オハナシの幕は上がる
サードレマ・蛇の林檎。
ユニークモンスター・墓守のウェザエモン討伐に向けて集まった、サンラク・オイカッツォ・ペンシルゴン・
「えっと先ず話し合いを始める前に一つ、京極へ渡す物が有ります。此方ウェザエモン戦に向けて、ペンシルゴンが製作依頼を出してた太刀、其れが完成したのでどうぞ御受け取り下さい」
SFサムライスーツを纏いながら、ペッパーはアイテムインベントリより、もう一工の
「ペンシルゴンが言っていた武器かい?大した物じゃ無かったら、君の事斬………エッナニコレスゴイ」
名匠ビィラックが丹精込めて打った、ティラネードギラファの太刀だ。業物には及ばずとも、彼女が仕立てた刀が持つ性能に、京極は思わず片言になってしまった。
「京極ちゃん、どしたの?」
「此の太刀凄い……デフォルトで風属性と雷属性持ってて、切り傷に裂傷と帯電デバフ乗せてるとか……神武器か何かかな?」
京極に言われ、内容を確認したペンシルゴンとサンラク、そしてオイカッツォは其の性能に唖然となった。
「…………ペッパー君、大槍はまだ出来ない?」
「あと一日掛かる。楽しみは取っておかなくちゃな?」
太刀で此の性能なのだ、大槍を始めとした両手系統の武器は、一体何れ程の性能となるのか。否応無しに期待が高まってしまうというもの。
「さて、と………だ。ペッパー君、色々言いたい事が有るけど、今回は大きく分けて質問を『三つ』に絞り混むよ」
そう言ってペンシルゴンは、ペッパーの前に手を突き出して、他の三人も彼に視線を注ぐ中で指を一本ずつ折っていく。
「一つ。ジークヴルムの手に乗って空を飛ぶ前に君が居た、千紫万紅の樹海窟の隠しエリアについて。
二つ。今君が纏っている、其のサムライスーツかサムライアーマーか解らない、一式装備の事。
そして三つ。シャンフロのアイドルこと、慈愛の聖女イリステラと何処で出逢ったのか。
此れを話してくれない?」
ペンシルゴンの質問、ペッパーは四人を一通り見た後、一息着いて『警告』した。
「話しても良いが、一つ『条件』がある。今から話す情報と今日見た事を、時が来るまで『俺達以外に他言無用にする』と約束出来るなら、俺は其の質問に答える」
墓守のウェザエモンが嘗て装備していた、偉大なる戦鎧にして、七つの最強種を模倣せし、神代の大いなる遺産・ユニーク
「………解った。約束するよ」
「僕も良いよ。そう言うって事は、相応のヤバさが有るんでしょ?ソレ」
「俺も良いぜ、ペッパー」
「そんな風に言うんじゃ、余計気になっちゃうよねぇ」
全員の心持ちは決まって、ペッパーは深呼吸を調え。そしてペンシルゴンの質問に答えていく。
「千紫万紅の樹海窟に在る隠しエリア。名前は
で、此のサムライアーマーに付いてだけど、此れはイリステラ様と出逢った場所と、組み合わせて話した方が良いな。彼女と出逢ったのは王都ニーネスヒルって場所で、ジークヴルムさんの手に乗って空を飛んだ事が、プレイヤーを通じて伝わったのか、聖女ちゃん親衛隊ことクラン:聖盾輝士団を護衛として引き連れて、俺がニーネスヒルに来るのを待ってたんだとさ。
其れで彼女と謁見する事になって、ロールプレイが上手くいったからか、サードレマ大公の元へ訪ねてみて下さいって神託を受け、此の時にジョセットさんとフレンド登録をして、盟友救助で呼べるようになったんだ。そしてサードレマ大公の城で、大公殿下に会いに行ったら熱烈歓迎、からの城の地下に案内されて、サムライアーマー……『ユニークモンスター・墓守のウェザエモン』が嘗て戦場で着ていたという、伝説の戦装束たる『
実際は
そしてペッパーの話を聞いていた四人は、全員目を丸くして唖然となっていて、一度見ていた筈のサンラクも驚きを隠せていない様子である。寧ろ驚かなかったら驚かないで、ペンシルゴンに考察の余地を与える結果になりそうだったので、ナイスであった。
