VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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戦いの後には報酬確認




歌よ響け、英雄譚を讃え 〜其の二十三〜

「ヒトミさん、ドラグマ。改めて二人にはオルケストラ攻略の助力に心から感謝を。本当にありがとうございます」

「此方こそ、当機(私)は貴方の言葉に勇気付けられた」

『オレもだ。此の戦いを通じて、オレはまた成長出来た』

 

オルケストラの追加楽章(アンコール)を音楽プレーヤーの歴代所持者の再現体達と共に聞き届けたのち、静かになったバーの中で涙を拭った征服人形(コンキスタ・ドール)カルネ=103(ヒトミ)と覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)に礼を述べ、改めてシナリオクリアのリザルト画面を見て、早速報酬確認と洒落込む。

 

一番手はやはり冥響のオルケストラの報酬の目玉、サンラクがそうだった様にオルケストラ攻略を成し遂げた者に贈られる、偉業にして異形とも言えるの仮面で在りながらも、荘厳なる王冠とも見える物。

 

先ずは此の頭装備の確認から行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冥響聖典(ユア・カノン):大英雄(ブレイバー)

 

冥響の歌姫より授けられた異形にして偉業の、黄金と八色(しき)の宝玉輝きし、目元を隠した八つの頂を掲げる荘厳なる王冠。

 

バー『マスカレード』は特に足繁く通う常連客に、仮面を贈る奇妙な御店。開拓者が授かった此の仮面は、遥か遠い過去の中に開店するバーに辿り着いた証である。

 

歌姫の心からの声援(エール)を浴びた此の仮面は、開拓者が挫けぬ限り壊れる事は無い。

 

此の装備は奏でる者の旋律羽衣(ダ・カーポ・シェイルンコート)の頭装備としても扱われ、プレイヤーの体力が0になった時に破壊され、体力が1以上になった時復活する。

 

他プレイヤー及びNPCに譲渡出来ず、PKされても持ち主の手元を離れない。

 

 

・瞬之装(しゅんのそう):極丸(きわまる)

最大八つまで装備セットを構築し、戦闘中に此の頭装備を回転させる事で、対応する装備セットへ瞬時に装備を切り替える事が出来る。但しセットした装備は戦闘終了から八時間使用出来ず、セットの変更が不可になる。

 

 

・重之装(かさねのそう):極丸(きわまる)

此の頭装備は別の頭装備が着けられている場合でも装備出来、プレイヤーが頭装備を装着及び頭装備を切り替える場合に此の装備は含まれず、此の装備を除いた頭・胴・腰・脚の装備のシリーズ全てが同じならば、其の装備に搭載された能力を強化する。

 

 

・連之装(つらねのそう):極丸(きわまる)

装備中、プレイヤーが使用するスキル及び魔法を最大八つまで同時使用を可能にする。此の時使用したスキル及び魔法の再使用時間(リキャストタイム)は、全て一律三十分で固定となり、プレイヤーのスキル・魔法・職業(ジョブ)・装備・アクセサリーの効果と別枠で適応される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────────成程。冥響のオルケストラさんの攻略報酬の頭装備、此れは攻略プレイヤー毎のプレイスタイルと『ベストマッチ』する様に出来ている訳か」

 

神代の大いなる遺産達を扱い、習得した数多有るスキル達を使い熟す身として考えれば、瞬之装で事前に装備セットを構築・状況に応じてノータイムで切り替え、重之装で一式装備の持つ力を引き出し、連之装で同時発動により高めたスキルで一気に倒し切る…………其れが冥響聖典:大英雄の効果を絡めた場合の戦術という事なのだろう。

 

重複装備効果や装備セット効果も凄いが、ペッパーが一番ヤバいと感じているのは連之装:極丸の効果であり、冥響聖典装備中に不世出の奥義(エクゾーディナリースキル)を他スキル含めて使えば、数日単位の再使用時間(リキャストタイム)を要するスキルが三十分毎にポンポン出せる様になって、奥義が奥義の体を成していない。

 

─────────尤も此れを着けて街中を歩いたりすれば、明らかにPKerから狙われる雰囲気しか無い上、唯でさえネームバリューが凄まじい状態な所に悪目立ちがプラスされてしまうのは、最早既定路線と言える。

 

バー『マスカレード』のキープグラス、世界観のフレーバーテキストを含んだアイテムで有り、どうにも『此のグラスに飲み物を注いで飲むと何か変化が起きる』気配が漂う。後で此のアイテムでジュースや水、酒等を注いで試飲してみよう…………現実世界では二十歳にならなきゃ飲酒は駄目だが、ゲームならば出来るという物だ。

 

「そして此の二つは、オルケストラの一式装備を用いた攻略報酬って事だな」

 

一つは『極奏音階(きょくしんおんかい)』、フレーバーテキストによれば冥響のオルケストラ…………もとい『ポケットアリアG型10-82119が此迄に奏でた、今は無き数多の曲達の記憶』であるらしく、どうやらジークヴルムの角破壊者報酬たる霊角(れいかく)の残影(ざんえい)や、他の残影シリーズと同じ『概念存在』の様だ。

 

オマケに報酬として渡された極奏音階は三つ有るので、オルケストラ側から『複数の用途に使ってね』という意図を感じる。

 

もう一つの『戦闘記憶円盤 〜イフ・バトル・レコード〜』なるレトロ感が溢れる音楽円盤は、冥響聖典:大英雄を装備した状態で此処こと、バー『マスカレード』内に在るあのホーン型のレトロレコードプレーヤーで再生する事により、『ペッパー・天津気が第一から第四楽章で戦う可能性が在ったモンスターやプレイヤーにNPC、そして自分という存在が持つ世界に関する歌を聴く事が出来る』という。

