反撃開始
『DaaaVuuuuuuummmmmmm──────!』
「『ビームよ霧散しろッ』!!そして青、白、緑………
抑え切れぬ殺意と有り余る灼熱を乗せ、赤く紅く朱い赫に染まる
今現在の焠がる大赤翅の中で一番の事故要因に成り兼ねない、無作為の
『─────────我等ヴォーパルタンクの役割とは、即ち敵の注意を己に向ける事。敵に要らぬ執着を持たせたならば御の字、仲間が敵の臓物を貫き食い千切り、首を落とす空隙を生み出せたならば本望である』
オイカッツォがパートナーとしてバディを組み、ヴォーパルバニーでタンクを担うユーゼオが多少のダメージを是として拳気を使って殴る
そして彼や防衛戦の防人としてゴルドゥニーネの分け身と戦っていたヴォーパルバニータンク達が掲げる、ヴォーパルタンク道なる教えの最終到達点に在る、所謂武術の流派の真髄に通じる為の心得にして、金言であり格言である。
「其れに此のタイミングでの他プレイヤーの参戦は、此方からしたら『ありがたい』からね…………!」
現在の焠がる大赤翅が巨大な赤子状態であり、端から見ても巨大な要塞の様な姿であり、そして何よりも其の巨体が発光している事が一番のシグナルとなり、サードレマやファイヴァルに居た初心者だったり中級者、或いは上級者に廃人勢と雑多ごちゃ混ぜのプレイヤー達が集まり出し。
既に戦っていたプレイヤー達から話を聞き、戦術機が使える者でホバーや飛行能力を持ったドラゴメンを持つ者達が飛び立ち、地上では大赤翅の張り手踏み付けに吹っ飛ばされた者をヒーラーが回復し、ダウンから復帰する迄のタイミングを狙うビームをオイカッツォが防ぐ。
「レイドモンスターとの戦いにラストアタック報酬は無い!其の上でエターナルゼロから全員に通達───────『奴の首を斬り落として、火口にジャックポット決める』!今の焠がる大赤翅は
空中を飛び回る戦術機達を乗り継いで、焠がる大赤翅の首周りに到達したエターナルゼロが、途中参戦の戦術機乗り達のプレイヤーが無線を通じて伝えた情報を、オイカッツォが声を張り上げて伝達する。
擬人相と化した今の大赤翅は大きな赤子であり、其の体格構造は首から下が赤ん坊であり、首から上が蝶の頭といった『異生物を無理矢理縫合した様な、ある種のチグハグな見た目のキメラ』と言って良い姿に等しく。
無尽蔵の在りと汎ゆるエネルギーを行使・思考する概念的存在たる焠がる大赤翅は、例え其の身が敵の迎撃と蹂躙の為の仮初の身体を得たとしても、エネルギーという空想的な存在を『自分達プレイヤーは倒す事は出来ないのでは?』と。
即ち奴は『深淵のクターニッドの様に
「おぅエターナルゼロ、此れで何とかなるんだよな!?」
「兎にも角にも爆弾だ!肉を退かして首骨に至れなきゃ、斬り落とす段階にも入れねぇ!」
「まさか戦術機で穴掘りする事になるとは…………!」
「ドラゴメン持ちとオイカッツォ氏がヘイトを引いている内に進めますぞ!!」
「ハァイ!エタゼロ、ホークアイ、皆!ケッツォから渡してって言われた物を持って来たワ!」
戦術機の爪に穴掘り用のスコップ、或いは斬撃系武器の剣や巨木を斬り倒す斧で肉を穿り、亀裂を作るプレイヤー達の元に戦術機を乗り継いで来たアージェンアウルが合流。
インベントリから取り出したのは、オイカッツォがペッパー・
「其れ何すか?」
「バレルボンバー!」
「…………樽爆弾?」
「イェア!」
「よし急いで設置から着火してブッ飛ばすぞ!!!」
爆弾という物品は穴掘りや岩盤貫通の為の亀裂作りに使われ、ダイナマイトという使い手次第で善にも悪にも変わる物を作り出したアルフレッド・ノーベルも、此れが有ったら人類はもっと発展出来ると………そう願いを込めたのかも知れない。
大型の樽爆弾達がプレイヤー達の手で設置され、自称:爆破解体業を営んでいるらしいダイナスティ・ダイノバンパーと、其の樽爆弾に目を輝かせながらも距離感や位置取りでアドバイスをしたプレイヤー・しいたけの元、樽爆弾達は設置され。
