戦え、規定レベルに向けて
サードレマで行われるというオークションへ、天願の偶像を出展したいという、ピーツの願いを聞き届けてから早三日が経過した。
「胡椒争奪戦争……胡椒争奪戦争……。うげぇ」
初夏大型連休明けの大学講義の合間を縫い、ディープスローターが言っていた自分の捜索スレッド、胡椒争奪戦争をスマフォを使って調べていた梓は、苦い表情を浮かべていた。
「既に4スレ目に入ってるし……ジークヴルムさんの場面も拡散されてるし……」
自分がやらかした事が他のプレイヤーには情報の大洪水だったり、ペンシルゴンが自分を獲物宣言した上で誰にもアゲナイと宣言していたり、他の廃人プレイヤーも狙っていたりと、色々な情報が錯綜していた。
既に起こってしまった事は巻き戻しが出来ないので、梓は割り切りつつも、スマフォを仕舞いながら呟く。
「此方もゆったりしてられないんだよなぁ……」
此の日、梓に届いたのはブシカッツォから届いたEメールであり。どうやら彼はサンラクと自分よりも先に、ウェザエモンと戦える規定値のレベル50に到達したらしい。
そしてサンラクもサンラクで、レベリングに精を出しており、ブシカッツォの情報によると彼は現在レベル44。深夜までゲームをする事も有り、大型連休中も含めて時間を費やした結果、急激なレベルアップに至ったのだとか。
「やっぱり効率を考えるなら、ライブスタイド・レイクサーペントやデストロブスターだな。後はエンカウント率……乱数に嫌われないように、今から祈っておくしかないな……」
天に祈りを捧げ、梓は講義へ舞い戻る。オイカッツォに追い付くため、ユニークシナリオを越えてウェザエモンに挑む為に………。
午前中に講義を終えて、午後にコンビニのバイトを行い、スーパーの特売品の争奪戦で揉みくちゃにされた後、午後6時に帰宅した梓は早速、夕食を作りに取り掛かる。本日の献立は残っていた白米に、葱と油揚げの味噌汁、
其れを一人で食して、トイレとシャワーを浴びて、何時もの様に布団を敷き、機材の確認と水分補給用の水を近くに置いて、梓はペッパーとしてシャンフロの世界へとログインする。
「ペッパーはん、こんばんわなのさ」
「アイトゥイル、こんばんわ。早速だけどビィラックさんの所に行くよ」
「修繕に出した武器を取りに行くのさね」
コクリと頷き、ペッパーはアイトゥイルと共にビィラックの鍛冶場に向かって移動していく。
「おぉ!流石ビィラック、スッゴい武器と頭装備だぜェ!」
「サンラクさん、とってもお似合いですわ!」
「ふふん、当然じゃ。良い素材を使ったなら、良い武器と防具を作る。わち等鍛冶師の、当たり前の使命じゃけ」
と、鍛冶場からサンラクとエムル、そしてビィラックの声が聞こえてきて、ペッパーとアイトゥイルが顔を出すと、其所には四角の黒兜を頭に被り、両手にはザリガニの鋏を思わせるフィストグローブを着け、腰には鏡面の様な鱗で作っただろう腰当てを装備したサンラクが、エムルの拍手にビィラックのドヤ顔を受けている。
「よ、サンラク。其の両手の籠手はライブスタイド・デストロブスターの前鋏を使って、頭兜はクアッドビートルから作ったのか?」
「お、ペッパー。オイカッツォと地底湖でレベリングしてたら、変なウィザードが出てきたり、バカでっけぇザリガニが釣れたり、めっちゃ大変だったわ。まぁ其の分、新武器に頭と腰装備が作れて、戦力アップだ」
シュッシュッとシャドーボクシングをするように、サンラクは新しい装備を見せ付けてくる。地底湖から出て来たウィザードとやらも気にはなるが、其れは今の時点で置いておく事にしたペッパーは、ビィラックに話し掛ける。
「ビィラックさん、修繕を依頼してた武器達を取りに来ました」
「おぅ、ペッパー。きっちり直し終わったけぇ」
「ほれっ」と金床の上に乗せていく武器の数々に、サンラクも少し驚いている様だ。
「ありがとうございます、ビィラックさん。其れと三つの小鎚達の耐久値を回復させたいので、依頼しても良いでしょうか?」
「よし、出してみぃ」
手招きするビィラックに、ペッパーはアイテムインベントリからギルフィード・ヴァンラッシュ・ライダメイズの、マッドネスブレイカー成長派生形態三種を取り出して、彼女の前に置いた。
「ペッパー、其の小鎚は何だ?」
「何れも色が全然違いますわ…」
「おぉ……!コレが…!」
