決着への最終局面
性能としては『
『Daaaaaaaaaaaaaaaaaa………?』
だが
そして今現在の焠がる大赤翅が『人というシステムを理解した』が故に、其の効力は大雨に打たれ続けた時よりも、莫大量の熱エネルギーを吸い取られた時よりも。
もっと言えば先程食らった首周りの大爆発によるダメージよりも、其の身に流れる血脈故に大赤翅の展開した目達が、何より本体の興味を惹く結果をプレイヤー達に齎したのだ。
「効いた!」
「煙か何かでニラ蝶の注意を惹き付けろ!」
「カルダモン、さっきの奴もっと出せない!?」
「あんな宴会芸そう多く持って来て無いわよ!?!」
死火山は大前提として山であり、山肌は大なり小なり斜面という傾斜が有り、そして其処に物体が落ちれば重力という物理エンジンに従って転がり落ちるのが摂理である。
火口に頭を落とす以上、失敗すれば蝶の形状をした赤子の頭が転がって街かエリアを粉砕する端末は、ギャグか何かと思えども流石に笑えない結末なので、どうにかしなくてはならない。
そんな時、一人のプレイヤーがこんな事を言ってきた。
「要するにニラ蝶って赤ん坊な訳じゃん?奴にキッズ向けコンテンツを見せれば注意惹けるよな?」
「「「「「「「確かに」」」」」」」
「実は【
「あ、実は自分も其の魔法を覚えてましてね。触れると消えてしまいますが、絵心持ちが使うと中々なテイストになりますから」
「おぉ、マジっすかパッセル・コックゴーンさん」
実用性やらの評価を踏まえて魔法職プレイヤーの大多数からネタ寄りと刻印を押された魔法だが、捨てる神在れば拾う神が在る様に習得していた者達も少なからず居て。
であるならば『声』が在ると、よりリアリティが高まると考えに至ったプレイヤー…………炸裂グリンピースは小さくこう呟いた。
「えっと、私…………キャンディ・メイデンズのメープルなら声出せるわよ。まぁ、あくまで『声真似』だけどね」
「マジ?
「ミカどんの声帯って、AIでも模倣不可のオンリーワンボイスじゃなかったかしら?」
「……………言っとくけど、本人とかじゃないかしらね?」
「え、何て?」
皇 美嘉、近年の日本アニメ業界にて『ミカどん』の愛称として知られている女性声優の一人。
彼女の特徴は今の御時世では当たり前になりつつ有る、ロボットやAI活用の合成音声での再現をしようとも再現出来ない、ある種の『オンリーワン』とも言うべきハスキーな声帯であり、昨今の業界に置いてもベテラン声優に負けない輝きを持った存在だ。
皆の注目が集まる中、炸裂グリンピースは喉を整える様に息を吐きつつ、自分の脳内の『引き出し』に在るプリティメイデンの中でも屈指の人気を誇るキャラクター………『メープル・ホットケーキ』の姿を自分に重ね。
然しながらほんの少しだけ音をズラし、其の喉を震わせて声を出す。
「すぅ……………っ、───────『あまーい魔法をかけるのはだぁれ?プリティメイデン、メープルちゃんっ☆』」
「「「「「「「うわっ似てるぅ!?!?!」」」」」」」
「えっ、めちゃんこ似てる!?っ、ヨッシ任せろ!メープルちゃんを描くぞ!!パッセル・コックゴーンさん!!!」
「任された!!!」
本来ならば『大地という領域にすら収まらない程に巨大な魔法陣を描く為の高等魔法』であり、虚空に虚構の少女を描くという『何ともくだらない上に無駄を詰めた魔法』は、此の一戦に置ける文字通りの正念場で発揮され。
そして其れは、焠がる大赤翅の首をアーミュレット・ガルガンチュラのゼリーマテリアル入り樽爆弾爆破解体:第二弾を実行するべく、大赤翅に気付かれぬ様に傷口へ攻撃を加えて修復を遅らせつつ、同時進行で樽爆弾設置を続けるプレイヤー達の目にも見えた。
