VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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戦士と『戦士』の戦いは続く




歌よ響け、英雄譚を讃え 〜其の十三〜

再現された歌姫のエリーゼと、嘗てのアイドルグループの生き写しな人形カルネ=103(ヒトミ)の歌声が響き、其々が象徴とする世界がぶつかり合って、互いの世界を侵食し合う。

 

レッドカーペットと観客席が下から突き破って生える本棚に砕かれ、上から振り注ぐ観客席と下から押し上げるレッドカーペットの圧砕(プレス)で篩い落とされる本達が、新たに生まれ伸びる世界を落下のエネルギーで叩き潰す光景。

 

其れは二次創作や別のゲームで時折見掛ける、神による裁きで次元を隔てていた二つの世界が次元の壁という境界線を失い、接近と接触による相互干渉による世界同士の融合現象か、或いは融合失敗による二つの世界の崩壊と終焉を思わせる様で。

 

「貴方はプレイヤーを動かす時、其の動きは『将棋の各種駒達の動き方に良く似ている』!数万以上の盤上対局と自分の身体(アバター)に入れた自分自身との相対!体外離脱しててもひょっこり現れて、根負けするまで飽きる程勝負に付き合わされた此方の身にもなれってんだ、畜生め!!!」

『…………………!!!』

 

天を駆ける黄金の龍装を纏うペッパーと、再現された機巧の八咫烏と交わった戦鎧を纏って二振りの黄金の弩弓剣(アーチブレイド)を重ねて連射銃(ガトリング)とした『ペッパー』の攻撃を潜り抜けて肉薄から、偉風導動(リーガルック)によって嵐を纏った剣と刀を振り翳して、戦士達が空中で激突。

 

振られたならば持ち主が出せる最高の破壊力を出す、再現流動型(リュウドウガタ)連接棍(レンセツコン):流冥(リュウメイ)の上段袈裟薙ぎ一閃を、ネフホロチャンピオン・ルストが紅い不死鳥(緋翼連理)で見せた背中のブースターを一瞬だけ吹かした加速で変速挙動から、晴天流「轟風(とどろかぜ)」による一閃。

 

───────と見せ掛けた、アスカロンによる逆手斬り上げを囮としてコスモ・ネビュラで目眩ましから、混海覇印(アルカ・ク=リンゼン)による特殊状態「禍波のアビス」が乗ったアスカロンの一突きで、大連撃射形態(ガトリングモード)の宝鍠趙弩剣(シャガル=ニュア)を突き飛ばしから、続け様にグランシャリオの逆手胴抜き一閃を最速挙動を以て放てば、クラリネットとフルートにトロンボーンが盾と壁となって聖剣の威力を堰き止めて。

 

剣に纏った嘗て世界を沈めんとした血肉の欠片、或いは魚神たる大津波の気配によって砕けた楽器達は光の粒と化した後、独りでにペッパーが着けているインベントリアへと吸収されていく。

 

「今回の攻撃は届いた、相手は此の先同じモーションを対策必須と考えて、此方に在る物を叩き付ける事を止めるべからず!其れが『自分』を倒す事に繋がるならば、其れを続けていくだけだッ!!」

 

『ペッパー・天津気(アマツキ)』に搭載されているトレースAI、ペッパー・天津気のシャンフロで培われた一挙手一投足をベースとしつつ、其処に加えられた日之鳥(ひのとり) 出流(いずる)永世八冠の思考で補強された再現体(其れ)は、一言で言い表すならば『クソボス』と断言せざるを得ない程に厄介な相手だ。

 

冥響のオルケストラが正典ルートにて挑戦者(プレイヤー)のトレースAI搭載の再現体を作り、挑戦者と戦わせるのはサンラクが生配信の中で既に証明した訳だが、どうやら自分(ペッパー)が戦っている『自分(ペッパー)』はプレイヤーのトレースAIに永世八冠(クソボス)の思考補強が入った、正典ルートの再現体以(・)上(・)の敵という認識を抱くに充分である。

 

『征服人形が居る状態だと正典ルートで再現されるプレイヤーのトレースAIに、音楽プレーヤーの持ち主としてシュテルンブルームメンバーが貸し回していた設定で、混線という弱体化が加わっている』のはサンラクの戦いの映像記録に、此処まで数十回の読み合いと得物同士の打ち合いから解った。

 

だが唯でさえ自分の持つ深淵じみた思考深度と永世八冠の思考補強は、征服人形(コンキスタ・ドール)の存在で弱体化されている『ペッパー・天津気』の行動を、ペッパーが最(・)低(・)三(・)手(・)以(・)上(・)先(・)を(・)読(・)み(・)、相手がスキルや鎧による補強込みの出力を持った所に攻撃を届かせなくては、此の戦いで攻略の鍵となる『忖度ガードが発生しない』のだ。

 

「冥響のオルケストラに置けるプレイヤーのタスクは、再現された『プレイヤー』を守る為に忖度ガードという歌姫の横槍を使わせる事であり、もっと言えばオルケストラの体力ゲージは再現プレイヤーでは無く、オルケストラが展開している『世界其の物』が体力ゲージと言って良い!

