VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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弓矢という原始的な武具




歌よ響け、英雄譚を讃え 〜其の十五〜

ペッパー・天津気(アマツキ)という開拓者(プレイヤー)は弓矢という武器種を、鉄砲や大砲等の火薬由来の武器による革命が起きるまで、戦場に置ける遠距離の主力や戦場の花形として扱われた、人類史で最も原始的かつ格好良い一撃必殺武器という認識を持っている。

 

たった一本の矢を弦にて引き絞って放ち、敵が其の身に纏う装甲だろうが、絶対的な硬度を誇る鎧だろうが、其の上から穿ち貫いて鏃を敵の身体に届かせる──────シャンフロの世界で言うなら『ヴォーパル魂を感じる武器』、そんな得物が弓であり、其の弓をより高威力した物が弩弓であり、そんな弓に近接戦でも扱える様に剣の機能を融合した物が弩弓剣(アーチブレイド)であり、其の弩弓剣を開放した人物こそがペッパー・天津気なのである。

 

大河ドラマの戦場でも言える事だが、昔の日本の武士達は軽い鎧を纏って機動力を確保していた都合上、射放たれた矢に当たり所が悪ければ即死していた事も多く、其れを加味しても敵陣の土手腹を貫いて懐に飛び込み、武勲を挙げる事を誉れとしていた武士達は『己が死に様』にこそ道を見ていた。

 

「『スキルを封じよ』───────そして射つ!!!」

 

カルネ=103(ヒトミ)が展開した本棚と英雄達の生き様を記した本で作られし、彼女の思い描く羨望世界へ戦砕琥示(ウォールフェン)で吹っ飛ばした『ペッパー・天津気』を、深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)の持つ機能・状況改変(じょうきょうかいへん)の射程内に押さえるや否や、流れる様に金弓宝剛剣(ゴルト・ヴァーシュ)で一射から、鯱弩燈剣(シャドウコウケン) RE:Vil∀=TAM(リ・ヴィア=タン)による二射を『一射目の軌道と重ねる様に』射放つ。

 

『ペッパー』は空中関係スキルか何かで体勢の立て直しを狙った所を封殺しに来ると読んだのか、再現天王の合体解除で空中に放り出されたパーツを足場にしようとした様だが、ペッパーは宝鍠趙弩剣(シャガル=ニュア)を用いた三射目で『ペッパー』の足元に在った天王のパーツを弾き飛ばし、足場を奪い取って空中というパリィ以外に不可能な領域に『ペッパー』を釘付けとした。

 

「射つ、射つ、射つ!射つ、射つ、射つ、射つ射つ射つ射つ射つ射つ射つ射つ射つ射つ『スキルを封じよ』!!射つ射つ射つ射つ射つ射つ─────────!!!」

 

蛸足八本に矢と弩弓剣を握り締め、ブラインドタッチでインベントリアから次々と宝石匠(ジュエラー)が仕立てた水晶の蠍達の甲殻の矢を取り出し、戦場の空を飛んで、空中に放り出された『ペッパー』を狙い撃つ。

 

成神による体力消費は、幾ら頑丈さとダメージ軽減を可能にしている悠久を誓う天将王装(フォーエヴァー・ウェザリオ)の機能を以てしても、ペッパー・天津気のステータスが多少の体力を有っていても耐久を削っていると言った特色を持っており、更には素の動体視力は脊髄反射の要領で補いながらスキルで補強しているに過ぎない。

 

其の為自分(ペッパー)にしても『自分(ペッパー)』にしても、スキルが封じられていて高速かつ連続で自分に向かって飛来、オマケに其れが混海覇印(アルカ・ク=リンゼン)によるパリィ不可能となった物体へのペッパーの対処は、極論を言えば『体を軽く捻ったり捩ったりする事』しかない。

 

永世八冠(クソボス)の思考補強を加えても、其れは『ペッパーという操作キャラが出来る事を加味した上で、永世八冠とオルケストラがペッパーを操っているだけに過ぎないし』、ペッパーというプレイヤーが『ペッパーというアバターの特色を充分に理解している事』も大きい。

 

空気抵抗の軽減というシンプルながらも、矢の至上命題となる『如何に速く敵に着弾するか』という問い掛けに、凄まじき射速を以て証明とする水晶蠍の矢(クリアス・アーテアリ)が『ペッパー』のインベントリやインベントリア操作に待ったを掛け。

 

着弾すれば結晶化というデバフを以て、身体の動きに支障を来させる金晶蠍の矢(ゴルドー・アーテアリ)が水晶蠍の矢を銃弾の重ね打ち(ブラインド)の如く打ち込み、更なる牽制と動作封じを齎し。

 

水晶と金晶の二つを絡めて打ち込み、忖度ガードによって阻まれた所に飛来する魔法を貫き、昼間は貫通の夜間は爆破の二面の性能を其の身に宿す帝晶蠍の矢(アレクサ・アーテアリ)が飛んで、結晶化された楽器や後ろから追い付いた水晶蠍の矢とぶつかって爆砕され、天将王装に守られた『ペッパー』を衝撃と爆熱の坩堝へ落として揺らし続ける。

 