「「「「「「「「イッツ、ボンバー!!!」」」」」」」」
ノリと勢いで着火された爆弾達が盛大で、壮大なまでに大きな花々の数々を、焠がる大赤翅の首周りにて無数に咲き誇らせた、其の結果─────────。
『VooooooooooooooGyyyyyyyyyyyyyyyyaaaaaaaaaaaaaaaaarrrrrrrrrrrrrrrrAaAAaAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!?!!!?!?』
「「「「「「「「「「「「「「「「えぇ………………」」」」」」」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「「「「「「「………………やぁゔぁい……………」」」」」」」」」」」」」」」」
大赤翅の
其れも下手な爆破解体で用いるダイナマイトや、特撮の必殺技や撃破演出の為に用いる火薬、最終話で余った潤沢な予算全てを使い切った演出の比では済まない勢い、更には爆発と熱波に轟音という結果を見せ付ける。
爆破によって肉は砕けて削げ落ち、露わになった焠がる大赤翅の赤く輝く頸椎にまでも、見事なまでに大きな亀裂が入っているのを見たプレイヤー達は、此の瞬間を以て『此れを破壊出来れば自分達の勝利は確定する』と確信した。
『BaaaaaaaaaaaaaaJuuuuuuuuuuuuuuVeeeeeeeeeeeeeee………………!!!』
そして当然ながら、自身の身体に大ダメージを叩き込んだ者達に対し、焠がる大赤翅の展開した灼眼球達が其の数を更に増やし、其の視線は地上のプレイヤー達から首周りに居るプレイヤー達へ一挙に切り替える。
「目が増えてね………!?」
「ヤベェぞ、首周りや空中戦の奴等がやられる!」
「此のまま放たれたら、其の後で私達も殺られかねない!!」
「ヘイトを奪い取れぇぇええ!!!!」
「─────────ムカつく」
地上のプレイヤー達が何とかすべきと、どうやって自分達にヘイトを向けるべきかと、てんやわんやし始めたそんな時、ペッパー・カルダモンは己の心情を小さく吐露した。
理由は極単純で、自分の行動が『焠がる大赤翅の歯牙にも掛けられていない』という事であり、其れは同時に自分という存在が焠がる大赤翅にとっては『何ら興味や脅威を抱いていない』という事でも在った。
強い相手や強大な敵に最強の存在、其れに挑む権利や行動は万人が等しく持つ『権利』であり、其れを受ける側である筈の強者が蔑ろにする事は、弱者側の存在にとって腸が煮え繰り返る程の『侮辱』に等しい行為である。
「ケイに頼まれて樽爆弾を作った身だけど、やっぱりニラ蝶に無視されるのは…………ムカつくわ」
此処まで生き残って観察し続けたからこそ見えた、焠がる大赤翅の要素……………其れはあの灼眼球達には『視線』が有り、そして赤ん坊に見られる『自分の興味を惹く物には凄まじき集中が向けられる』という事。
「要するに奴の注意を引くなら『強さ』は要らない、大事なのは『興味を抱かせる派手さ』が重要…………!」
「何か策が有るの?メ、じゃなくてペッパー・カルダモン」
「ケイのマーニやらの供給で作ったは良いけど、最終的に出来たのはネタ寄りの物品でね。でも相手が赤ちゃんで興味を惹くなら上等、正直『こんな形』で使う事になるとは考えなかったけど!」
取り出すは生産系
だが
しかし『此の世に産まれ落ちた物には必ず意味が在る』とは言った様に、花火が上がって華が開けば観客達の視点を上に向くのが摂理で有るのと同じであり。
彼女の手により用意された此の迫撃砲達は、後に『爆焔鎮滅戦』と呼ばれる此の一戦の最終局面たる今現在、文字通りの正念場に置いて遂に其の真価を発揮したのであった。
赤子の注意を引き寄せろ