VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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押し込み、押し込め




摩天越えて、世界を震わせ 〜其の十二〜

サンラクと分霊サンラク、そして『サンラク達』が激突し続け、エルマ=317(サイナ)の摩天楼とエルマ・サキシマの高速道路の、其々の世界の象徴がぶつかり合う。

 

「ふはは、フハハハハハハアァァァァ!!!見えたぜ新境地!!!風雷一体のバトルスタイルがなああああ!!!!」

『………………!!』

 

『サンラク達』が第一段階よりも堅いカウンターを掛ける戦略と戦闘スタイルに変貌、魔力(MP)起動の銃火器を此処ぞのタイミングでブチ込むのに対して、サンラクと分霊サンラクは失敗すれば事故死不可避の封雷の撃鉄(レビントリガー)(ハザード)兇嵐帝痕(イデア=ガトレオ)(スペリオル)の九秒以内複合使用スタイルで対抗。

 

三半規管に滅茶苦茶な負荷が掛かり、モーションを強化する撃鉄と其のモーションに特殊な加速を与えるアクセサリーの相乗効果は、サンラクの振るう剣・鎚・盾・拳・脚の挙動の数々を更に速めて、撃鉄解除と再発動を絡めた一挙手一投足を繰り出す度に、サンラクの中で風雷一体の超高速戦闘スタイルが骨格と血肉を成し、身体に馴染み融けて力に変わる。

 

剣を、刀を、双剣を、対刃剣を、雑種剣(バスタードソード)を、両手剣を、大剣を、小鎚を、籠手(ガントレット)を、拳を、盾を、籠脚(ガンドレッグ)を。

 

託された武器を、持ち得る武器を取り出し、振るい、投擲し、分霊サンラクとパス回し、スルーからの移動で掴んで蹴り出し、最短で最適な道筋を往き、時に回り道の動きながらも風雷一体の其の身一つを御し、最速で駆け抜ける様は『嵐を司る現人神』の如し。

 

「ハイ此処天地逆転、三次元別離れなく死を憶ふ(メメント・モリ)大回転薙イイイッッッッッ!!!」

 

『サンラク』の相対的立体運動(ソリッド・マニューバー)による自動回避も想定した重力操作スキルに、龍宮院剣術「引き波の型」を攻撃へ転用した動きで食らい付き、此れで何度目………いや何十回目かの標識ガードが『サンラク』を守る。

 

第一段階と第二段階を通じ、オルケストラやエルマ・サキシマがプレイヤーの再現体を守る度に世界の規模が縮小、人数を増やす恩寵(メリット)と回復不可の重い制約(デメリット)を齎す兵威逸体(エピタフ)は、たった一回の被弾で瀕死で場合によっては死ぬサンラクというアバターのガードを、二体居る事で一回毎に繊細にさせていた。

 

そしてエルマ・サキシマが展開した世界は此れにて三割まで縮小、エルマ=317が七割を占めた此の状況に果たして何を仕掛けるかと、武器収納と撃鉄を解除し『ブォォァァーーーーーン!!!』

 

「はぁ!?()()()()ぁ!?!??!」

 

響き渡るクラクション、高速道路を走るは一世代前の巨大なトラック達に色彩織り成しながら、様々な光で着飾ったタイヤがタイムトラベル系映画の重力浮遊(ホバー)機能を宿す、過去と未来の技術の超パワーが一体と成った鋼鐵の猛牛(フルメタル・ブル)の如き『デコトラの群れ』。

 

スカイスクレイパーやハイウェイスターは『咲洲エルマが描く夢の景色』を彼女が想い、己で作詞作曲したらしいのだが…………まさかのデコトラの群れはサンラク本人も想像だにしなかったらしい。

 

「うおおおぅ!?!【収着せよ(Sorptionting-up)】!【弾けよ(Poping-up)】!!」

 

