最終楽章開幕
歌姫の独奏の始まり、観客席に数多の視線がステージに立つのはサンラク・
劇場でありオルケストラの世界其の物たる此の場所では、招かれたサンラクとサンラクと同じエピタフ、意思を持ちながらも武器である龍神楽、そしてエリーゼと『サンラク』にはスポットライトが当たれど、此の場に置いて異質で異分子なサイナに光は当てられていない。
「いいえ、いいえオルケストラ。此度はそうはいきません──────!」
が、オルケストラの最終楽章が自分と『自分』の戦いであると言うならば、歌姫に相対するは遠い日に咲き誇ったアイドルグループメンバーの似姿たる『
相手が自分を仲間外れにするならば、自分が其処へ飛び込む勇気を─────────其れがサイナがサンラクと共に水晶巣崖に突撃し、死ぬ事の恐怖と生きている事の安堵を知り、サンラクと分霊サンラクの背を見て
其れ即ち『自らを照らす光は自らの手で作り出す事』を。
「認証省略、自己判断にてプロセス開始。
「オイオイ何其の素敵機能は!?」
ステージと巨大な機材達が現れ、スポットライトが歌姫を照らして、サイナが立つ地に彼女が作った彼女の
「
「アンドリュー君………!」
ペッパーが言っていた事は確かに偽りでは無かった。何せ人間という生物の精神構造は有史以来より武装展開・全身換装の変身・巨大魔法陣の出現という、三つの
どうしようもないロマンチスト?其れで良いじゃないか。ロマンチストだろうと揶揄されようが、変態だろうと笑われようとも、其れすら突き詰めた其の果てで、神殺しを成し遂げた奴を別の
「こっからは俺達のステージだ!サイナ、イケるか!!」
「インストール開始:何時でもいけます」
「冥響よ、張り合うに遜色無し!こちとら星に響く華の歌だ!さぁオルケストラ………、
サンラクの言葉、インベントリアから武装を抜き打ちで持てる様に備え、一瞬の空隙が流れ。
「『La──────」』
二つの歌姫による美しい歌声が最終楽章の死闘開幕を報せる号砲となって響き渡り、サンラクと分霊サンラクが走り出すや否や、『サンラク』もまた兵威逸体を使って『分霊サンラク』を作り上げる。
「初っ端から隙だらけだぜぇ!!!」
『……………!』
相手が
踏み込みからの超高速初見殺し移動で
「エピタフ君、あんま無茶はすんなよ!いざって時は俺が二対一を引き受け………ん!?」
分霊サンラクの斬打二刀流に『分霊サンラク』の双剣の激突で火花を散らし合う中、其の二人の間で変化が起きた事にサンラクは目を丸くし。
同時に分霊サンラクと『分霊サンラク』も其の変化を機敏に察知して、互いに距離を取った瞬間に其れがハッキリと知覚出来る物に変わった。
『La───、La、La───』
「───遠く、遠く、在りし日の姿を夢に見た」
二人の歌姫と二つの歌声、歌詞の無い純粋な歌声で世界を構築する
歌は世界を変えるとは良く言った話だが、成程確かに言い得て妙だ。何せ此の劇場が現時点を以て『真っ二つに分かれようとしている』のだから。
「過去の栄光、天を
サイナの歌声をスピーカー達が支え、サイナの想いを増幅させて更に高らかに響かせる。其れはサイナの元になった人物………即ち『
同時にエリーゼの世界にて敷かれたレッドカーペットを下からブチ破り、此の劇場に新たな世界が………サイナの思い描く世界が此の場所に構築されていく。
「今は亡き其の姿、私は今も夢に見る。憧れの中に根ざす私の───
劇場世界を引き裂き破り、地より聳え立つ摩天の楼閣と支えるアスファルトの舗装路、そして夜空と星の全貌の何割かを隠された煌びやかな世界が其処に在る。
「
「よっしゃあ!!!」
サンラクと『サンラク』、分霊サンラクと『分霊サンラク』、歌姫と歌姫の激突の再開。
イムロン製の
槍焔剣アラドヴァルの攻撃力は確かに凄まじい。だが其れは滾り燃える炎が灯る
「今の段階じゃ武器として使えても、アラドヴァルに『エンジン』が入ってねぇんだよ!
『…………!』
『サンラク』は数的不利を打開する為に兵威逸体を使ったが、体力と
此の時点で『サンラク』は、兵威逸体を使うタイミングを『完全にミスった』と断言して良い。
プレイヤーのトレースAIを搭載した再現『サンラク』並びに『分霊サンラク』、サイナの歌合戦は主導権の奪い合いにエリーゼのリソースを向けさせ、其の影響がプレイヤーの再現体のAIレベルが下がった事の証明となり、嘗ては勝てないと思っていたオルケストラ相手に漸く細くとも『確かな勝ちの目が生えた事』を、サンラクの脳内思考と演算に閃かせる。
巨人族の英傑武器の爆撃ノックバックをも歯牙にも掛けぬ重量を持ち、最終楽章時点までに片手で持てる様に備えて来た墓標の大剣が『サンラク』を押し込み。
状況打開に『サンラク』が繰り出すヤクザキック半歩踏み込み躱し、其の最中に龍宮院流剣術「引き波の型」でアラドヴァルの剣身を滑らせて『サンラク』の体勢を崩させ、
アラドヴァルは相性が悪いと
サンラクもまた別離れなく死を憶ふと冥王の鏡盾を分霊サンラクに、分霊サンラクは覇刀:龍神楽と傑鎚との憧焉終鎚をサンラクへパス回しで交換から仕切り直す。
本来オルケストラの最終楽章は
歌え、スカイスクレイパーの下で