響のオルケストラが滞在して居る事務所(ドールベース)に到達から、其の脚でライブラリが事務所内の一角に作った教室(スペース)に赴き、導き出したオルケストラという存在の考察と正典ルートの挙動を述べれば、キョージュはニッコリ笑顔で言った。

 

「此の世界の根本原理は『生きた思考』に由来している。であれば死者………サンラク君達の仮説の場合は、死と言うよりも『過去』と言うのが適切か。本来であれば生死で論ずる以前の『存在の意思を実行する物』がオルケストラであり、其れがテセウスの船というのならば確かに其れは『紛う事無いオカルト』と、そう言っても良いだろう」

「ですがキョージュ、其の仮説だと『正典と偽典の違いに疑問が出てきます』。過去の人物が何かしらを問うと言うのであるなら、正典と偽典に分ける必要性が無いと思いますが………」

「恐らくだがオルケストラの正典と偽典では、オルケストラ側からの『アプローチが違う』。そしてサンラク君が述べた正典ルートの仮称:忖度ガード、アレは『オルケストラが納得していないからこそ起きた物』であり、そして『オルケストラの領域下だったからこそガードが頑丈な物になった』…………そうだろう?」

「あ、ウッス」

 

此方が言う前に答えの大方に気付いている辺り、流石は考察駐厨(ライブラリ)と言うべきか。思考深度の怪物(ペッパー・天津気)と同じく、クランを統べる似非魔法少女(中身重厚の老年男性)も並大抵の思考深度では無い。

 

「おぉ〜、サンラクさん達じゃないですかー。オルケストラの仮説は付随されてたメールで確認しましたよ〜、一番筋が通った仮説でしたねー」

「そりゃ結構だ。取り敢えず此れからオルケストラの正典ルートの戦闘録画やらを話すから、ちょっと協力してくれ」

 

そんな折、偽典ルートだったがオルケストラの最初のクリア者のミレィも合流した事で、オルケストラ正典ルートの状況や攻略を如何にして確かめるか………という方向に会議はシフトする。

 

「さて正典ルートの戦闘録画をする方法についてだが………実はライブラリの面々が其の点に関して『ある程度』考えてくれている」

「んで、俺は何をするんだ?」

「生配信ですね〜」

「…………生配信?えっ、生配信???」

「黒狼と対戦した時、他プレイヤーが別天律(ことあまつ)隕鉄鏡(いんてつきょう)でライブ配信してたじゃないですか〜。其れを使って生配信でオルケストラの秘密を撮りましょう、ツチノコさん」

 

ライブラリ曰く、オルケストラが再現したエリーゼの撮影がぼやけて失敗した事から、オルケストラの戦闘を記録するには生配信によるリアルタイム録画が一番では無いか?という結論が出たらしく、其の為に必要なアイテムが生配信アイテム・別天律の隕鉄鏡だと言う。

 

「………其れ、俺がオルケストラ相手にアクセサリースロット一個潰せって言ってんのと同じだし、俺既に三枠潰してんだぞ………」

「其の変わりと言っては何だが、対オルケストラに有効な方法を影法師の試練に挑んだプレイヤーが手にした、幾つか情報を教えるつもりだよ。ケケケーラ君、毘猩々(びしょうじょう) 磐斎(ばんさい)君」

「はい、キョージュ!そう言うと思って、此方も其れに備えて準備して来ました!サンラクさん、御任せ下さい!」

「そして其の話になった場合の文面も、既に此方で纏めて置きました」

 

キョージュの指パッチンからガラガラガラと、リヴァイアサンかベヒーモスで手に入れたと思わしき滑車付きのホワイトボードがケケケーラによって運ばれて来て。

 

其処に書かれていたのは、所謂『有る無しゲームの如く区分けされた一覧表』の様な、オルケストラが模倣出来る物と出来ない物を区分し、其の区分を行う判断基準だった。

 

「前にオルケストラの最終楽章の考察をした時、他のプレイヤーが持っている武器はコピー出来ないという事を話しましたけど、あれから影法師の試練を通じて更に詳しく調べた所、厳密にはオルケストラが模倣(コピー)出来ない条件は『其の武器防具が元々の持ち主から、今の持ち主に所有権が移っていない事が必要』と判明しました」

「此れをアイテムや使い捨て魔術媒体(マジックスクロール)に理論を置き換えた場合、『私達が購入した物品を譲渡申請しないでサンラクさんに渡したり持たせたり、後は征服人形(コンキスタ・ドール)由来の装備や回収者機能をオルケストラは模倣出来ないのでは無いか?』という仮説が生まれたんです」

「…………要は『残った装備やらで全部乗せしつつ最終決戦へ!』みたいな?」

「ですです。アンドリューがどうしようもないロマンチストと象牙(ゾウゲ)マッマが言ってたので、メタ的な視点では『シャンフロの運営でもロマンチスト容認派が居る』のも濃いかなと」

 

頭世紀末のホログラフィック割烹着に何処でバブ味を見出すのか疑問だったが、要約すると『此方(ライブラリ)は正典に挑むサンラクへの全面バックアップを行い、其の為に大量の回復アイテムや強化アイテムを仕入れたので好きに持って行って良い。

 

代わりに自分(サンラク)は動画サイトにアカウントを作って、プライベート配信でオルケストラ戦をリアルタイムでゲーム外に配信によりライブラリへ情報提示を行う』………という形に落ち着いた。

 

となれば早速ログアウトしてアカウント作成を………、そう思っていた矢先にシステムアナウンスが世界に轟く。

 

 

 

 

 

 

 

『流動せし黒き腱にして筋は砕け散る。だが終わりしは僅かなる欠片に過ぎず………』

 

『モンスター急襲(レイド)………討伐(クリア)!』

 

『討伐対象:嵩増(かさま)大黒繊(だいこくせん)

 

『レイドバトルが終了しました』

 

『参加人数:1/15』

 

『次レイド開始:別の嵩増(かさま)大黒繊(だいこくせん)との遭遇時に開始されます』

 

 

 

 

 

 

 

「嵩増す大黒繊!!?」

「マジで!?」

「レイドモンスター討伐!?!」

「しかも単独(ソロ)ですとぉ?!」

「ジークヴルムのユニークシナリオ終わった後に出た始源存在ですよねコレ!?」

「…………討伐したのペッパーさんだったりして」

「其れは…………有り得そうですね」

「あの人ならやりそうよな、うん…………」

「………生徒(クランメンバー)諸君。我々はオルケストラ攻略に挑むサンラクのサポートだ。積もる話は有るだろうが、今は集中してくれ」

 

キョージュの一言でクランメンバー全員も一瞬で落ち着き、続けて『了解ッ!』と述べて行動へと移り。

 

サンラクとサイガ-0もまたスキルの再使用時間(リキャストタイム)の完全経過と武器修繕、そして準備の為に一旦ラビッツへと戻ったのであった…………。

 

 






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