三つの弩弓剣の引き絞られた弦が解放され、蛸足触手の爪先から離れて飛んで行き、間髪入れずに休む間すらも与えないペッパーの猛烈で苛烈な弓射撃の雨霰はインベントリアエスケープの隙間すらさせず、蛸極王装の状況改変で空中戦を十八番とする『ペッパー』の持つ汎ゆるスキルの発動さえ許さず。

 

そんな射速・結晶化・爆発の三面と三段撃ちを前に、忖度ガードを使い続けて『ペッパー』を守っているエリーゼの展開する世界は、ヒトミの展開する世界に染め上げられた果てに九割以上を明け渡すまでに縮小し、其れでも尚も攻撃の手を緩めず止めないペッパーを前に、『ペッパー』が追い詰められている姿を見た彼女(エリーゼ)は、其れは其れは『悔しそうな表情を浮かべていて』。

 

そんな彼女の後ろに現れる一人の人影は、サンラクの戦いを観たペッパーの目には『良く知っている顔』であり、そんな彼女は悔しそうなエリーゼ・ジッタードールの肩に手を当て、優しく力強い視線を以て彼女に『此処からは私に任せて』と伝える様に頷いた。

 

一連の流れの中、ペッパーは即座に攻撃の手を止めるや否や、一気にヒトミの近くまで戻った勢いで彼女に『彼女』の正体を伝える。

 

「ヒトミさん!どうやら此処からが第二フェーズ、相手はエリーゼから『カルネ・アーヴェンハール』にバトンタッチしたみたい!」

「アレが、カルネ・アーヴェンハール…………ッ!」

『───────迫る災禍と絶望の波、誰もが終わりを覚悟した』

 

エリーゼから歌姫を引き継ぎ、エリーゼが着けていたドレスを其の身に纏い、スタンドマイクを片手にカルネ・アーヴェンハールは歌を紡ぎ、力強い声を響かせ高らかに歌う。

 

『死を告げる破壊の嵐、不安という見えない霧の中、誰もが下を向きそうになった……………!だけど!決して希望は消えない!!』

 

そうしてエリーゼが展開していた世界、中世劇場だった其の景色が一瞬で変わり出し、ヒトミが展開する無数の本棚と収められた英雄譚の物語を綴った本達が下から吹き飛ばされて。

 

『不撓不屈の如く在れ!絶望の闇と空を貫いて、希望を下ろし照らす光りが、其の勇姿を照らしている!』

 

突き出す様に生える『堂々と聳え立つ超巨大な城と、無数の分厚い巌を切り出し煉瓦状に加工して重ねて作られた無数の城壁が鎮座する世界』へと塗り替え、領域の比率を一瞬で五分五分の状態まで持ち直した。

 

『高く聳えよ、希望の如く!不動の身姿、揺らぐ事は無し!今こそ示せ……………ロード・オブ・ザ・キャメロット!!!』

 

其の一声をトリガーに劇場の天井をブチ破って、天上の空より月明かりが純白の巨城と城壁たちを照らし出し、其の城の最上階の頂点にて『ペッパー・天津気』が深淵を見定む蛸極王装を纏うや、其々の蛸足全てに様々な武器を握り持って。

 

両手を規定のモーションで身体の規定の場所に叩き付け、炎と雲を其の身に纏いながら、其の雲の巨腕には両手武器を其々一振りずつ握り、ペッパー達を見下ろした数瞬後には一気に空中を駆け走りながら、猛スピードで突貫して来たのである。

 

『………………!!!』

「掛かって来いっ、『俺』ッッッ!ヒトミさん、貴女の歌声を響かせて!!其れが在れば、俺は絶対に『俺』に負けない!!!」

「!……………理解(解った)、そして任せてくれ。契約者(マスター)、貴方が信じた当機(私)を!私の歌を!!!」

「信じる!!!」

 

第一から第四楽章のユニークモンスター達による、悪夢じみたボスラッシュの最中にゲージを蓄積して、へそくりの様に取って置いたゲージ搭載武器という貯金を此処で使い切る覚悟と共に、撃鉄二つの起動と合掌で光を纏うや空いた手達に武器達を持つ。

 

戦いは此処から更に加速する。

 

 






激・戦・続・行


アンドリューのシュテルンブルーム曲レビュー

アンドリュー『今回紹介するのはカルネ・アーヴェンハールが作詞作曲した曲の一つであり、絶望の渦中に在れども前を向いて希望を見据える、そんな人類の強い意志を栄光の騎士達に準えて謳い讃えた曲(モノ)…………其れがカルネの五大作詞作曲歌(カルネ・ザ・ファイブス・ミュージック)の一つであるロード・オブ・ザ・キャメロットだ。彼女の作詞作曲のベースは英雄譚や御伽噺に神話といった人が描き、人が伝えて紡いだ歴史に関わる単語を曲名とし、人から人へと意志や夢を紡いで繋いで未来へ向かう意志や心、人の持つ光や闇の一面をも人の素晴らしさである事を旋律として奏でる点は、ある種の人間讃歌と言っても過言では無い。彼女は幾つものカバー曲を歌ったりもしたが、やはり彼女自身が自分で自分の道を見定め、自身の思い描く世界を人の素晴らしさと共に歌った歌達は、当時のシュテルンブルームメンバー達にも受けが良く、特にレイカ・ホンゴーやアズハール・ウェンブリーは大好きだったと当時のインタビューには載っており………』

象牙『以後アンドリューが数時間に渡って語った為、此処で省略致します』

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