ブルックスランバー"最速走者"との戦いが動く
「漸く見えたぜ、
空中跳躍によって見えた、ブルックスランバー"最速走者"攻略の糸口。ペッパーは再び襲い掛かる突進攻撃を、ホバー移動で回避しながら、
「ブルックスランバー"最速走者"。お前の速さは本当に凶悪だ。攻撃速度と攻撃発生の両方が、超レベルの便秘で『脚パリィ』を行う技術を学ぶ中で、動体視力に慣れて無かったら、手が付けられずに終わっただろう」
鋭角ターンを刻み、再びの突撃が向かってくる。だが、目の前に突き刺さった太刀を見た瞬間、最速走者は目の前で大きく『跳躍』したのである。
「ダチョウって生き物は、走る事に特化していると同時に、跳躍力も優れた動物だ。しかし走行と跳躍力の代償として、知能は低くなってもいる」
レディアント・ソルレイアのブーストを掛けながら、アイテムインベントリより、リュカオーンの残照刻まれし
『ギョエ…!?!』
「だが、お前は違う。フェイントを絡める狡猾さに、障害物を的確に避ける知能もある。しかし……お前は『横を通り過ぎる』という選択肢を、最初から持っていない」
胸に致命の包丁を刺されながらも、止まる事をしない最速走者。其のスピードは更なる加速を遂げて、鋭角ターンを刻もうとする。
「なぁ、ブルックスランバー"最速走者"。お前は『フーコーの振り子』って奴を知ってるか?」
「お前さんは気付いていないかも知れないが、真上から見た時に『走った跡』が見えてな。其の跡がフーコーの振り子が刻んだ軌跡━━━『中心通過』にそっくりだった。其の中心に太刀を置けば、お前は障害物と見なして跳躍してくれると………
ハンズ・グローリーとインファイト、ストレングス・スマッシャーにスマッシュナックル、そしてチェインズアップの近接スキル五連コンボで繋ぐ中、最速走者の嘴がペッパーの頭を狙って振るわれる。
「同じ至近距離でも、サンラクやモドルカッツォのパイルバンカーに比べれば!」
最速走者の視線・脚の位置・嘴の角度から、相手がどの位置を狙うかを予測し、ギリギリまで引き付けて躱わし、ペッパーは右手を拳に変えて握り締める。繰り出すのは兎御殿の特技剪定所にて、エルクより購入した新しい致命武術の一つ。
相手が突っ込んでくる体勢に合わせて、最速最短で拳を『合わせる』其の技は、中国武術の世界では発頸の一つであり、超至近距離での気を流し込む『
スキルの名を、
『ギョギュ…!』
(攻めきれ!動かさせるな!最速走者を動かさせたら、反撃のチャンスが何時になるか解らない!だから━━━━ッ!)
「間髪入れずに追撃するッ!」
インファイトのスキル効果が残っている今、ペッパーは仰け反った最速走者へ、更なる追撃を掛ける。進化を重ねる度に、連続回転数が上がっていく蹴りスキル、現在四連式に成った、フォースフリップの右足蹴りで、敵の左足を足払いをするようにスッ転ばし。
ダウン状態時の相手に使うと、威力が増大するオプレッションキック。サッカーボールキックの如し、全力キックを叩き込むフルズシュート。そしてレディアント・ソルレイアのブースト点火により跳ね上がったスピードと共に繰り出す、もう一つの新規致命武術。
『ギュ、キィ…!』
「まだまだぁ!」
ドリフトステップ起動、オブジェクト化して置いた風神刀【碧千風】を装備し直す中、跳ね飛びながらも体勢を立て直した最速走者。突進を噛まそうとダッシュ前のモーションへと被せる様に、ペッパーは
『ギュ…!?』
「前見て走るのは、決して悪いことじゃない。……が、たまには後ろを。走ってきた道を、振り返っても良いんじゃないか?」
横薙ぎの幻影に背中を襲われた最速走者が、ペッパーから視界を外し。其の刹那に彼は、八艘跳びとライフオブチェンジを点火、体力を削りながら既に高められていた敏捷を更に高め、地面を蹴り上げ跳躍し、十字斬とパワースラッシュを左胸に刻み込む。
『ギョキョギョキ!!?』
「さぁ…ぶちかますぜ!」
太刀系統武器を用いて繰り出す、連続斬撃スキル。三刃より始まり五刃と成り、更なる研鑽で進化する七連続の鱠切り━━━━━連刀七刃。
「うぉおおおおおおおりやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
十字斬が刻みし傷口に、風神刀【碧千風】の特性たる裂傷と帯電の二つの状態が加わり、連続のクリティカルと斬撃ダメージの増加を付与と、追撃のダメージが加わる効果が織り成して、最速走者の体力を目に見える程に削っていく。
だが、だが、だか━━━━━
「マジ、かよ………ッ!?!」
最速走者は
「だったらッ!」
トドメを指し切る。其の為にも、十字斬で刻んだ場所に
しかし構えて振るわんとした瞬間、最速走者の足蹴りがペッパーの握る翡翠の太刀の柄を蹴って、遠くに飛ばしたのだ。
「なっ━━━━━━━━」
地面に刺さる風神刀。別の武器を取り出すか?
「………いや!
背面蹴りで地面を蹴り、握撃を点火した左手で其れを掴む。在ったのは、最速走者の胸に突き刺した、リュカオーンの残照が刻まれし致命の包丁。
「いくぞ、致命の包丁よ!」
刺突攻撃スキル・命尽突。此の一撃に全てを乗せ、押し込めた刃が、確かに最速走者の胸にある心臓に届き。
『ギュ…………ギュイ………━━━━』
異端の王鳥の生命を、走り続けた情熱の灯火を、確かに狩り取り、掻き消した瞬間だった。
「ブルックスランバー"最速走者"。弾丸の如き疾走、尽きる事の無いスタミナ、戦う為の確かな知能。お前の名を、俺は決して忘れない。
戦ってくれて、ありがとうございました!」
最速走者の身体を構成した、ポリゴン達が目の前で爆ぜる。小さな開拓者の目の前には、羽先が赤・中腹が青・根元が白の、三色で彩られた艶やかな羽根を含む、ドロップアイテムが落ちて。
同時にペッパーの耳には、自身のレベルが2つ上がった事を報せるSEと共に、己が成した偉業を示す表示が現れたのだった………。
『モンスター
『討伐対象:ブルックスランバー"
『エクゾーディナリーモンスターが撃破されました』
『称号【
『称号【
『
成し遂げるは、不世出の討伐
習得条件:ブルックスランバー"
効果:発動後5分間の間、現時点の敏捷数値を3倍にし、スタミナの減少を無効にする。
悪辣なる有象無象の同胞に縛られぬ気高さ、尽きる事無き一等の如く駆ける疾走の執念。其れこそが不世出の奥義