VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

1136 / 1137


戦いと演奏は続く




摩天越えて、世界を震わせ 〜其の八〜

歌姫が奏で紡ぐ声と響き合う旋律が二つの世界をぶつけ、アスファルトとレッドカーペットの地平が鍔迫り合い、高層ビルとアスファルトに劇場の観客席と楽器達が互いを侵食し。

 

言い表わせば世界の主導権を取り合う『陣取り合戦』に等しい光景ながらも、およそ此の世の現象とは思えない『超常の映像』として隕鉄鏡に映され、一秒一秒の刹那を刻みながら電子の大海へと放流されている。

 

「くたばれオラァ!」

『……………!』

 

封雷の撃鉄(レビントリガー)起動によって加速したモーションを真界観測眼(クォンタムゲイズ)で御して身体を動かし、デュエガンの速撃ちモード・(キワミ)ピザ留学(ラブ・クロック)で嫌という程経験した九秒感覚押しを意識した立ち回りで、サンラクは『サンラク』を攻撃する。

 

黄金の龍刃と鍛えた小鎚の鏡面を避け、両腕に銀のエフェクトを纏いながらパリィし、カウンターのアッパーカットを相対的立体運動(ソリッド・マニューバー)で半オート回避から撃鉄効果解除に『サンラク』が撃鉄起動で御返しを仕掛け。

 

思考加速によってサンラクが『サンラク』の攻撃を紙一重で回避する視線の先、分霊サンラクと『分霊サンラク』が冥王の鏡盾(ディス・パテル)の鏡面を開き合って各々の得物による刺突を差し込み合い、躱して何方が先に相手を崩すかの読み合いをしているのを目視。

 

「撃鉄解除!【瞬間転移(アポート)】!再起動!」

 

傑鎚との憧焉終鎚エリサ・ドゥタールを二人の丁度真ん中辺りに目掛けて『サンラク』の眼前、もとい下からアーチ橋放り投げと撃鉄解除に瑠璃天(ラピステラ)星外套(せいがいとう)に刻んだ魔法を行使。

 

『サンラク』の拳撃を回避から、最大射程五メートル先に飛んだ直後に撃鉄を使って加速しつつ、覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)を分霊サンラクと『分霊サンラク』の戦いに横から『分霊サンラク』の太腿を狙い投擲、同時に阿修羅の覇眼(アスラズ・ロックオン)の起動によって『サンラク』が迫って来ているのを見た。

 

()()()、選べ…………!撃鉄解除しないで回復不可の体力1になるか、其れとも体力温存する為に撃鉄を解くかをなァ!!」

 

封雷の撃鉄を使い熟してからこそ解る、過剰極まるモーション感度を使用者に齎す革手袋の利点(メリット)悪点(デメリット)の二面性。即ち一秒有れば撃鉄()解除可能だが、逆に一秒の空隙が生まれる事!

 

兵威逸体(エピタフ)で産まれた分霊体は倒された瞬間、使用者の体力を半分減少させる効果を持ち、兵威逸体がアンデット由来の効果判定を持つ故に体力の回復は一切不可!そして『サンラク』が選択した行動は──────後者!

 

「ッシャア!」

 

分霊サンラクと『分霊サンラク』の戦いはサンラクが投げた傑鎚との憧焉終鎚(エリサ・ドゥタール)を『分霊サンラク』が回避し、冥王の鏡盾を手放して覇刀:龍神楽を逆手掴みからの順手持ちとして別離れなく死を憶ふ(メメント・モリ)との長短剣武器二刀流で百閃の剣(ヘカトン・スラッシュ)で押し込み。

 

サンラクは撃鉄を解除して僅かに空隙が出来た『サンラク』を、リミットオーバー・アクション並びにリミットオーバー・アクセルでブーストを掛けた凄まじい速度で動き、細針の穴に糸を通すが如く手を伸ばして、鎖骨に当たる場所を掴む。

 

二対二(ツーオンツー)の必勝法!其れは二対一(ツーオンワン)にすれば解決ぅううううう!」

 

踏み込んだ一歩が反時計回りの凄まじき回転と風で背中を押し、思考加速によって恐ろしく相性最高な過剰伝達(オーバーフロー)と漸く混合出来た此の挙動、其処に投擲物を凄まじい勢いで射出する晴天流「波乱(はらん)」を加えたならば!

 

「飛んでけ御星様ーーーーーーーーーーー!!!」

 

投げ先はサイナの居る空間に聳えるビルの更に上、鉄の森林の隙間の更に先に在る夜空目掛けてブッ飛ばし、其のまま回転の勢いを利用しての『分霊サンラク』に深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)付きブーメランムーヴメントライダーキック!

 

撃鉄は蹴りに入った瞬間に解除済、そして分霊サンラクは数十ヒットの威力で『分霊サンラク』から槍と鏡盾を叩き落とし、射線上に『分霊サンラク』を二刀斬撃で追い込んだ辺り、分霊サンラクは此方の意図を想定して動いてくれている!!

 

「くたばれ似非分霊!!!」

 

風と回転に押されて飛んだ赤いブーツによる蹴撃、其れよりも早く横を擦り抜けて『分霊サンラク』を守る様に飛来したトロンボーンとチューバが、サンラクの渾身の飛び蹴りを塞ぎ阻んで止めてしまう。

 

「チィッ!っおっと!!」

 

幕末の上空奇襲式袋叩き天誅に有りがちな殺気の感知。

 

サンラクと分霊サンラクが『分霊サンラク』を挟撃している状況を崩す様に、サイナが展開した空間に投げ飛ばした『サンラク』が摩天楼の壁を走りつつ、境光の宝剣(ルーメリディアン)夜光刃(やこうじん)モードの赤い斬撃を無作為に飛ばして上空より強襲を掛けて来た。

 

リミットオーバー系列スキルが生きている間に移動、分霊サンラクが手放した鏡盾を持って展開しつつも、投げた傑鎚との憧焉終鎚を爪先で蹴り上げからリフティングでキャッチし、分霊サンラクを守る様にサンラクが構えれば、『サンラク』もまた『分霊サンラク』を守る様にして前衛に着地する。

 

「オイオイ『俺』、俺の真似っこかよ」

『………………』

 

プレイヤーのトレースAI、使ったスキルに考え得る行動、封雷の撃鉄を九秒で解除する動き、互いに兵威逸体と言う特異的存在(イレギュラー)によって二対二の変則戦、そしてオルケストラの楽器ガードの条件。

 

此等の要素達が頭に浮かんで繋がって、其の果てにサンラクは一つの結論に至った。

 

 

 

 

 

(此の戦いは封星の撃鉄を別のアクセサリーに変えて、封雷の撃鉄九秒目押し解除の成功。そして俺とエピタフ君が兇嵐帝痕(イデア=ガトレオ)を使い熟せるかに掛かってる…………!)

 

 

 

 






加護と言う名の忖度ガード


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。