VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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其の攻撃にどう対処する




歌よ響け、英雄譚を讃え 〜其の十二〜

女帝城の顕壁盾(ヴォーバン・ガルガンチュラ)を用いた大質量盾面突貫(ギガントシールドチャージ)、迫り来る壁を前にして行動の是非や種類の判別を強要させられる『時間』は、古今東西の対人戦に置いて主導権(イニシアチブ)を取った側が手にする、生殺与奪の権利を行使可能な攻め手側にとって『至高の時間』でも有る。

 

「ッ、其れで終わんない!!!」

 

『ペッパー・天津気(アマツキ)』のシールドチャージによる選択に対し、ペッパー・天津気(アマツキ)が取った選択(アクション)は極僅かな跳躍、然して其れは星天秘技(スターアーツ)のグラヴィトン・レイによる重力操作で盾の鏡面を地面とし、初歩を超高速化するシューティングスターに円周移動のギャラクシア・スピニングを掛け合わせた、奇しくも最大速度(スピードホルダー)保持者のサンラクが用いた『初歩限定の超高速円周移動』。

 

最大円周一歩手前の半円を描く其の移動は、『ペッパー・天津気』も使う封雲の撃鉄(タイタントリガー)で生まれる雲の巨腕と晴天流【雲】奥義の入道雲(にゅうどうぐも)、そして現在握られている宝鍠趙弩剣(シャガル=ニュア)を雑種剣形態(バスタードソードモード)にして振るったとしても『紙一重で届かない距離』であると同時に、届かせたければどう足掻いても『ワンアクションを取らなければならない距離』という、此の瞬間に取った行動としては最適解や最善手には至れない『及第点(中途半端)な解答』。

 

そしてそんな中途半端(及第点)な行動を『ペッパー・天津気』が見逃す道理は断じて無く、片方の宝鍠趙弩剣を既に開いて弓形態(アーチモード)とし、弦に金晶蠍の矢(ゴルドー・アーテアリ)を乗せて引き絞って、其の鏃の鋒をペッパーに向けており。

 

『させんッ!』

『!』

「ドラグマ!」

 

天と地を隔てる地平線を飛翔龍刃(ソラカケノツメ)でなぞって走り、覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)が『ペッパー・天津気』の脚を狙って飛来する其の行動に対し、『ペッパー・天津気』は雲腕の片方で担った弩弓剣形態(アーチブレイドモード)の宝鍠趙弩剣を地面に突き立て、黄金龍刃の一閃を防いで弾き飛ばす。

 

だが其の一瞬。龍神楽が下から迫った一閃が『ペッパー・天津気』の視線を、ほんの僅かながら下に向けさせ。

 

『やれぃ!』

「ヒュッ───────!」

 

限界まで唇を細め、最速最細の吐息で敵を貫く、晴天流【空】の奥義・貫光千尖(かんれいぜんせん)起動。

 

重ねて【冥氷(めいひょう)の闇淵(あんえん)】により、冷気を帯びた覇濤海剣(はとうかいけん)アスカロンを蝋燭の火に見立てて息を吹き当てれば、普段は視えない細い空気は蒼黒の色に染まった線として、『ペッパー・天津気』を狙い撃ち。

 

対する『ペッパー・天津気』はペッパーの吐息による反撃を『予め心得ていた様に』、己の身体を脊髄反射の要領で動かして『最小限の挙動で回避からの、晴天流【波】の奥義・大波浪(だいはろう)で金晶蠍の矢を投擲する、最速のクロスカウンター』に移行する。

 

 

 

 

 

 

 

────────か(・)に(・)思(・)わ(・)れ(・)た(・)。

 

 

 

 

 

 

 

「…………俺の挙動を完全模倣する『俺』が、まさか其(・)の(・)行(・)動(・)を(・)取るとは思わなかった」

『…………!』

 

アスカロンの冷気を帯びたレーザーブレス、完全に回避していた筈の『ペッパー・天津気』の左肩を掠め、封雲の撃鉄で生まれた左側の雲の巨腕を貫き、直後に左の雲の腕全(・)体(・)を凍らせ砕いて。

 

何時の間にか『彎曲投擲形態(ブーメランモード)へ変形していた宝鍠趙弩剣』を、彼の撃鉄で生まれた雲の手から地面に落とさせたのだから。

 

「俺には沢山の師匠が居て、其の人達とは現実世界で寝ている時に夢の中で脳内戦闘を繰り返しているんだけど………。

数ヶ月前から『自分自身の身体に、師匠達の魂が乗り移った状態の自分』と戦う様に脳内意識を組み替えて、一回の睡眠中に『大体平均で十五戦は戦っていた』。

そして其の中には─────────」

 

 

 

 

 

金晶蠍の矢を囮に、宝鍠趙弩剣を彎曲投擲形態で投げる行動をした人が、其の中にたった一人だけ居たんだ。

 

 

 

 

 

ペッパーの些細な独白、夢の中で数多の師と仰ぐ者を想起し、特色や心情に癖や性格を理解する高い読解力と深淵じみた思考深度を持つが故に、体外離脱に置ける相対者の再現性は一味も二味も深まる。