「あの女泣かせのウェザエモンが、昔に纏ってた戦鎧って………。ペッパー君、一体どうしたらそんな代物を手に入れられるの………?」
「というか、ウェザエモンに由来する一式装備ねぇ……因みに何かヤバい能力持ってるっぽい?」
「ちくしょー!こんなかっちょいい装備着れないとか、マジでクソ犬許さねぇ……!」
「流石にウェザエモンと同じに!っては成れないでしょ?ペッパー?」
四人四色の声を上げ、悠久を誓う天将王装を語らう者達。驚愕を浮かべる者、興味津々の者、怒りで声を上げる者、冷静に分析する者と、皆反応は各々だ。
「まぁ色々と言いたい事が有るとは思うし、質問にも答えてくけど、ウェザエモン由来であってウェザエモンには成れないって感じだね。能力は一式装備状態時に限定で発動するのと、今現在は『時ヲ待テ』なる表記に加えて、ロックが掛かってる。だが一式装備の太刀は、普通に装備出来るらしいから、試しに装備してみるよ」
そう言ってペッパーは、悠久を誓う天将王装の得物たる、
「…………ダイジョブソウダ」
「えっ、何今の間」
「ステータスが足りなかったけど『変わったブルックスランバー』と戦って勝ったからか、ボーナスポイントが入って………あ」
口と指を動かして、要求されたステータスにポイントを振り分けた所で、ペッパーは自分がやらかした事に気付くも、時既に遅く。ペンシルゴンがペッパーの腕をガッシリと掴まえ、そして顔を近付けながら聞いてきた。
「ねぇ、ペッパー君。今、変わったブルックスランバーって言わなかった?」
「黙秘権を行使します」
「駄目に決まってるでしょ?」
ペンシルゴンを始めとした、サンラク・オイカッツォ・京極も、無言で此方に視線を向けてくる。
「私からの質問追加。其のブルックスランバーを倒して、君は一体何を手に入ったのかなぁ?」
「……………解ったよ、此れも他言無用にするなら教える、だから同調圧力掛けるの止めて」
「「「「うん、解った」」」」
ゲッスイ笑顔とハモっての即答。即興ながら恐ろしい連携と速さである。
「簡単に言うと、其のブルックスランバーは"
因みに俺が習得した
あるがままの事実を話すペッパー。そして其れを聞いた四人はまたしても唖然となり、落ち着きを取り戻してから感想を述べる。
「えっ強くない?其のスキル。ヤバい、神?」
「スタミナ減らないって…5分間スタミナ切れに泣かずに、連続攻撃を叩き込めるってか?こっっっわ、下手なクソゲーのラスボスより
「5分とはいえ、能力は『必殺級の切札』の其れだね。スタミナが切れると色んなアクションに影響出るから、其れを防ぎながら戦えるの、十分ヤバいわ」
「良いねぇ。其れを獲得出来るモンスターが居る場所、僕にも教えてよペッパー」
「解った解った、取り敢えず京極は落ち着いて。後で最速走者が出現した場所は教えるから。ペンシルゴン、本題のウェザエモン攻略の話はしないの?」
エクゾーディナリースキルで盛り上がっているが、今日こうして集まったのはユニークモンスター討伐の為だ。脱線しかけたルートを戻して、話を進めなくてはいけない。
「誰のせいでこうなったと思ってるの?」
ジト目で睨むペンシルゴン。ペッパーはアイテムインベントリからポーションを取り出し、フルフェイスヘルメットの一部を弄ると、口元がガパッと開く。
皆其の機能に目を丸くする中、一人グビグビと飲み干して、殴られて削れた体力を回復してペンシルゴンに言った。
「まぁ、其の…ごめんなさい」
「………素直でよろしい」
「因みにペッパーが、ふざけて謝ったら?」
「魔法バフ
「食らいたくねぇ………」
「本当に面白いね。叩くだけ埃が出るマットレスか何かかい?」
「誰が廃棄不可の粗大ゴミですか?」
「はいはいはいはい、話を戻そう。ペッパー君がわりと制御不能の、暴走列車なのは解ったから良しとしといて…………だ。やるよ、ウェザエモン攻略に向けて」
紆余曲折を挟み、此処からが本番である………。
情報の大洪水