VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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目的地に向けて




嗚呼、愛しきキャッツェリア

Animalia曰く、キャッツェリアへの足掛かりの為に蟲人族(バグマン)の里・スナノキにSF-ZOOは中環地点(ポイント)を作り、休息地としてシグモニア前線渓谷(フロントライン)の地下駐屯地に向かったメンバーが居るという。

 

ペッパーもAnimalia達が先んじてキャッツェリアに向かったら、其れは其れでクラン内でゴタゴタが発生しそうと考え、イムロンがアーミュレット・ガルガンチュラのゼリーマテリアルで何かしようとしている事を踏まえ、キャッツェリアへ戻る前に一度駐屯地経由で行こうと決めて。

 

道中リュカオーンの分け身のノワに、アイトゥイルとディアレ含めた旅狼(ヴォルフガング)メンバーと一緒に居るヴォーパルバニーの近況やら色々と質問されながら、一行は地下駐屯地の入口に到達。

 

帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)に狙われる危険を加味して迅速に突入し、先に到着していたSF-ZOOメンバーや地下駐屯地を作った者に商売者がやって来るや、嵩増(かさま)大黒繊(だいこくせん)討伐について聞かれたので、ペッパーは『此処に来るまでにAnimalia達がメンバーに情報を流したな』と確信しつつも、始源存在(レイドモンスター)達は広くプレイヤーに識られるべきコンテンツと知っているが故に大目に見る事にした。

 

其の後、真津辛との取引でリジェネポーションとブーストポーションでアーミュレット・ガルガンチュラのゼリーマテリアルを購入し、SF-ZOOの面々を連れて出立&旅狼がラビッツ再訪問にて提示したルールをキャッツェリアでも守る様にと、口酸っぱくかつ耳にタコが出来る程に口頭説明を行いつつ、帝晶双蠍の射程範囲から迅速に離脱して迅速に道中を進んで…………。

 

「数時間振りに戻って来たぜ…………」

「此処が………!」

猫妖精(ケット・シー)の国、キャッツェリア………!」

「喋る猫ちゃん達の国ッ………!」

 

キャッツェリアの正門前に到達、門番として立つケット・シー達を見たAnimalia筆頭に、猫好きが感嘆に咽び泣き始め、一部は大号泣でワンワン泣いている姿に門番達がドン引きする横で、ペッパーは一行を其の場に待機から今現在長靴銃士団で動ける者を聞き。

 

やって来たのは長靴銃士団団長“地奔る雷光(サンダーボルト)"のトレーヴィルと、長靴銃士団突撃隊長“燃え盛る業火(バーニングフレイム)”ボルートスの二名で、ペッパーはSF-ZOOについて事情を説明し、其の脚で城に直行しニャイ十三世と謁見から二匹を交えて再度説明。

 

『もしも彼等彼女等が不敬を働いたならば、王国の総力を挙げて追い出したり引っ捕らえて貰って構わず、其の際の全責任は自らが背負う』と約束した事で、ニャイ十三世はペッパーの宝石塔納品の礼も有ってか、至極すんなりとSF-ZOOの滞在並びに労働クエストの斡旋許可証を出し、彼はAnimalia達の元へ戻って許可証を渡し。

 

そうして遂にSF-ZOOは長く長い旅路の先にて、猫派にとっての楽園(パラダイス)たるキャッツェリアへと足を踏み入れる事が出来たのである…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一連のイベントの後、Animalia達からは『今回の御礼は旅狼が今後何かしらの号令を掛けた時に、此方もクランの総力を挙げて全力で協力する』という約束から、SF-ZOOは夜間かつ深夜に迫る中で早速キャッツェリアを観て回り、キャッツェリア住民の許可を得てのスクショをし始める光景が生まれ。

 

一部は発狂じみた興奮でブッ倒れたり、一部は猫妖精の食文化や衣服に住まいの文化を調査(リサーチ)し始め、ペッパーは相も変わらず元気だなと思いながらも、ニャイ十三世から賜ってリフォームした別荘に待機させたアイトゥイルとディアレの元に向かう。

 

「あれ、ペッパーさん?」

「ペッパーはん!ヴォーパル魂が凄い事になってるのさ!」

「ペッパーさんじゃないか。いやはや、また凄いヴォーパル魂を感じるよ………」

「ペッパー殿!ペッパー殿ではないか!」

「あ、ラピスさんじゃないですか。其れにアイトゥイルとディアレさんにダルニャータさんも一緒で」

 