「ありゃ何だい?空中に少女が出てるけど…………」
「アレは日本のアニメ、キャンディ・メイデンズのメープル・ホットケーキだよ、ホークアイ。ケッツォが言ってた、所謂人気キャラってヤツ!」
「………というか、メープルボイスも聞こえてるんだけど。誰か公式から音源引っ張って来た?」
「ミカどんの声真似じゃない?彼女の声、コピー不可のオンリーワンボイスらしいし………」
「もしかして炸裂グリンピース姉貴、ミカどん本人だったりして………?いや無い………か?」
「『ぽかぽかホットケーキにあまーいメープル!あの子もその子もあなたも!みーんな大好きっ!!』」
地上で二人のプレイヤー達が杖の鋒を振るい、ライトブラウンのツインテールに頭にホットケーキを乗せた10メートル位の平坦な輪郭の少女が虚空に描かれ、下から拡声魔法によって強化された声が木霊して、大赤翅の注意が空中に描かれた虚構の少女に向けられている。
「今がチャンスだ、ニラ蝶の首を爆破する!耐えられた時の後詰めは頼んだぞ参加者達ッ!」
「にしてもニラちゃんはメープルちゃん推しかぁ………此れは将来有望ですなぁ〜」
「沁み沁みしてないで手ェ動かせ!」
「イケイケ気を付けろ!迅速かつ正確に!!!」
「ッ…………ヨシ出来たぁ!!」
「「「「「「しいたけ、やれぇッッッッッッ!!!!!」」」」」」
「オッケー!其れじゃあ………ポチッとな☆」
最期の小型樽爆弾に衝撃を与えつつ放り投げ、設置された大型樽爆弾達に激突と同時、ガルガンチュラ種の持つ同族の爆破作用に反応して起きる連鎖反応により、樽爆弾全てが同時に爆発を引き起こし─────────
『GyaaaaaaaaaaaaAaAAaAAAAaaaaAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!?!?!?!?!?』
灼熱、爆発、轟音、そして衝撃。其れは破壊的な出力で焠がる大赤翅の首骨に決定的な、此の戦いに終わりを与える一手となった。
其の光景はハリウッド映画すらも顔負け所か、第一弾の爆発すら霞んでしまう程のレベルの破壊の一撃は、一度目の爆破で肉を焼き焦がして砕いた上で、頑強な頚椎に亀裂を生み出した其れよりも尚強く。
何よりも焠がる大赤翅にとっての誤算は、自身が無尽蔵の力を持ちながら『人という不完全な形になった事』。
今迄の球体と羽根が付いていた姿から、此の場の誰よりも『巨大な形になってしまった事』。
何よりも人間達を蹂躙する為、大赤翅が選んだ赤子という姿が『鈍重で無垢で無邪気であり』、そして『誰よりも無知になってしまった事』。
其の全てが大赤翅自身の圧倒的な力を持つが故に起きた、己自身の『傲慢』から成った果ての果て、偉大なる赤子を待っていた『当然の結末』であり。
『VoooooAaaaa………?…Da?Ma、Wuuuuu………────────』
爆発の黒煙の中、砕けた頚椎と焼け千切れた神経線の断裂と共に、焠がる大赤翅ね巨大な頭は胴体と泣き別れ。
首の断面から血潮の如くマグマを噴き出しながら崩壊する巨大な赤い赤子の胴体と、巨大な頭が見事火口へ
『赤く、ねむり、たゆたい、赤く、めざめ、たわむれ、赤く、赤く、おちて……瞼無き赤き瞳は閉じて、赤い大地の底で眠りにつく。されど警戒せよ、眠りとは……目覚めを伴うものだ』
『モンスター
『討伐対象:
『レイドバトルが終了しました』
『参加人数:143/150』
『次レイド開始:特定のタイミングで開始されます』
爆焔鎮滅戦決着