VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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決着を目指して




歌よ響け、英雄譚を讃え 〜其の二十〜

「行くぞ『俺』ッッッ!!!」

『……………!!』

 

カルネ=103(ヒトミ)が歌う偉大なる英雄譚(グランツ・ヒストリア)、紡がれし歌詞と己の想いと共に世界を集約し、現れた無数のペッパー達がロード・オブ・ザ・キャメロットの世界を集約した無数の騎士達を相手に足止めを担い、激突する無数の勇士達の中心にてペッパー・天津気(アマツキ)と『ペッパー・天津気(アマツキ)』が激突する。

 

騎士達とペッパー達が武器を用いて鍔迫り合い、ペッパーと『ペッパー』もまた武器を使い戦う中で、『ペッパー』は此処が踏ん張り所とばかりに蛸極王装の巨剛触手で宝鍠趙弩剣(シャガル=ニュア)と皇金剣(アンティアレス)を合わせて極撃大剣形態(アルティマブレイドモード)に移行。

 

更には別の蛸足で握った灼骨砕身(シャッコツサイシン)で生み出す、非物質の蛇神の呪い(ゴルドゥニーネの毒)の刃を全身に次々とブッ刺した事により狼の愛呪を消し去り、別の蛸足に有る聖盾イーディスの勇者武器(ウィッシュドウェポン)共通のバフ効果が呪いの相殺によって一時的に解禁された事で、二人の間には圧倒的な能力(ステータス)差が生まれる。

 

「能力差が有ろうと、此方は負けるつもりは毛頭無いっ!!凍て付く深き冷気よ、煌々たる赫の灼光よ!双つまじりて燃え上がれ!覇濤海剣(はとうかいけん)アスカロン!!!」

 

覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)を上空に放り投げ、飛翔龍刃(ソラカケノツメ)による時間差攻撃の構えから、インベントリアから覇濤海剣アスカロンを取り出し、言霊と共に力を解き放てば赫と蒼の輝きがアスカロンのリーチを二倍以上に伸ばして、両雄は互いに相手の持つ武器の死地圏内(キリングレンジ)に脚を踏み込む。

 

能力値はペッパー・天津気の再現体であり、オルケストラの最終楽章の特徴で全ステータスが上回った状態、更には灼骨砕身で呪い相殺と勇者武器によるバフ解禁の合わせ技、仮に同じ条件で挑んでも元々の差が開いている『ペッパー・天津気』が上回るのは必然、真っ向勝負で挑もうとも『ペッパー・天津気』が勝つのは必然の運命。

 

─────────尤も其れは、『ペッパー・天津気』のス(・)テ(・)ー(・)タ(・)ス(・)以(・)外(・)が(・)弱(・)体(・)化(・)し(・)て(・)い(・)る(・)場(・)合(・)、其の限りでは無い。

 

『………………!?』

「どうした『俺』、今迄の如何なる攻撃よりも『御粗末』過ぎやしないか?」

 

何せ今現在の『ペッパー・天津気』を構成するAIは、ペッパーが纏う永遠に響く歌姫王装(リィゾニタニティ・ディーヴァリエ)の存在により、ある意味では『オルケストラ同士の力がぶつかり合った事で、思考に更なる混線(ノイズ)が発生している状態』により、今迄の様に何手先すらも想定した動きをしていた『高度な行動を取れなくなっている』。

 

『ペッパー』が愚直に真っ直ぐ、フェイントも入れない極撃大剣形態の最上段の振り下ろし一閃に、ペッパーは覇神剣顛極(アマトノシンギ)・瞬魔光塵咲(マタタクマニヒラキ)の抜剣斬り上げ防御のモーションと致命秘奥(ヴォーパルひおう)【タチキリワカチ】改備(あらためぞなえ)による斬り下ろしの一撃を、羽毛の様に柔らかく靭やかな受け流しに、移動を併用ながら嵐の様に凄まじき一閃を以て。

 

幕末での斬った張ったの魑魅怒呂の戦いで研鑽し、第一から第四に最終楽章で戦いの中で洗練し、そして今し方『ペッパー』が纏う蛸極王装の蛸足一本、聖盾イーディスを持っていた蛸足を一撃で斬り落としたのだ。

 

ペッパーが此れを成し得るに至ったのは、彼がアクセサリースロットにセットしている混海覇印(アルカ・ク=リンゼン)・極(スペリオル)による特殊状態「禍波のアビス」による一定のダメージを与える効果だけでは足らず、其の身に纏う永遠に響く歌姫王装に搭載された能力を掛け合わせた事により、初めて成し遂げるに至れたのだから。

 

其の機能の名は『共振共鳴(フルリエス・シンクロ)』と言い、永遠に響く歌姫王装を一式装備中のみ解禁される能力は、装備者の放つ言葉によって武器・防具・スキル・魔法の効果・威力・出力や征服人形の歌い奏でる声を強化、装備者が任意で魔力(MP)を使う事により共振共鳴の出力が高まる、そんな単純明快(シンプル)な効果である。

