VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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リベンジへの最終調整




摩天越えて、世界を震わせ 〜其の一〜

始源存在の一柱・嵩増(かさま)大黒繊(だいこくせん)との遭遇・戦闘・撃破を経て、キャッツェリアを目指していたAnimalia率いるSF-ZOOと遭遇。

 

シグモニア前線渓谷(フロントライン)地下駐屯地に先着していたSF-ZOOメンバーを回収してキャッツェリアまで道案内し、ニャイ十三世と交渉の後に滞在と労働クエスト斡旋を含めた許可証を手渡し、休もうと思った所でラピスと再会。

 

プレイヤーとキャッツェリア最高峰の宝石匠(ジュエラー)達、一人と一匹に不世出の存在(エクゾーディナリーモンスター)レオ・ネメアレクス"覇雷業封(サンダルダイン)"の毛皮と鬣で、風を捕まえる為の袋作りに必要な糸と布を作れないかと交渉の後、嵩増す大黒繊の情報をシャンフロの始源存在スレに投稿してセーブ&ログアウトから半日以上が経過した。

 

今日も今日とて大学の講義とバイトに勤しみ、講義の復習と夕食を食してシャワーを浴び、トイレと水分補給をすれば楽しい楽しいシャンフロの時間、俗に言う廃人一直線な生活を送っているが人生に後悔を残さない為の選択なので悔いはない。

 

キャッツェリアの別荘のベッドにて覚醒(ログイン)からアイトゥイル・ディアレ・ノワを回収しつつ、ラピスとダルニャータの近況を二羽に聞けば、覇雷業封の毛皮と鬣を布と糸にする仕事は少し時間が掛かると言われ、此方も嵩増す大黒繊との戦闘で回り道になったがオルケストラ攻略に挑むべく、消耗した武器の修復から入ると決めて。

 

アイトゥイルの開いたゲートでラビッツに帰還し、ビィラックとイムロンの様子を見に行った所、一人と一羽が忙しなく金鎚を振るって武器の新造と手直しをしており、近くにはコンソール画面を弄ってアイテムの並び順を調整しているサンラクとサイガ-0が居た。

 

遠目で見ればビィラックは皇金剣(アンティアレス)の最終調整段階に有り、イムロンは女帝城の顕壁盾(ヴォーバン・ガルガンチュラ)の補修にてんやわんやしている

 

「あ、ペッパーじゃねーか」

「あ、どうも………です」

「やぁサンラク、サイガ-0さん。…………もしかしてオルケストラに挑戦しに行くの?」

「相変わらず読みが異次元だなオマエ………」

 

何で此の光景だけで大方の情報把握したの?と言わんばかりの視線を向けられたが、レトロゲームを攻略する時に盤面整理が必須だと学んだ故の無意識の癖みたいな物だ、簡単に直せたら苦労はしない。

 

「あ、そうだ。良かったら俺も修理手伝うよ、一人より二人でやった方が絶対速く終わりそうだし」

「まぁ、一理有るな。ビィラック、イムロン、良いか?」

「任せたけぇ。其れからペッパー、ワリャの修復頼んだ武器はワチの工房の奥に置いてある」

「頼むわ!流石に量が多いし、此の子の修理で手が離せない…………!」

「任されました」

 

インベントリアから世界を知り得し旅兎王装(モポルシィーヴ・リフトゥルー)を取り出し装備、パッと見では不滅のヴァイスアッシュにしか見え無い身姿でビィラックの工房の奥に行き、置かれていた武器達をインベントリアに収納。

 

工房の一画にインベントリアから鉱人族(ドワーフ)謹製の金床を置いて、手が付けられていないサンラクの武器をイムロンから教えて貰って手に取るや、彼の意思を受けた遥成鍛冶道具(ハルカナルカジドウグ)の中から金鎚が背中から左手に飛来し、神業宿腕(カミワザヤドルカイナ)によって発現した鍛冶魔法【損傷修復(ダメージリペア)】等で耐久値を回復させていく。

 

「サンラク、オルケストラ攻略は急ぎか?」

「まぁ、其れなりに。夜十時を目安に生配信で協力してくれたライブラリに情報提供名目で流す」

「了解。此方もオルケストラ攻略に一役買おう」

 

修復中武器のある程度の段階でインベントリアを操作、取り出したのは意志を持つ武器であり、冥響のオルケストラにもコピー出来ない代物で対オルケストラを見据えるならば、心強い手札になる覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)

 

「ドラグマ。サンラクに力を貸してやってくれ」

『良いだろう。サンラクよ、オレを手に持ち戦うが良い』

「そうさせて貰うぜ。後は事務所にいるライブラリから受け取るとして、ライオットブラッドはリボルブランタンよりトゥナイト………いやアンデッドで行くか」

 

龍神楽を受け取りインベントリアに仕舞って、決戦の一押しのエナジードリンクを開けるべくログアウトする為、工房から移動するのを見送ったペッパーは、再びサンラクの武器達の修繕に入る。

 

名匠であり古匠のプレイヤー最高峰鍛冶師と、一式装備着用中限定とは言え擬似的な神匠になれるプレイヤーの協力で、実質二倍の速度を以てサンラクの無茶で荒々しい挙動で酷使された武器達は次々と耐久値を回復し、元の万全な状態へと戻っていく。

 

「……………っし!出来ッたあああ!!!サンラクが持ち込んだ皇金世代(ゴールデンエイジ)の聖剣、其の皇金剣が完成じゃああああ!!!」

「えっ、出来た!!?出来たぁ!?!」

「此れで通算三本目じゃからのぉ。今のワチなら素材さえありゃ、チョチョイのチョイじゃけぇ!」

 

と、ビィラックが皇金剣を完成させた事でハイテンションな声高らかに小躍りし、イムロンはギョッとした視線で彼女を見れば、其の手には確かに鉱石に突き刺し立てる針と、刃の無い鍔だけの持ち手のみの奇妙な物。

 

然して其の実態は、水晶の地の玉座に座した煌めき輝く皇金世代(蠍達の象徴)の聖剣が力を宿す、使用材料だけで下手なユニークウェポンに匹敵か或いは上回る逸品たる片手剣が其処に在り。

 

一人と一匹の歓喜を横目に傑剣との憧焉終刃(エスカ=ヴァラッハ)の修繕を始め、頂鳳兎角(チョウホウトカク)を通して刀身を見たペッパーの脳内に『傑剣との憧焉終刃が戦った敵の記憶が溢れ出し』、此の剣がサンラクに握られて『直近の皇金世代との戦闘中に刺突スキルで口内に大ダメージを与えた事』を知った。

 

幾らクリティカルを出せば耐久値が減らないとは言え、一手間違えたなら噛み砕かれ兼ねない危うい橋を渡りながらも、彼がゲームを初めてからずっと現役と最前線を張り続ける武器の持つ気配と重さは、数多在る名剣にも負けず劣らずの輝きを内に秘めている。

 

元来の鍛冶師では無いが、今は一式装備で鍛冶師と言える身。彼の期待に答え、彼と共に歩む武器を万全にする事こそが、己の役目だと信じるペッパーは武器修繕に真摯な姿勢で向き合うのだった…………。

 

 

 

 






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