 

思わぬ反撃で足下に転がった彎曲投擲形態の宝鍠趙弩剣を、『ペッパー・天津気』が地面踏み付けで跳ね上げ、再生された雲の巨腕で握らんとした所、ペッパーが投げた聖盾イーディスが大波浪によって超速度で飛んで来た。

 

女帝城の顕壁盾の移動防御は間に合わないと手放しつつも、身を屈めて勇者の盾を回避した所に、上空に漂う蒼い雷電の塊と響く音とペッパーの「ウェザエモン・天津気(アマツキ)さん、貴方の御業を御借りします」という声が『彼』の耳に届いて。

 

「天より穿て、晴天流【雷】奥義!…………雷(らい)ッ鐘(しょう)ッッッッッッ!!!」

 

ペッパーが右手に握り掲げる星帝剣(せいていけん)グランシャリオもまた、蒼く輝き迸る雷と電撃の騒音(ビート)を高らかに鳴らし、真っ直ぐに振り下ろされた剣の鋒と共に天に留まっていた雷達が、一斉に『ペッパー・天津気』が立つ其の場所目掛けて振り注ぐ。

 

ペッパーの頭上で回転し続ける『天使の輪の様な何か』、其処より今現在もヤバい気配を放ち、其れと同質の力を内封した氷と焔の剣とあの聖剣に乗っていると感じた『ペッパー・天津気』は、宝鍠趙弩剣・彎曲投擲形態を避雷針代わりに地面に突き立てつつ、タワーシールドを置き去りに回避と移動を兼ね備えた挙動で、ペッパーに迫る中で彼は『彼』の動き───────其れも脚周りを見ていて。

 

「大(・)体(・)其(・)処(・)だ(・)よ(・)ね(・)、次に踏み込む場所は。ドラグマ!」

『応ッ!!』

『……………!』

 

再び飛来する黄金の龍刃が其の場所を経由からペッパーの左手に戻る中、移動ルートに覇刀を置かれた事で回避せざるを得なくなった『ペッパー・天津気』の挙動が、ほんの一瞬だけ止まり。

 

其の一瞬の空隙を『既に想定した』ペッパーが、グランシャリオの権能で晴天流【波】奥義・大波浪を発現させ、冷気と氷で包まれたアスカロンを超高速で投擲した所に、何処からとも無く現れた『シンバルとフルートにオーボエが壁を作り出して』。

 

サンラク命名『忖度ガード』の発生が此の一撃を阻んで弾き返し、アスカロンが弾かれて宙を舞うと同時に忖度ガードによって出て来た楽器達が光と化すや、ペッパーの手首に着いた格納鍵インベントリアの片方へと、独りでに吸(・)収(・)されたのだ。

 

「まさかこんな形で再会するとは、思いもしなかった。『歩之道将棋道(フノミチショウギドウ)』の時と同じ様に、もう一回!『日之鳥(ひのとり) 出流(いずる)』、アンタを超えてやる!覚悟しろ永世八冠(クソボス)、今一度の俺の卒業試験だ───────!」

 

戻って来た龍神楽を左手に取って、ペッパーは星帝剣グランシャリオとの二刀流に移行から、雲の両巨腕でミル・ト・コルンと刻毒銃(ウォーポイド):強暴過乱(イシュアナ)を持つ二刀流&ガンマンスタイル。

 

対する『ペッパー・天津気』は二刀流の宝鍠趙弩剣をバラバラにして四振りの状態から一つを拳銃形態(ガンモード)に変えて、残りの三つを正面から見た時に三角形の位置取りに合体し、宝鍠趙弩剣を二刀流にした今だからこそ出来る様になった、新形態の『大連撃射形態(ガトリングモード)』を構築。

 

更にペッパー・天津気と言うプレイヤーに『ペッパー・天津気』…………或いは其れを再現した冥響のオルケストラはペッパーに『更なる全力を要求する』かの如く、『ペッパー・天津気』は墓守のウェザエモン(ウェザエモン・天津気)が生前使った悠久を誓う天将王装(フォーエヴァー・ウェザリオ)と轟斬型(ゴウザンガタ)太刀式(タチシキ)武装(ブソウ):大天咫(オオテンタ)に切り替え、そしてやはり『ペッパー・天津気』が着けている王冠の様な仮面も変(・)形(・)し、頭装備と一(・)体(・)化(・)して装備された。

 

「重複装備可能なパッシブ効果が其の変形なのか、そうじゃないのかは解らないけど、要するに『もっと本気を出せ』って事で良いんだよね、コレは…………!」

 

投擲した聖盾イーディスと覇濤海剣アスカロンの現在地を頭の片隅に置き、ウェザエモンのパワードスーツを纏った『ペッパー』を攻略するべく、ペッパーもまた対抗策として天覇のジークヴルムの一式装備『光輝へと昇る金龍王装(レディアント・ドラゴニウス)』に装備を切り替え纏い、逃げる事無く立ち向かうのであった。

 

 






己というアバターに永世八冠(クソボス)の思考


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