そんな折、別荘に向かう途中の洞穴からひょっこりと………シャンフロ初の宝石匠(ジュエラー)ラピスとキャッツェリア最高の宝石匠ダルニャータ、アイトゥイルとディアレが顔を出した。

 

「いやはやペッパー殿、ラピス殿の宝石匠としての実力は中々の物だ。特に宝石統合加工なんかは私よりずっと繊細だよ」

「いやいやダルニャータさんの実力も素晴らしい限り、特に教え方が私よりも上手です。今後も是非カットとダイヤに御教授を御願いしますね」

 

何やかんや有ったのだろうが、御互いに良い関係の様子で宝石加工に関する仕事でワイワイ盛り上がっている。そして此の場に居るプレイヤーとNPCの宝石匠、其の二人が居る今ならば『シャンフロの風を収める袋』について相談しても良いと、早速商談を持ち込んだ。

 

「ラピスさん、ダルニャータさん。実はちょっとした話をしたいんですが、御時間頂けますか?」

「私は大丈夫だけど………」

「此方も大丈夫だ、ペッパー殿よ」

「ありがとうございます。取り敢えず積もる話なので、座って話をしましょう」

 

室内もといダルニャータの工房と思わしき場所にて、肉球型の椅子に座ってテーブルを挟んで二人と向き合い、アイトゥイルとディアレが両肩に乗った状態でペッパーはインベントリアから件の品を。

 

シャンフロにて吹き荒ぶ風を捕まえる為の鍵になる、七つの最強種や業火の亜竜と死闘を繰り広げた黒雷の白獅子こと、不世出の存在(エクゾーディナリーモンスター)レオ・ネメアレクス"覇雷業封(サンダルダイン)"を討伐して獲得した毛皮や鬣を取り出し見せれば、二人の身体と表情が固まって目は真ん丸に見開かれる。

 

「な、こ、此れは…………!?まさか、此の大陸に伝わる、伝説の黒雷の白獅子の毛皮と鬣で…………!?いや、まさか………いや此の艶と肌に伝わる覇気は、間違い無く本物………!」

「嘘でしょ、毛皮のリソースが八百に鬣は六百五十!?噂に聞いた黒雷の白獅子のマジの素材じゃないの!?!?しかも偽物じゃなくて本物の素材って…………えぇ………」

「知り合いのアクセサリー職人も本物って言ってたんですが、御二方の反応を見た事で嘘偽りじゃなかったと確信出来ました。其れで此の素材を使って、シャンフロの風を収める為の袋を作りたいんですが、宝石加工の技術を応用して糸や布に加工出来ますかね?」

 

普通は布や糸にしたならば、真っ先に権力の象徴としてマントにするのが基本であり常識な所を、此の男はまさかの風の捕まえる為の袋に用いようとする視野に、ラピスとダルニャータは言葉を失う。

 

実際、彼が黄金のマグマを掬って其れを様々な物に使っている事を知る二人にとって、何れ彼は『風やら火に水さえも手にする器やらを作るのでは?』と考えたが、其れをよりにもよって伝説とも言える黒雷の白獅子の毛皮と鬣で風を捕まえる袋にしようとは、恐れ知らずにも程が有ると戦慄したのだ。

 

自分達が討伐した訳でも無く、依頼主の要求(ニーズ)に出来得る限り寄り添って最高の仕事をするのが職人であり匠である自分達の役目だとは解っている………解っているが、其れでも、今後同じレベルの素材を手に入れられるか解らない中で、其れを『袋として使う決断が出来る思考』は一人と一匹からしても、ペッパーが『最高にイカれている』と思うに相違は無かったのである。

 

ペッパーの問いに戦慄しながらも、匠を頂いた者の矜持に掛けて『出来る』と言い切り、解答を聞いた勇者もまた『御願いします』と即答から、マーニの山と毛皮に鬣を渡した事でラピスとダルニャータは椅子から引っ繰り返り、頭から床に落っこちて。

 

そしてペッパーはアイトゥイルとディアレを連れて別荘に戻り、セーブ&ログアウトをした後にSF-ZOOのメンバーから教わったVRゲームの思考入力を始源存在スレに打ち込み、本日のシャンフロを終えたのだった…………。

 

 






激動極まる一日を終えて


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