 

此の報酬は永遠に響く歌姫王装(リィゾニタニティ・ディーヴァリエ)とレゾナンス・プロードマイクが持つ機能の真(・)髄(・)、並びに切(・)札(・)を発揮する為に必要不可欠な存在なので、後日此処に再訪問し再生して聴く必要が有る。

 

「で、コレが冥響編か…………」

 

最後に世界の真理書「冥響編」、ユニークモンスター撃破を成し遂げたプレイヤーに共通して贈られる、七つの最強種達の出自や神代の謎を紐解く書物(アイテム)と同時に、自分(ペッパー)にとっては星帝剣(せいていけん)グランシャリオの力を引き出す為の鍵(アイテム)でもある。

 

ただ今回手に入れた真理書は、考察クラン:ライブラリ所属のミレィが獲得した偽典、ペッパーと同じクラン:旅狼(ヴォルフガング)のサンラクが獲得した正典とも『異なる存在』で。

 

 

 

 

「世界の真理書「冥響編」…………聖(・)典(・)、ねぇ…………」

 

 

 

 

称号【聖典制覇】しかり、冥響聖典:大英雄しかり、冥響編:聖典しかり、掲げられた名は『正典』では無く『聖典』のワード。

 

冥響のオルケストラの一式装備を用いて撃破した事により、トゥルーエンド+αの状態に至った事が理由なのだろうが、一つだけハッキリしているのは此の真理書は自分だけの…………此のシャングリラ・フロンティアという世界(ゲーム)で『唯一無二(オンリーワン)の代物』である事だ。

 

間違い無くペンシルゴン達含めたクランメンバーや、連盟クランによる『オハナシ』は避けては通れず、プライベート配信でオルケストラの決戦を行なった事を踏まえて、プレイヤー:ペッパー・天津気(アマツキ)の持つ『戦闘や挙動に持ち物と性能を含めた様々なデータ』がネットの海に放流されたと考えて良い。

 

「まぁ、成る様に成れ…………だな。其れでは、今回の配信は此処までになります。長時間の御視聴、誠に御疲れ様でした」

 

右手の人差し指と中指を合わせ、天音 永遠(カリスマモデル)が邪教徒(ファン)にやる様な、唇に触れての投げキッスを隕鉄鏡に向けて放った後、隕鉄鏡の電源を切ってアクセサリースロットから外し。

 

アイテムの録映(ろくえい)の眼珠(めだま)がちゃんと録画出来ていたか、映像記録を飛ばし飛ばししつつ確認して全編録画完了に大満足し、龍神楽とヒトミをインベントリアに収納して、オルケストラの劇場でありバーから退出したのだった………。

 

 

 

 

 

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「あ、ペッパーさ…………って其のドレスとマイクはもしや!?!」

「はい。察しの通りで、冥響のオルケストラさんのパワードスーツですね。後、冥響のオルケストラさんのユニークシナリオEX、クリア完了です」

「此れが冥響のオルケストラの力を内蔵した、ユニークモンスターの一柱のパワードスーツ…………!」

「見た目はシンプルなステージ衣装とスタンドマイクだけど、シンプルだからこそビシビシと力を感じるデザインだ………」

「ペパ子ちゃんの姿と滅茶苦茶似合ってますよ!!!」

「其れはどうも…………」

 

冥響のオルケストラの劇場から退出した直後、待機していたライブラリのメンバー達に取り囲まれる形となったペッパーは、足元の影が蠢いて現れたノワとディアレにアイトゥイルがペッパーに合流して来た。

 

『ワン!』

「ペッパーはん!オルケストラを倒したのさね!」

「ペッパーさん、またヴォーパル魂がメキメキと高まったね…………」

「皆、ただいま。滅茶苦茶大変だったけど、勝って凱旋したよ」

 

二羽の兎と一匹の狼の分け身を撫でつつもメールボックスを見れば、天音 永遠(ペンシルゴン)や斎賀 百(サイガ-100)を始めとしたメールの数々が着信しており、更にはクランチャットにも大量のメッセージ。

 

そしてライブラリの面々からの質問やオハナシの雨霰を前にしたペッパーは、最早此処から脱出してログアウトするには一徹不可避のオハナシ会を、オルケストラで疲弊した頭で答えて乗り越える以外無しの状態だと、ある意味でオルケストラのユニークシナリオのエクストララウンドだと確信したのだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

余談だがペッパーは此の後ライブラリのオハナシ会で質疑応答に対応して居る中、リアルから大急ぎでログインして来たキョージュからマーニ支払いで真理書拝見交渉や、永遠に響く歌姫王装に関する諸々の質問に対応。

 

最終的に事務所(ドールベース)のベッドにてセーブ&ログアウトしたのは、オルケストラの配信終了から約一時間後の日付が変わった深夜帯だった事。

 

そしてメールボックスに入っていた永遠や百のメールへ返信、クランチャットでメンバーと会話をして眠りに付いたのは午前三時だった事を記載する。

 

 

 






終劇の後、見物者は騒ぎ立つ


※尚、ペッパーが最後に放った投げキッスはペパ子ちゃんを初めて見た観戦者の性癖に少なからずダメージを与え、クリティカルした連中は漏れなく『ペパ子ちゃんは最高です!』やら『ペパ子ちゃんの夢女になります!』やら叫び出す様になった。

そしてペパ子ちゃんスレでは此の配信後、ペパ子ちゃんのファンになったプレイヤーが一気に集まってスレの表示に一時的なラグが発生し、結果として混沌が加速した。


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