深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)の足裏にマナを集め、弾き出して吹っ飛んでデコトラの群れを回避し、其の空隙に空中を走りながら『サンラク達』が武器を持って殺到から、分霊サンラクがサンラクの目の前に割り込みつつ、脇の下に抱えて間一髪掻っ攫ってデコトラに着地した事で、サンラクは事無きを得る。

 

「サンキュー、エピタフ君!」

 

アクション映画でも車上や電車屋根で肉弾戦なシーンは良く見るが、複数台のデコトラが列を成して高速道路を並走しつつビルを粉砕し、F1レーシングのフォーミュラカーがサーキットを走る様な姿は、余程の金持ちのイベントで無ければ早々御目に掛かれない。

 

更に言えばエルマ・サキシマの展開した領域は、此のデコトラレーシング展開から『一割にまで減少している』。

 

おそらく其の理由は『エルマ・サキシマが展開した世界を高速道路とデコトラに残存リソースを収束させたから』で、予想が正しければ此れから先の『サンラク達』への忖度ガードは発生せず、此の状態で『サンラク達』を撃破出来たならば戦闘()終了する。

 

とは言え、戦闘は最終局面の高速疾走のデコトラ上で決闘、シャンフロエンジンで齎されている風圧が兎にも角にも強く、場所が場所で状況が状況とだけ在ってか足を踏み外したならば、余程の事が無い限りは真っ逆様の転落死不可避。

 

しかしサンラクがそうであり、分霊サンラクもそうである以上、其れは『サンラク達』とて同じ事。

 

「…………………」

『…………………』

 

沈黙と静寂………人の頭脳と人工知能がチェスや将棋でぶつかる際に起きる、初手での一手を決める僅かな空隙に似た現象だが、アクションゲームに置けるラスボス戦には絶対不変の真理が在る。

 

「来いよ、死ぬまで殴れば死ぬだろ」

『…………………』

 

此の場に他の観客が居たならば、大多数が『お前は何を言っているんだ』とツッコミが殺到する台詞を呟き、サンラクは場の緊張感の高まりと己の魂の昂りの中にて選択・行動を起こし、其れは『サンラク』と『分霊サンラク』の行動の合図ともなって。

 

サンラクが灼骨砕身(シャッコツサイシン)でリュカオーンの刻傷(こくしょう)を相殺と、皇金剣(アンティアレス)混剛の合金(アダマス・インゴット)を食わせて、分霊サンラクに覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)共々投げ渡し、自身は至高思金(オモイカネ)シリーズ並びに勇魚(イサナ)兎月(トゲツ)金皇照(こんおうしょう)】と【冥帝輝(めいていき)】の装備。

 

対する『サンラク』は赤い髑髏………暴血赤依骸冠(ブロード=クロゥネ)を頭に被った刹那、『分霊サンラク』は有ろう事か自らの胸に電気を帯びた貫手を突き立て、更に自らデコトラに頭突きを行なって自殺という暴挙に出て消滅した此の瞬間、人数の優位性と回復不可の制約を持った兵威逸体は解除され、直後に『サンラク』の身体は赤い獣の姿に変貌を遂げる。

 

同時に腰に吊るされた水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)の人形が光り輝き出してリジェネが開始、獣の変貌した其の手に握るは、紫の斧刃・槍の穂先・鉤が展開された百足式(ムカデシキ) 8-0.5(タウゼント)

 

片や呪い相殺による一時の防具解禁とコピー不可武器二刀流の人数優位の押し付け、片や人数不利を是としてアクセサリーのリジェネ解禁と毒ブーストを重ね掛けた単純なステータスの暴力と、此処に来て漸くサンラク達と『サンラク』の道がハッキリと分かたれた。

 

力は相手が上、しかし超高速移動中のデコトラから落ちたのならば、スキルや深厳戟響脚の機能無しでは御陀仏不可避な事実は変わらない!

 

「さぁ『俺』!決着を付けようぜ!」

 

此処からが本当の本当に正念場!ライオットブラッドの効力も切れてきたが、いざという時は灰の残滓すら掻き集め、テンションの炉にブチ込み燃やし尽くすのみ!!!

 

 






最終局面


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