サンラクとエムルも、此の小鎚に関して気になる様子だ。ペンシルゴンが自分に、ユニーク小鎚の事は話しても良いと言っていたのを思い出しつつ、ペッパーはサンラクに説明を行った。
「コレ?左から順番にギルフィードブレイカー・ヴァンラッシュブレイカー・ライダメイズブレイカーって言う、小鎚のユニーク武器。元々マッドネスブレイカーっていう武器が有ったんだが、其れに異なる鉱物アイテムを使って育成すると、此の三つに派生して成長するんだってさ」
「何処ぞのイー◯イかよ…。けどスゲェな、コレってどうやって作れるんだ?」
「四苦八苦の沼荒野で採掘出来る、鉱石を使えば準備は出来る。但し此の秘伝書を見せないと、製作する事は出来ない代物なんだ」
そう言いながら、ペッパーはロックオンブレイカーの製造秘伝書を取り出して、ビィラックに見せる。
「成程成程…!また面白い加工技術じゃのぅ、人間の鍛冶師が作る武器は、目の着け所が異なるけぇ…!」
「ビィラック、俺にも見せてくれ。……必要数は、フムフム……よし、エムル!セカンディルに行くぞ!」
「レベリングの予定はどーしたんですわ!?」
「ユニーク小鎚作ってからでもギリギリ行ける!」
言うが早いか、エムルを連れてサンラクは慌ただしく去って行き、ペッパーとアイトゥイルもレベリングに向けて動き始めたのだった………。
サードレマの下町エリアに在る、プレイヤーが使用可能で自身のアイテムを預けられる倉庫へ、去栄の残骸遺道にて入手した偶像達を預けたペッパーは、アイトゥイルと共にサードレマの裏路地とスキルを巧みに利用し、街を脱出して神代の鐵遺跡に到着。
ペンシルゴンが示したルートを通り抜け、涙光の地底湖に辿り着くや、レベルアップで手に入っていたポイントを幸運に全部振り込み、フィッシングを開始した。しかしペッパーが、サーペントやデストロブスターを望めば望む程、サーモンばかりが釣れていく。
物欲センサー……乱数の女神の琴線に触れた場合に発揮される其れは、ガチャで最高レアのキャラクターや武器が引けなかったりした場合、原因となるゲーマー達がプレイする上で少なからず抱える、大問題なのである。
此のままではいけないと、ペッパーは悪い流れを断ち切るべく、一度涙光の地底湖から脱出し、サプレスドローンを相手にパリィをしたり、全力キックで蹴り飛ばしたり、地面に叩き付けて紅葉卸しにしながら、己の心を落ち着かせた。
彼は物欲を、雑念を祓い、地底湖に舞い戻ってフィッシングを再開。変わらず釣り上げられるサーモン、そして時折サーペント、極稀にデストロブスターと出逢い、戦って戦って戦い続ける。
どんなに時間が掛かっても良い、自分が持っているスキルを徹底的に磨け。一戦一戦を大事にして、始めた頃の様にあらゆる方法を試せ。自分の身体に僅かな切り傷を作ってみたり、超至近距離で一撃の被弾で即死するギリギリの戦いを、アイトゥイルと共闘しながら、ペッパーはレベルを上げ続け、己を強くしていった。
そして、時刻が午後10時を回る頃。遂に其の時は訪れた。
「だああああああ!!」
「はああああああ!!」
ライブスタイド・デストロブスターの顎を、バフと攻撃スキルを盛りに盛り込んだ、
「アイトゥイル、お疲れ様。レベリングに付き合ってくれて、本当にありがとう」
「ペッパーはん、本当によく頑張ったのさ。此れでいけるのさ?」
「あぁ。此所まで来れば、後は『実戦訓練』で最終調整を行うだけだ」
ユニークシナリオ・兎の国の招待。ユニークモンスター・墓守のウェザエモンへと挑む為の通過儀礼となる、実戦訓練に向けての修練は此所に整い。ペッパーは己の拳を力強く握り締め、高く突き上げたのであった……。
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PN:ペッパー
レベル:48
メイン
サブ
体力 25 魔力 10
スタミナ 90
筋力 100 敏捷 100
器用 70 技量 70
耐久力 61 幸運 50
残りポイント:36
装備
左:ヴァンラッシュブレイカー
右:リュカオーンの
両脚:無し
頭:蒼零のヴォージュハット(耐久力+13)
胴:ブラッディスカーの長ラン(耐久力+18)
腰:ブラッディスカーのベルト(耐久力+12)
脚:蒼零のスートズボン(耐久力+15)
アクセサリー
・鎖帷子(耐久力+10)