実際此処まで三回忖度ガードを使わせたが、エリーゼ・ジッタードールが展開してる中世劇場の規模は、最終楽章開始から体感二割程度縮んでいる!此れを第一フェーズに置き換えて、サンラクの時と同じく約九割まで制圧すれば第二フェーズに移行する…………みたいな感じか、なッッッッッ!!!」

『…………………』

 

走り抜け様にアスカロンの一閃は回避され、英傑武器を収納しつつ勇者の盾の縁を踏み抜いて空中に跳ね上げつつ、互いに振り向き様に武器と装備が切り替え、ペッパーが聖盾イーディス・星帝剣グランシャリオを両手に、雲の巨腕で大海鐘(だいかいしょう)と冥王の鏡盾(ディス・パテル)を持ち。

 

対する『ペッパー』は戦術機の冥王を合体解除から新たに天王を呼び出してバトンタッチ、機動力強化の人馬形態に合体して大天咫(オオテンタ)を鞘に収めるや、独自の格納空間内に在る大太刀武器で『装備中は大天咫の持つ権限を移譲出来る効果』を搭載した、天王との合体を想定して使用する『剛断型(ごうだんがた)大斬刀(だいざんとう):泰天(たいてん)』を手に、雲の巨腕で覇皇獅将の両刃長剣(ネメア・キングソード)と刻毒銃(ウォーポイド):強暴過乱(イシュアナ)を取る。

 

「アスカロンをオルケストラがコピー出来ないのは、やっぱりアスカロンがクリンゼンの牙で世界観的に特殊側だからなのかな…………?そして覇皇獅将の両刃長剣はコピー出来ると。英傑武器としても英傑としても俺はまだまだ『道半ば』って事が解ったし、逆に『成長の余白が有る』のは嬉しいが!」

『…………………!』

 

シャンフロに置ける銃は魔力に関する武器であり、冥王の鏡盾は魔法や魔弾と言った魔力に付随した効果を跳ね返し、超過機構(イクシードチャージ)による吸収を可能にする盾であり、其れを前にしても尚も使う選択を取ったのは、此方のMPにスリップダメージを与える事と封雲の撃鉄を使ってスキルの再使用時間(リキャストタイム)進行を早め、三桁スキル達を使える回数を増やす事。

 

そしてペッパーの英傑武器(グレイトフル)・覇皇獅将の両刃長剣には威圧属性という、『生物の持つ汎ゆる生きる事に対する別枠のダメージを与える効果』が有り、サンラクが持つ白紫病霊針(コル・ド・ヴァラント)に搭載された霊気属性と似た能力が宿り、見方を変えれば武器で有りながら思考・判断・進化する知的生命体の領域に脚を踏み入れている、覇刀:龍神楽に対する『メタを持った数少ない武器』の一つ。

 

即ち『ペッパー・天津気』が持つ覇皇獅将の両刃長剣をペッパーは覇刀:龍神楽で受けたり、逆に克ち合い鍔迫り合ってはいけないが、『ペッパー・天津気』も刻毒銃:強暴過乱の毒弾をペッパーが持っている冥王の鏡盾で弾かれ被弾すれば、敵に向けて放った毒弾が自身に跳ね返って自身に厄が返り、毒が消えるまでMPにスリップダメージを背負う事になる。

 

片や模倣(コピー)不可能の武器やアクセサリーを複数持ち、更には第一から第四楽章を通じて複数のゲージ搭載武器のゲージを蓄積し、七つの最強種(ユニークモンスター)達の御業を繰り出せる星帝剣グランシャリオという鬼札を切ったペッパー。

 

片や征服人形の存在による弱体化が入れども、再現されたプレイヤー故に疲れを知らず、疲れを負わず、思考の色がそう簡単に乱れない、更には日之鳥 出流永世八冠の思考補強を加えた事で、正典ルート以上の攻略難度を持つ『ペッパー・天津気』。

 

一歩たりとて譲らず終わりが見えない戦いは、此処から更なる白熱と緊迫を帯びて進行していく。

 

 

 






燃え盛れ、血潮を滾らせ


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