其の頃、鳥頭は
ペッパーがエンハンス商会・エイドルト本社にて、再誕の涙珠を購入し、一度兎御殿に帰還した午後7時。一人の戦士が、ベッドにて顕現する。
「………カフェインの効き時間と、アバターの空腹度合いも良い感じだ。スキルの合成、武器改修もやるだけやれた。後は俺のプレイヤースキルが鍵………か」
兎御殿の休憩室にて
決戦時に凡ミスをやらかさない為にも、サンラクは最終確認を兼ねた、ステータスチェックを行う。
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PN:サンラク
レベル:52
メイン
サブ
体力 30 魔力 10
スタミナ 100
筋力 60 敏捷 100
器用 70 技量 70
耐久力 203 幸運 109
残りポイント:24
装備
左:無し
右:無し
両脚:リュカオーンの
頭:
胴:リュカオーンの
腰:
脚:リュカオーンの
アクセサリー
・ダイナボアドール(スタミナ回復時間短縮:小)
・
・無し
830マーニ
致命武技
・
・
・
スキル
・
・グローイング・ピアス
・インファイト レベル8
・ドリフトステップ
・セツナノミキリ
・ハンド・オブ・フォーチュン レベル8
・グレイトオブクライム
・クライマックス・ブースト レベル8
・ランブルスタンパー
・チェイニング・プレス
・モーメントアリアス
・カルネイドバンカー
・八艘跳び
・リコシェット・ステップ レベル7
・ヘイト・トランプル レベル1
・ムーンジャンパー
・ストロングプレス レベル1
・
・オフロード レベル5
・イプロッションスライサー レベル8
・サンダーターン
・
・チェインズブート レベル5
・デュエルイズム
・
・メルニッション・ダッシュ レベル3
・
・アミュールディルレイト
・ブートアタック
・ブレスドラウム レベル5
・バッツクローシス レベル1
・オーバーヒート レベル1
・ニトロゲイン レベル6
・イグニッション レベル1
・マグナマイトギア レベル1
・ゲイルサベージ
・ファスティウム・ブロッション
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スキルの合成によって新たにストロングプレスにヘイト・トランプル、及び
武器の強化も現状行ける限界点まで行い、此の決戦の為にカッツォが奨めたエナドリも飲んできた。体調も此の日を想定して調節も入れて、サンラクは準備万端である。
「あ、サンラクさん!こんばんわですわ!今日がウェザエモンとの決戦なのですわね!」
スキルの確認をしていると、エムルがやって来てサンラクに声を掛けてくる。
「お、エムル。そうだけど、どーした?もしかして応援してくれるんか?」
「はいな!私やアイトゥイルおねーちゃんは、一緒には行けないですけど……サンラクさんの無事を願って、コレを貸してあげるですわ!」
そうしてエムルが取り出したのは、赤い正方形状のキューブに紐を通したネックレスであり、其の中には不思議な光が溢れていた。
「ネックレスか?」
「はいな!おとーちゃんが昔、御土産として持って帰って来てくれたのを、ネックレスにしてくれたんですわ!アタシの宝物で御守りなんですわ!」
エムルがぴょんぴょこ跳ねて、自慢気に説明してきた。余程の物かと、サンラクは早速ネックレスの性能をチェックする。
識別片のネックレス
其れは残滓であり、残骸であり、断片であり、欠片である。
それが誰を証明するもので、どこで用いられたものかを知ることはできない。
だが嘗ての其れは、確かにある人物の存在を証明するものであった。
「装備時の効果は無しか……。だが、エムルが言う御守りだ。コレがありゃあ、絶対に負けねぇよ。サードレマへのゲートを頼むぜ」
「はいな!頑張って下さいですわ!」
「おう、サンラク。今日此れから行くんだな」
識別片のネックレスを、サンラクが空いたスロットに装備した直後。エムルの後ろに何時の間にか、ヴァイスアッシュが立っていた。
「ぷょぴぃ!?オカシラ!?」
「ヴァッシュの兄貴!………はい、今夜です!行って来やす!」
「良い面構えだ。サンラク………ヴォーパル魂を、忘れるんじゃねぇぞ」
「ウッス!」
背中を見せて去り行くヴァイスアッシュへ、一礼したサンラクはエムルを肩に乗せて走り出し。途中で戻って来ていた、ペッパー&アイトゥイルと合流する。
