パーティーメンバーが見る物は
土砂降りの雨の中を行軍し、死火山の山肌を登って頂上へと向かった彼等彼女等は、其の天辺にて大雨に打たれながらも煌々と輝く太陽を。
出現した当時は『丸い身体に羽根が付いていた某緑の帽子を被った、歴戦の剣士を導く一匹の妖精に似た形状を巨大にした』物から更に小さく、そして『雨から身を守るが如く其の身を丸めて萎んだ』、
『Vooooooooooooooooooooooooob…………!!!』
「焠がる大赤翅が鳴いてる…………!」
「此処からは作戦通りに、スリーマンセルで五つのチームに分かれて叩く!何か判ったら無線通信で情報共有を厳に!」
『『『『応ッ!!!』』』』
オイカッツォの号令を下にプレイヤー達が動きつつ、今一度焠がる大赤翅の特性及び特徴を思い出す。
焠がる大赤翅とは右方始源眷族の赤であり、錆び付いた英傑武器に火を灯して強化させる存在であり、そして其れは『
謂わば『生きて思考する炎熱エネルギーの概念存在其の物』と言うのが焠がる大赤翅であり、生きる・思考するの部分だけを見れば
同時にエネルギー体其の物であるからこそ、焠がる大赤翅は『無敵の様で無敵で非ず』……………世界の理に在る物理的法則の観点からするならば、肉体という器にして枷を持った人類や動物以上に、エネルギー体である焠がる大赤翅は其の影響を人や動物以上に受ける事になる。
焠がる大赤翅が行う水を掛けられた際に行う、超広範囲の水蒸気爆発によるカウンター、此のモーションを在りし日の神代人類達は『
此れは『焠がる大赤翅が自身の温度を低下させる攻撃を受けた時』に発動し、自身を構築する熱エネルギーを高温の蒸気に変質させ、受けたダメージの
『要するに焠がる大赤翅、解り易く『ニラ蝶』って呼ぶが、奴は温度変化を水蒸気爆発でカウンターし、身体構築がエネルギーの塊って観点から推測するに、あの水蒸気爆発は『エネルギーの殻だか皮だかを高速でパージして吹っ飛ばして来てる』のが原理な訳で………『だったら常に雨を降らせて蒸気膨張波動を発動させ続ければ、奴の炎熱エネルギーを空っ欠に追い込んで消滅させられる』───────ってのがベヒーモス永住の考察クラン:ライブラリメンバーのコメントだったか』
『こういう謎解きの観点から見れば、彼処のクランの凄さが際立つよなぁ。実際予想は当たってたし………』
『だけどニラ蝶は始源存在の一柱、土砂降りの大雨に振られて鎮火されてハイ終了………何て事は運営が許すとは考えられない!全員警戒を怠るな、何か有ったら直ぐ連絡をッ!』
プレイヤー達が無線で連絡を取り合い、焠がる大赤翅に視線を向ける中、大雨という刃を翳して来た
自身の力で周りに在る山を『自身が自爆する』という選択肢を取れば、山諸共此の小さな連中を纏めて吹き飛ばす事は簡単だが、自身は眠りし右方始源獣アイテールの眷族であり、其の使命は『アイテールが再び動き出す為のエネルギーの生成及び其の不足分を補完する事』。
其れ故に赤き炎の蝶は『自爆は悪手』と判断を下し、振り注ぎ止まない
『此方ホークアイ、何かファイヤーバタフライが『変な膜』を貼りやがった!』
「膜?………って、何じゃありゃ!?」
『あーあー、此方炸裂グリンピース!別視点から見たけど、ニラ蝶の周りに付いた膜で『雨粒がガラスで滑った状態になったわ』!一回遠距離攻撃で反応確認必須!?』
未だ降り続く土砂降りの豪雨、其の雨の中で大赤翅が周りに纏った膜は、雨を否定するかの様に寄せ付け無い。まるで雨による熱エネルギーを此れ以上奪わせないと、対抗策を練り出したかの様に在って。
『エタゼロ、イケるか!?』
『任せろッ!!』
無線から聴こえる声、事前の作戦会議にて敵が防御体勢を取った際に、雨の中で生半可な遠距離攻撃を仕掛ける場合、此方は『威力減衰影響』を受ける事を加味する必要が出た時、誰が『遠距離攻撃の役割』を担うかと言った議論が有り、其の時に挙手と共に自ら立候補したのがエターナルゼロであり。
『ママの不安を取り除く、其れが俺の戦う意義!ならばニラ蝶、何する
ベヒーモス統括AIたる
何よりベヒーモスに置いて、莫大量のリザルトと培われ重ねたレベルを注ぎ込み、キャラリメイクをやり込んだ成れの果て『通常時が五歳児程度の身長まで縮み』、其の結果として『基礎ステータスが最前線を走るプレイヤー級に化物じみた状態まで至ったプレイヤー』…………其れがエターナルゼロなのである。
『行くぞ、ニラ蝶!此れでも食らえオラァアアアアアッ!!!』
母性に狂いながらも母の不安を己が祓うと決めた幼子は、小さき身にも関わらず強肩と全身の連動によって、超一流のプロ野球選手すら
此のテンパーボム改は一定以上の衝撃と共に中身がバラ撒かれ、中に在る小粒の爆弾を広範囲に拡散とダメージの多段ヒット判定を叩き付ける所謂『癇癪玉』に当たる物。
其の中身の小型粒爆弾を、新大陸に飛んで仕入れた『アーミュレット・ガルガンチュラのゼリーマテリアル』で作った物に置き換え、テンパーボムの数倍の威力を獲得した爆弾の一投が豪雨を貫き飛んで行き、膜を纏い張った焠がる大赤翅に直撃し───────
バギキキキキキキキキキキィ─────────ンッ!!
「なっ!?」
『『『嘘だろ(でしょ)!?!?』』』
次の瞬間、弾けて炸裂したテンパーボム改の爆発によるエネルギーが、爆発途中だった小型粒爆弾含めた
焠がる大赤翅、第二形態
「Vaooooooooooooooooooooooooooom……」
未だ底知れぬ始源存在の一柱は、己を倒さんとする者達を見て、声を鳴らしていたのである…………。
氷の繭は、害する全てを凍て付かせる