致命極技を習得せよ
ウェザエモン戦に備え、アーサー・ペンシルゴン・サンラク・オイカッツォ・
戦いに備えて、各々が武器防具の育成やアイテムといった物質の調達。サンラクと兎御殿で出逢えるペッパーは、彼との連絡用にEメールアドレスを交換したり、エフュールのドールキーホルダーの能力確認をしたりと、来るユニークモンスターとの一戦に向け、成すべき事を成し続けている。
「よっしゃ!今日も今日とて、シャンフロ頑張りましょうか!」
「ペッパーはん、来たのさね」
兎御殿の休憩室にて覚醒したペッパーは、身体を伸ばして起き上がると、自分の近くに付き兎たるアイトゥイルが居た。そんな彼女は現在、目をキラキラと光らせており、素晴らしいと思える上機嫌の表情をしていた。
「やぁ、アイトゥイル。どうしたの?」
「ペッパーはん、ペッパーはん。ピーツが『ペッパーはんが来たら、ワテん所に連れて来てくれって』言ってたのさ。何でも『天願の偶像』のオークションが完了したらしくて、其の売上金を渡したいのさ」
以前
ピーツが頼み込み、オークションで落札価格から諸々引いた三割を報酬として、彼に支払うと約束したイベントの結果が解るようだ。こうしてはいられないと、ペッパーはアイトゥイルと共にピーツの元へと向かった。
「ペッパー!天願の偶像をオークションに出したら、想像以上の盛り上がりになっとったけぇ!大陸中から金持ちの開拓者に大富豪達が挙って訪れ、今までにない熱狂やったわ!」
ペッパーとアイトゥイルが、兎御殿内に在るピーツの露店を訪ねるや、開口一番スーパーハイテンションになった彼が、耳をピコピコ目をキラキラと輝かせながらに言ってきた。
やはり聖女の偶像ともなれば、其の情報はたちまち拡散して、求める者達がオークションに集うのは当然と言えば当然で。
しかしペッパーが、自身も予想だにしなかった展開は此処からだった。
「ペッパー。今回のオークション……天願の偶像の『最終落札価格』は……!なんと………なんと………なんと………!!!!」
10億マーニで、ジョゼットっちゅうネーちゃんが、競り落として行きおったんや!
クラン:聖盾輝士団━━━━通称:聖女ちゃん親衛隊のクランリーダーが、落札者になったとペッパーは目を丸くした。イリステラにプレゼントする為か、其れとも自分自身で愛でる為か、用途は解りはしない。
「……でや!今回のオークションの主催者側に諸々支払った結果、残ったのが『9億マーニ』でな?其所からペッパーが言及した報酬分の三割を差し引いて………」
そう言ったピーツがペッパーとアイトゥイルの目の前に、マーニが入った巨大な袋をドスン!と置いた。
「ペッパーの取り分は『6億3000万マーニ』や!まさに偶像ビッグドリーム!一攫千金ならぬ一攫億金やぁ!」
偶像一つで億越えの金を手にしたペッパーは、目眩を覚えながらも大金入りの袋を受け取り。落ち着きを取り戻す為に、暫しログアウトをするのだった……。
「6億3千2百30万マーニかぁ……」
現実世界で落ち着きと心の整理を終え、シャンフロに戻ってきたペッパー。サーモンから始まり、蜂蜜へと続き、偶像で手に入れた、とんでもない金額のマーニが表示されたステータス画面を見て、彼は大きな溜息を溢す。
「ペッパーはんペッパーはん、大金手に入れた訳やけど、此れからどうするのさ?」
「マーニは幾ら有っても良いからね。使う時はドカンと使うさ。其れよりアイトゥイル、エイドルトにゲートを繋いでくれ。其れから、一時間経ったら同じ場所に迎えに来て欲しい」
「ワイはお留守番なのさ?」
「ごめんな……。でも、エルクさんから買った『あの技』を習得するには、単独で対象モンスターを討伐しないといけないから」
レベル50に成った事により、購入してから習得条件が開示されず、半ば置物状態だったスキル『
「解ったのさ、気を付けてなのさ」
「ありがとう、行ってきます」
自身のアクセサリーに此迄セットしていた鎖帷子を外し、新たに
其所からペッパーは裏路地を駆使しながら、先にエンハンス商会・エイドルト本社に飛び込み、アイテムを購入。そして加速や移動スキルを使い、去栄の残骸遺道へ突っ走って行ったのであった………。
サードレマにて装備と武器を整えた開拓者達は、千紫万紅の樹海窟・栄古斉衰の死火口湖・神代の鐵遺跡の三つのルートへと分かれ、各々がフォスフォシエ・ファイヴァル・シクセンベルトの街に行き、最終的にフィフティシアへと向かう。
其の中でもフォスフォシエを通り、エイドルトを経由。イレベンタルを通って、フィフティシアへと向かうルートは、他のルートよりも人気が高く、選ぶプレイヤーも多いのだとか。其の理由の一つが、
「真っ直ぐ一直線に行けるって、RTA勢にすれば是非とも選びたい選択肢でも有るからなぁ……。まぁ、俺の目的はエリア攻略以上に『エリアボス』なんだけども」
エルクは言っていた。致命極技の習得には『自身よりもステータスが、何倍以上も離れた相手との戦い』を、必要不可欠としている事を。
ペッパーは調べた中に、自身よりも何倍も優れたステータスに加え、自身が現時点で行けるエリアの中で条件を満たすモンスターが、一体だけ存在している事を知った。
「……っと、そろそろ目的地だな」
去栄の残骸遺道を駆け抜け、ペッパーが辿り着いたのは、不自然に開けた巨大な円状のフィールド。其の中心地点には『巨大なガラクタと瓦礫の山』がポツンと一つ、余りにも不自然に鎮座していた。
遠目で見たが、其れでも『およそ八階建てのビル』に匹敵する高さの残骸の山で。そして其れは、音を建てながら動き出す。のっそりと、ゆっくりと。しかしながら力強く、其の身を立ち上がらせながら、天を突くかの如き巨体を、テリトリーに侵入してきた者の前へと晒す。
エリアボス『オーバードレス・ゴーレム』。特徴として、ガラクタや瓦礫といった様々な物質が全身に纏わり付いた、強靭かつ天然の鎧によって『ランダムに特性が変更される』。つまり、常に『有効な攻撃手段』の変更を余儀無くされ、巨体も相まって倒すのは困難を極めて
しかし、とあるプレイヤーによって発見された
「今回俺が来たのは、お前さんを『刀武器で攻略する』事。ポップした時には必ず、『二本の支柱に支えられたホイール』が現れる。そして其の真下に、お前さんの『核』が存在しているのは調査済みだ」
此処数日の鉱石採掘を行い、自分が持っている武器を強化していたペッパー。其の内の一つであり、彼が新しい戦い方を模索せんと購入した『
掘り出した鉱石達を用い、名匠ビィラックの手により育成を受けた結果、其の段階を改九にまで到らしめた事で、元々刀武器としては其れなりの耐久力を誇っていた黒刀は、更に強靭で剛強な耐久力を獲得した。
「タイムアタックはしない。確実に致命極技を習得する為に、お前さんを倒させて貰うぞ!オーバードレス・ゴーレム!」
鞘より抜かれた黒の刀身が光った瞬間を合図とし、オーバードレス・ゴーレムが身体に纏った瓦礫を、無数のクレーンを使い放り投げる。
超巨大な敵と小さな開拓者ペッパーの、致命極技習得を賭けた戦いが始まった。
立ち塞がるは、超巨大モンスター