顕現せし歌姫の鎧
其れは嘗てリヴァイアサンの最奥でカードキーを受け取り、ベヒーモスの第八階層に在るアンドリュー・ジッタードールのラボに在った鋼鐵の箱を開けた事で手に入れた、彼女が其の昔に歌手として昔存在したバーで歌う際に着けた、ステージ衣装と彼女愛用のマイクであり。
冥響のオルケストラとの最終楽章突入と忖度ガードの使用、第一フェーズはエリーゼ・ジッタードールによる楽器、第二フェーズはカルネ・アーヴェンハールによる城壁と、幾多に渡り阻んで阻まれた果ての果て、最終局面と言える此の状況にて忖度ガードをリソースとして取り込んだ此の二つの品は、何かしらの条件を満たしたのか。
最終フェーズに突入した此の時、此の瞬間を以て、エリーゼが使っていたドレスとマイクは、冥響のオルケストラの
「
『成程。其れがオルケストラのパワードスーツ、というヤツか』
「其の認識で合ってるよ、二人共。そしてどうやら最終局面で完成した此の装備を纏う事が、此の戦いの結末に至る為に必要な鍵だった様だ」
雲の手で指差す先に居る『ペッパー』や『カルネ・アーヴェンハール』、そしてロード・オブ・ザ・キャメロットを集約した象徴たる騎士団達の
ならば今此の瞬間にやるべき事は一つ、彼女を信じて自身の声で歌を歌い、彼女自身が己という存在をオルケストラへと示す事を命ずる。
「ヒトミさん、歌を。貴女自身の声で、貴女という存在をカルネさんにぶつけて。其れがきっと、貴女を証明する事に繋がる。そしてオルケストラさん………カルネさんに出来た事ならば、ヒトミさんにも出来るって──────
真っ直ぐに、ステージの下から見上げながらも、其の目に灯る強く靭やかな輝きを彼女は見た。
性別を変える杯を使おうが、幾多の鎧や装備が変わろうが、己という存在の内に在る信念と、自分という存在は決して変わらないと、そう教えてくれた人であり。
そして今も、あの時と同じ様に自分の背を押し、前に踏み出す為の
「
「御願いします」
息を吸い、目を閉じて、そして彼女が想起せしは『何も描かれていない真っ更な一冊の本』………目を開き、其処に描くのは誰でも無い、自分自身が想い描きし………『たった一人の英雄の身姿』。
『「───────
唇を、口を、喉を震わせ、カルネ=
同時に其の歌声は永遠に響く歌姫王装が反応し、彼女が想い描く世界をパワードスーツから放つエリーゼ・ジッタードールのソプラノボイスが、彼女の歌い奏でる歌詞とシンクロ。
より強く、より鮮やかに、より深みを与えながら、彼女の世界の出力を高めていき……………彼女の描く世界の一冊の本、頭上にて開かれる本の一頁
『「────
「N」パッチこと正式名称を「
頁を捲り、姿を綴り、描き記される度に現れて、ペッパーの横や後ろに集い、其の数はまるで倍増薬か何かを使ったかの様な…………正確には『ロード・オブ・ザ・キャメロットで集約した騎士団と同じ人数となる様に』、此の戦いに臨む契約者を阻む騎士達を抉じ開け、彼が進む勝利の道を作る為に。
『「────
一冊の本を残し、数多の本棚と本達が解けて砕け、ペッパーと様々な装備を纏いて武器を持ったペッパー達と、『ペッパー』と無数の騎士達が崩壊する世界の中で相対する。
数は同じなれど、統一された騎士鎧に武器と盾という無個性の軍団と、バラバラながらも一人一人のペッパー・天津気が個性と武器や防具を持ち、一人一人が軍たる個であると言わんばかりの両陣営が出揃い。
『「────────
ヒトミの歌声を号砲とし、ペッパーと『ペッパー』の双方の陣営に集った者達による激突と、時代を拓く英傑たる強者による最終決戦が───────始まった。
クライマックス