・旅人のマント(耐久力+2)
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所持金:8,347,000マーニ
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致命極技
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致命武技
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スキル
・デッドリースラッシュ
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・パウリングプロテクト→セツナノミキリ
・ブーメランスロー→スワロスキースロー
・グロリアス・ストラータ レベル4→レベル8
・ペガサロスワーク
・グラナートストライク
・バルバドスインパクト
・ウルティモアス レベル5→レベル7
・アンブレイカブルソウル
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・
・ドリフトステップ→選択可能
・ストリームアタック→
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・ボルテックスムーヴ→
・アクタスダッシュ レベル9→レベルMAX
・ステックピース レベル7→レベルMAX
・握擊 レベル8→レベルMAX
・投擲 レベル7→レベルMAX
・プレジデントホッパー
・スカイウォーカー
・ソウルジェネレート
・クロスインパクター
・ファイズフリップ→シクセットフリップ
・ナタラージャ レベル2→レベル6
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・イモータルヴァーツ
・ブレイク・セリオン
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・チェインズアップ レベル5→レベルMAX
・チェインズブート レベル4→レベル9
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・ベラスティ・ニー
・ジェスター・タロス
・ハンズ・グローリー レベル3→レベル8
・パワースラッシュ レベル5→レベル8
・ナックルラッシュ→選択可能
・ブランシュ・クロッサー レベル4→レベル8
・ライオット・スート→レコメンド・スート
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・クロスインディクション→アイズオブセスティ
・デュエルイズム→
・バーストダッシャー レベル2→レベル6
・セルタレイト・ケルネイアー
・
・ハードスマッシュ レベル3→レベル6
・
・ファイティングスピリッツ レベル2→レベル6
・ナイフズタクト レベル1→レベル4
・フェイローオブスロー レベル2→レベル4
・スクーピアス→スパイラルエッジ
・ドロッパーストンプ レベル4→レベル7
・ハイランナー レベル3→レベル7
・セルタレイト・ヴァラエーナ
・ダースティ・クラッチ レベル1→レベル5
・トーテン・タンツ
・ヴィールシャーレ レベル1
・ゲニウス・チャージャー レベル1
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準備は此所に整った
サンラクの新装備紹介
デスタイト・フィスト:両手装備の小型籠手。ライブスタイド・デストロブスターの中でも、取分強靭な前鋏を用いて作られた其れは、堅き一撃を以て阻む敵を撲り砕く。
装備条件:筋力25 器用25 技量30
攻撃及びパリィ時、敵に3%の追加ダメージを与える。
装備者の心拍数が一定以上の場合、自身が受けるダメージを減らす。
命湖鱗の腰当て:腰装備。ライブスタイド・レイクサーペントの鱗を使用した腰当てで、其の身に命を喰らいし者の力が宿された其れは、纏う者に水に生きる者の力を食らって、其の力をより高める力を宿す。
耐久値+200
魚系統の回復アイテムを使用時、回復が確定となり、体力・MP回復量が2倍となる。