二羽の兎達に見送られ、二人はサードレマの裏路地より千紫万紅の樹海窟を目指して走り出した。途中で同じように裏路地を利用していた、オイカッツォとも合流した事で、三人になったゲーマー達はゲートを越えて、千紫万紅の樹海窟のエリアへと足を踏み入れたのであった……。
「やぁやぁ、ペッパー君。サンラク君。オイカッツォ君。ちゃんと撒いてきたみたいだね」
「集合時間15分前に来たね、三人共」
午後7時45分、千紫万紅の樹海窟・秘匿の花園。先に到着していたペンシルゴンと
「オッス、ペンシルゴン。スキルやらの最終調整しててな、おかげで準備万端だぜ」
「俺も何時でも行けるよ、ペンシルゴン」
「いよいよだな」
三人共に、自信と闘志が漲っている。一発限りの大勝負、此の戦いにペンシルゴンはシャンフロでの、己の全てを賭けて挑むべく、四人に『アイテム』をギフトとして渡していく。
「何じゃこりゃ?アイテム?」
「此れは『再誕の涙珠』と『生命の神薬』っていう、リスポーンアイテム。私が集めた涙珠は18個で神薬は25個、合計43個の残機でウェザエモンを倒すよ」
「そんなアイテム在るんだ……因みに1個おいくら?」
「涙珠は400万マーニ、神薬は250万マーニ」
「うっへぇ……億越えてて笑えねぇ……」
蘇生アイテムを持ち込み、戦わなくてはならない相手……其れがユニークモンスター・墓守のウェザエモン。43機だけで本当に倒しきれるのか……?皆の実力をよく知っているからこそ、ペンシルゴンには一抹の不安として残っていた。
「ペンシルゴン、残機数を訂正してくれ」
そう言ってペッパーがアイテムインベントリから、エンハンス商会で購入した再誕の涙珠を22個取り出し、彼女にギフトとして贈った。
「エンハンス商会で再誕の涙珠を22個買っておいた。総残機数は43改めて65、此れだけありゃあイケるんじゃないか?ペンシルゴン」
およそ1億マーニに迫る大金を、どうやって掻き集めたのか。何を仕出かしたら、そんな大金を手にしたのか。四人には全く解らなかった。が、此の状況では非常に有難いのは事実であり。
「……ペッパー君、どうやってそんな大金を産出したのかは、後で『オハナシ』で吐いて貰うとして。此のギリギリのタイミングで、最ッ高のファインプレーをしてくれた訳だ…!」
ニッと笑うペッパーに、ペンシルゴンも笑い返して。受け取った再誕の涙珠を五人に振り分け、ペッパーには『瓶に入った神々しい液体』も付けて、一人当たり涙珠8個と神薬5個と、合計13個の残機を手にする事と成る。そしてペンシルゴンが四人にパーティー申請を送り、五人パーティーを組んだ。
「なぁ、ペンシルゴン。今日はセツナは居ないんだな」
大きな枯れ木の根元を見て、サンラクがペンシルゴンに問い掛けた。
「うん……セッちゃんは満月の光が無いと、其の姿は見えないんだって」
そう言ったペンシルゴンは、枯れ木に手を翳すと目の前の空間に、黒い『歪み』が生まれていき、軈て人一人が通れる『綻び』が出来上がった。
「セッちゃん……いいえ、セツナ。貴女の願い、私達が叶えてあげる。皆、行くよ………!」
「「「「応ッ!!!!」」」」
京極が、オイカッツォが。サンラクが、ペッパーが。綻びを潜り抜けて、内側へと消えて行き。最後にペンシルゴンは枯れ木を見上げ、そして微笑みながら呟いた。
「……貴女との約束、必ず果たすよ」
言い残したペンシルゴンは、綻びの中へ飛び込んで。黒い綻びは歪みと変わり、歪みは軈て正常へと戻って行く。誰も居なくなった花園に、残された枯れ木の根元、其所には『見えない筈だった』セツナの気配が在るだけであった。
そして、世界は
嘗て一人の男が居た。
男は愛した女に、気の迷いから小さな嘘を付いた。其の嘘で愛した女は死んでしまい、男は彼女の墓を守ると決意する。何千……何百……何十……何年だろうと、必ず守ると永劫の誓いを立てた男は、其の身を機械の鎧に変えた。
全身を覆いし、肌身は愚か顔すらも覆い尽くした白と黒の機械の装甲を纏い。座る姿は斬首を待つ、咎人の様な悲哀を含み。然れども其の身より放つ威圧は、幾千幾億の修羅場を越えし、歴戦の戦人の其れであって。
右置き外向けに置いた刀は、利き手では直ぐに抜けぬ、礼儀と礼節を重んじ。然れども外向けの刃が示すは、己の敵の全てを斬滅するとの決意。
日本の武士甲冑に似たパワードスーツを纏った男は、満開の桜の木の下で愛した女の墓を守る。其れが己の誓いであり、己の決意であり、彼女への贖罪であるが故に。
開拓者達よ、前人未到の偉業を成せ。
最強種を越えていけ