 

此の共振共鳴発動時に使用するMP消費量は『プレイヤーの言葉が持つ覇気や力強さに比例』し、短杖とも長杖の間の長さと重量を持つ仮称:雑種杖(バスタードロッド)とも言えるレゾナンス・プロードマイクには常時効果(パッシブ)として『装備者の滑舌と発声補助』を持ち、歌姫王装全種装備状態のFCB(フルカウルボーナス)は『装備者のMPを+30000する』。

 

MP特化の魔法職さえも隔絶する圧倒的な魔力を装備者に齎し、武器が搭載するスキルや魔法に奥義を口上として紡ぐ行為、魔法全般に置ける詠唱でも滑舌や発声を補助する事で潤滑に遂行する此の装備は、謂わば『魔法職全般やスキルに武器の能力を堂々開示する事を厭わない者達』からすれば、文字通り『人権と断言するに等しい装備』なのだ。

 

「繋いで、繋いで、繋ぎ紡ぐ!赫と燃えし炎よ転じ、凍て付く深き冷気に至れ!【冥氷(めいひょう)の闇淵(あんえん)】ッ!」

 

炎は氷に転じ、鐵塊たる分厚い剣が『ペッパー』の振るう風神刀(ふうじんとう)【碧千風(そうせんふう)】を星帝剣グランシャリオの柄尻でパリィし、アスカロンの刺突攻撃と並行してレゾナンス・プロードマイクの横薙ぎが『ペッパー』の上体を動かす。

 

「深淵のクターニッドさん、天覇のジークヴルムさん、ウェザエモン・天津気(アマツキ)さん………偉大なる最強種の方々の御業────────」

『………………!─────『させぬぅ!!』…………!?』

 

蛸極王装の機能たる状況改変で言霊を封じようとした『ペッパー』に、覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)が幾度目ともなる飛翔龍刃(ソラカケノツメ)で空を駆け。

 

『ペッパー』の喉笛を潰して状況改変を封じる…………と、見せ掛けて『刃先から峰に掛けたフックで下顎を叩く』という、此迄の攻撃で愚直に殺意を乗せて斬り裂く攻撃を続けて来た龍神楽が、自ら思考して己が成すべき事を見定めた選択により、『ペッパー』に意識の断裂という数秒の気絶(スタン)を齎した。

 

『やれぇい!ペッパァァァアアア!!!』

「御借りしますッッッッッッ!!!」

 

七つの最強種達の力を加え、致命兎(ヴォーパルバニー)の神匠にして不滅の最強種が打った聖剣が、深淵の盟主による視点反転・黄金龍王の技能殺しの力(狂騒領域)・永劫の墓守が忘れ去った雷の化身の奥義(晴天流【雷】奥義・成神)を解放。

 

数秒のスタン、復帰をしようが視点反転による反応の遅れが致命的な隙を広げ、ペッパーというプレイヤーが純スキルアタッカー故にブッ刺さるスキル封殺の御業、そして反応速度にモーション速度さえも高める雷が凝縮された、渾身極まる雷速の刺突に乗った凄まじき電圧と。

 

剣や刀による刺突攻撃に置いてクリティカルを出せば、肉質や装甲の数値をほぼ無視して『完全貫通効果と完全貫通によるダメージ判定を叩き付ける』、九つ在る覇神剣顛極(アマトノシンギ)の中で最も即効性を発揮する蝕魂灯突尽(タマクイヒトヌキ)を乗せた星帝剣グランシャリオと覇皇獅将の両刃長剣(ネメア・キングソード)の剣身が『ペッパー』に。

 

蛸極王装の上から星紡ぐ聖剣と、獅子皇の威圧宿りし二つの刃が『ペッパー』の胸部へと深く突き刺さり、帯電した莫大で膨大なる電圧と熱の放出は『ペッパー』の体内を、全身の筋肉や神経に細胞と器官の悉くに流れ、其の身をパワードスーツの中で蒸し焼きに焼き焦がして。

 

「─────アレクトールッッッ!ピアアアアアアアス!!!!」

 

右手首と雲の腕で繰り出せる最大の時計回りと、雲の腕で繰り出せる反時計回りの捻りを加え、最後の最後の奥の奥の手として虹華顕燗(ブリリアント)・皇金時代(ゴールデンエイジ)を加えた其の瞬間。

 

過剰という言葉を超えて増幅された回転エネルギーが対象を捻じ曲げる効果により、超高圧電流と熱でズタボロにされていた『ペッパー』の内側で最後の駄目押しとなって炸裂し。

 

歌姫王装の全種装備の恩恵で爆増したMPの大部分を込めて、出力と威力と圧力による三重の強化(ブースト)を乗せて放った、ペッパー・天津気のアレクトール・ピアスの一撃は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)の下に在った『ペッパー・天津気』の肉体を、雷熱と圧力と捻りの力によって遂に灰燼へと還したのだった。

 

 






果て無き熱意が再現を穿つ


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