ダブったガチャアイテム、君はどうする?
去栄の残骸遺道での
「うーん……ギルフィードブレイカーにヴァンラッシュブレイカー、そんでライダメイズブレイカーの3種のユニーク小鎚は、ビィラックさんに頼んで耐久値回復をして貰うとして。どうしようかなコレ……」
バックパッカー系列の職業が、他の職業よりもアイテムインベントリに優れているとは言え、流石に容量は『無尽蔵』ではない。長く居座り嵩張れば、自ずとアイテム枠を食い潰し、本来運べる筈のアイテムも運べなくなってしまう。
其れでは、バックパッカーとしての使命が。味方の窮地を切り開く者としての役目が果たせない。
「アイテムとして存在しているなら、当然使い道は必ず有る筈だ。………『産まれてきた物には必ず、各々が持つ役割が在る』。だから此の偶像達にも、コレクション以外に必ず意味を持ってる……!」
何時に無く真剣な表情と眼差しで、偶像達を手に持っては考えるペッパー。
「ペッパーはん、ペッパーはん。こんな時はピーツに聞いてみたらどうさね?」
「ピーツさんに?」
「こういう骨董品はピーツが好きそうだし、色々仕入れる過程で、何かしらの知識を持ってる筈なのさ」
確かに彼なら……いや彼だからこそ、此の石造りのフィギュア達の事が解るだろうと、アイトゥイルは睨んだのだろう。
しかしペッパーは知らなかったのだ。此の石造りのフィギュア達━━━━『偶像シリーズ』が、コレクター気質のプレイヤー達にとっては、ある種の
「………ペッパー…………!こりゃまた、とんでもないもん…………手に入れおったな………!」
兎御殿の一角にて、露店形式の店を構えるピーツを発見したペッパーとアイトゥイル。早速ダブった偶像を見せた所、ピーツは眼を真ん丸に血走らせ、息は荒々しい物にしながらも、何とか冷静さを保っている。
「えっと、ピーツ……さん?」
「おーおー…こりゃまた、けったいな興奮度合いなのさね、ピーツ」
「興奮?どういう事なのアイどぅ!?」
「ペッパー!此の偶像、1個につき『30万マーニ』で買い取るで!?めっちゃあくっちゃあレアや!!」
石造りで細かく作り込まれた偶像に、此程まで値段を付ける理由。コレクト要素をフルコンプリート、穴空きを全て充たすまで埋め尽くす、ゲーマーとして収集欲も持ち合わせるペッパーは、俄然其の理由が気になってしまった。
「えっと…参考までに、偶像ってレアな物でしょうか?」
「当たり前や!此の偶像は自然発生したゴーレム達が、此の世界に住まう命の記憶を読み取り、其の身体に産み出した小さな『図鑑』の様なもん!特に『七つの最強種』を模した
そうして突如始まった、ピーツによる偶像の価値講座。およそ一時間近く事細かに説明、及びゴーレムが偶像を産み出す確率や、どんな条件だとレア物が生成されるか等の、数学的領域にまで踏み込んだ話が始まって。
気難しい話に退屈したのか、アイトゥイルは酒を飲み始め、逆にペッパーはピーツの講座を真剣に聞きながら、時折彼に質問をしては頷いている様子だった。
「━━━━━━━………と、言う訳や!どうや!?理解出来たかいな!?」
フーフー…!と呼吸鼻息が荒々しいピーツが、ギラギラの視線でペッパーに問い掛け。
「…………はい、とっっっっっても勉強になりました!」
其れに負けず劣らずのキラッキラの瞳を持って、ペッパーはピーツに答えた。そして…━━━━━
「ピーツが話していた偶像の中に、イリステラ様に似た偶像が在るって言ってましたけど、もしかして『此の偶像』でしょうか?」
七つの最強種を模した偶像は出なかったが、最後の最後にレベルアップを決める為討伐した、マトリョーシカゴーレムことネスティングゴーレムがドロップした、『天願の偶像』をアイテムインベントリから取り出して、ピーツの前に置き。
そして其れを見たピーツは、文字通り目玉が飛び出してピョイーンと跳ね上がり、兎御殿の天井に頭をぶつけ。漫画やアニメで良く見る、ギャグテイストの巨大たんこぶを頭に作りながら、恐る恐るというか御尊顔を拝む様に、振るえながらも其れを手に取った。
「て、天願の……偶像………!?開拓者の間でも、超に超と超が付く……極レアの、偶像…………やん、けぇ……の…!!……ま、まさか………コレを直に、拝める、日が……くるっ………なんで………!」
感動のあまりボロボロと大粒の涙を溢しながら、ピーツは慎重に偶像を置いて、両手を合わせて祈りを捧げている。プレイヤーからも、NPCからも愛される慈愛の聖女イリステラ。偶像に成ったとしても、彼女の人気は絶大な様だ。
「………ペッパー。アンタの人柄を見込んで、頼みたい事が有るんや」
そんな時、大粒の涙を拭って鼻を擤みながら、ピーツは一際真剣な表情と眼差しをペッパーに向けながら言った。
「此の偶像……いや、天願の偶像を譲ってはくれんか?コイツは開拓者の中でも、極レベルのレア物………過去にオークションでは、此の偶像が『億越えのマーニ』を叩き出した事も有るんや」
「お…ッくぅ!?えっ、マジですか?!」
「時々街に『変装』しながら出て、色んな開拓者から話を聞いたから、先ず間違いないんよ」
確かビィラックは、ピーツとエムルは人化変化が出来ると聞いたが、街に繰り出してはアイテムを色々売買しているのだと言う。
「で、近々サードレマで『オークション』が開催される話が、開拓者の間で流れててな。今回は『目ぼしい品物』が出展されんらしくての」
「其所に天願の偶像を持ち込み、本日の一大目玉商品に!……と?」
「せや。天願の偶像が極レア物っちゅうのは話したが、此れを手に入れようとするのは、何も開拓者だけやない。大陸の富豪達もコイツを狙ってたりするからなぁ……。オークションともなれば、金額は鰻登り待った無しの、超ハイレベルの競り合いは間違いなしや。
ペッパー頼む……!『ワテ』を信じて、天願の偶像を出展させてくれんか!?」
今まで一人称が解らなかったピーツが、唯成らぬ想いと共にペッパーに頼み込んだ。彼は其の熱と想いを汲み取り、そして微笑みながら、ピーツの視線まで身を屈めて、右手を差し出しながら言った。
「報酬は売上の三割。ピーツさんがオークションで売り出した天願の偶像の落札価格から、主催者側に払う分を差し引いて、得られた利益から三割を御渡しする形でどうでしょうか?」
旅人のマントで隠し、リュカオーンの
「お、おぉっ!!解った、取引成立や!」
「よろしくお願い致します」
ガシッと右手で握手を交わし、ペッパーはピーツに天願の偶像を渡して。其の後にダブってしまった偶像を9個売却し、270万マーニを受け取って。
そして特技剪定所にて、選択可能となった『ソラスティワーク』と『ラッシュキック』の二種類を派生進化させて、此の日のシャンフロを終えたのであった……。
誰かに必要とされるなら