消火活動終結
「あー…………やぁっと倒せた〜。あー………………めっっっっっちゃ、疲れたわ………っ───────」
右方始源眷族・
そしてほぼ同時に、複数本の巨剛触手を用いての集中状態の浮足立った感覚からの解放、
(疲労由来の気怠さと頭の重さ、
オイカッツォは蛸極王装を使う事も含め、事前に特殊戦術機蛸オクトメンで練習を重ねていたし、使用した後の疲労具合から何の程度の反動が来るかの逆算もしていた。
だが其のオクトメンの大元たる蛸極王装、言ってしまえばオクトメン単体では『上位互換』に当たる存在であり、オクトメンを数百揃えて漸く蛸極王装の反転能力に匹敵出来、オクトメンの機械的なアームに対し蛸極王装の巨剛触手は生物的な面を持つ為、其の可動域は機械で出来た物と異なる流動性を持つ。
其の流動性は一つ扱い方を間違えれば、本来クリティカルで出せる筈だった拳撃や脚撃のタイミングを意図しない『ズレ』を生じさせ、複数の武器を持って動かすという行為も蛸足の構造と人体の腕の可動を理解し、其の上で如何なる動きをすれば如何なる結果が生まれるかを把握しなくてはならない。
其れは蛸という動物の特徴、触手型モンスターの特性、人体構造の理解という三つの要素を
(蛸足八本に雲の腕二本と本人の両腕と両脚って、彼奴の頭イカれてんだろ…………!しかも超高速で天地動き回りながら姿勢制御と三十秒毎に改変能力、其の時其の時に必要な言霊選び出してるとか、改めて馬鹿げた事やってる………!)
最高峰のプロ格ゲーマーの自分でさえ、
そんな折にオイカッツォが見たのは、此方へとやって来る大赤翅
「あー…………えっと皆さんの御蔭でニラ蝶の鎮火活動、もとい撃破一番乗り御疲れ様です。此れで始源存在でマウント取られた時にも、報酬見せ付けてドヤ顔出来ますね」
「まぁ大変だったけど楽しかったな………」
「オクトメンの大元のパワードスーツの使用感ってどんな感じ?」
「えっ其のまんまの流れで質問?うーんと………、オクトメンの数倍の操作難度って言った方が解り易い?其れも八本のアームをフル稼働させながらやるみたいな」
「「「ゲキムズじゃん!?」」」
「凄いですね………オクトメンで練習したんっすか?」
「したよ、尤も其れやっても滅茶苦茶疲れたんだけどね………」
後学の為と蛸極王装について聞きに来るプレイヤー達に対処し、オイカッツォは焠がる大赤翅討伐─────正確には『撃退』という形の終わりとなった後に表示されたリザルト画面、其処に示された『次レイド開始:特定のタイミングで開始されます』という文章が気掛かりでならなかった。
此れをペッパーが見たならば『確実に焠がる大赤翅は何処かしらのタイミングで、此方に横槍を仕掛ける様に復活して来る』と読み解け、此の
「なぁ皆。さっきのニラ蝶討伐リザルトで『特定のタイミングで開始されます』って在ったけど、ぶっちゃけ『次のレイドって何時始まると考える』?」
「次のレイド開始?」
「そう。始源スレで『
オイカッツォの発言、多くのプレイヤー達がザワザワとする中で一人、コンジャラー前衛として活躍したパッセル・コックゴーンが挙手から意見を述べる。
「あの、オイカッツォ氏」
「あぁはい、パッセル・コックゴーンさん」
「知り合い、と言うよりはゲーム仲間というべきか………。自分のゲーム仲間(?)な『ミミコ氏』と『
そしたらミミコ氏からは『其の時にナブグリとニラ蝶が其々の陣営に横槍を掛ける可能性が高い』、輝羅氏は『PKerが戦争へ参加する為にどっちかの陣営がプレイヤーに恩赦を出すんじゃない?』と………そう言ってましたね」
輝羅とミミコというプレイヤーネームを、中級から廃人級のプレイヤー達は知っている。
今でこそアーサー・ペンシルゴンが持っている
そしてミミコの方はベヒーモス最奥の施設利用と環境生物相手に鍛えた事で、今現在の実力やレベルがシャンフロ最前線プレイヤー達にも届き得る状態まで至っているという。
「運営からすれば『横槍にピッタリ』ッスね」
「確かに横槍狙うなら、其の辺りが良いと思うわ」
「要するに新王政と旧王政の戦争に『始源存在が介入する』と………」
「─────────っ、いやちょっと待って!?其れってつまり………『始源存在が戦争を邪魔しに来る』みたいに聞こえるんだけど………?」
「ナツメグ、其の認識で合ってるよ。ケッ、じゃなくてカッツ、コレってつまり」
「まぁ………『そういう事』だろうね」
「そうだね、三人の考えてる事は『当たり』だろうさ」
ペッパー・カルダモンにアージェンアウル、そしてホークアイにオイカッツォは気付き、そして他プレイヤー達も大なり小なり遅れる形に有れど、此の場に居た全員が漏れ無く気付くに至れた。
「其のPVPイベント開始のタイミングでニラ蝶とナブグリが現れ、新旧王政陣営に属するプレイヤーへ横槍を加えに来て、其れをプレイヤー達は始源存在討伐を強いられながら、敵陣営を如何に素早く倒すかっていう一種の『タイムアタック』をしなきゃならない…………そんな所だろうね」
経験と共有は大切