生き残れ、勝利の為に
「うおおぉ!?」
「な、何だぁ!?」
「何これ!?」
ウェザエモンとの戦いを続けているペッパー・サンラク・
各々のステータスを表示する画面には、ペッパーにはスタミナ・敏捷・筋力に、サンラクにはスタミナ・敏捷・幸運に、京極には筋力・敏捷・技量のステータスにポイントが追加されており。此の急激な能力上昇はペンシルゴンが、此の戦いが始まった時より弄っていた、黄金の天秤がもたらした物であると気付いた。
「ペンシルゴンか…!レベル強制下のステアップは地味に効くぞ!」
「ってか、相変わらずウェザエモンが止まらねぇ…!」
「もー!どうするの、本当に!」
ステータスアップにより、ペッパーがウェザエモンに捕まる可能性はぐっと減ったものの、状況は以前ウェザエモンがペッパーを追い掛ける状況が続く。
が、此処でウェザエモンが突きを放って、ペッパーの膝を刺そうとしたモーションと、断風の射程距離を体感したサンラクが『打破の一手』を閃いた。
「ペッパー!Uターンして此方に来い!」
「サンラク!?何か妙案閃いた!?」
「おぅ!其のまま来い!断風のモーションを
「……心得た!」
一定のリズムで空中を踏むと、最大で『十段ジャンプ』が出来る『ホップスウイング』と共に、ありったけの力で跳躍し、同時にペッパーは自身のスキルを惜し気も無く起動する。
地上だけでなく空中でもダッシュ可能となる『
ウェザエモンの頭上を越えて、空中を駆けて二人の方へ走ったペッパーが、サンラクのオーダーに応えるべく、3mギリギリ手前で着地。断風ワンアクションで届く危険な距離に、己の身を置く。
「さぁ、ウェザエモン。断風一刀で仕留められる距離だぜ?」
挑発的な視線をウェザエモンに送るペッパーの背後より、サンラクはニトロゲインのバフを積んで仕掛ける。
『
「ハンド・オブ・フォーチュン!」
更に高まった幸運を参照する格闘スキルが、ウェザエモンの断風を繰り出す前の、抜刀居合時の弛緩に細い針へ糸を通す如く、ピンポイントで叩き据えられ、大太刀を彼方後方へ大きく吹き飛ばす。
「ハッハッハー!刀が無い武士等、肉が無い牛丼と同じ!漬物持って出直して来やがれ!」
「其所は梅干しで良くない?あと味噌汁も付けようよサンラク」
「いや、朝食のおかず会議してる場合じゃないんだが二人共!?」
ペッパーの呼び掛けに、京極が一人駆け出して。遠くに吹っ飛ばされたウェザエモンの大太刀を、猛ダッシュで拾い上げて回収する。
「コレがウェザエモンの太刀ね。流石にインベントリには入らないか……」
大太刀の刃先を見ていた京極だったが、ウェザエモンの視線がペッパーから、大太刀を回収した京極に移ったのをサンラク・ペッパーが共に気付く。
「京ティメット逃げろ!!」
ウェザエモンとペッパーが駆け出したのは、ほぼ同時であり。ウェザエモンが右手を翳して『
「おい、ウェザエモン!俺は此処だぁ!」
ペッパーの両脚に装備されたレディアント・ソルレイア。其の膝部分に取り付けられた、ドリルバンデージが高速回転を行い、膝蹴りスキルの『ベラスティ・ニー』による左膝蹴りが、ウェザエモンの左脇腹に突き立てられる。
だがしかし。
「ッ……此れでも駄目か!」
墓守のウェザエモンにダメージは入らず。そして其の視線はペッパーへと向けられて。
『
「ぐあっ!?」
首を掴まれ、視界が回転と同時に暗転。何が起きたのか解らない中、サンラクが見たのは『ウェザエモンが左手でペッパーの首を掴まえ。頭から地面に叩き付けられた、彼の首が160度折れ曲がって死亡した光景』であり。
同時に再誕の涙珠をペッパーにぶつけつつ、京極に指示を出した。
「京ティメット!ウェザエモンに刀を返してやれ!刀を持ってるモーションの方が、まだ対処しやすい!」
「其れは同感だ……よっと!」
ペッパーが狙われないよう、位置を意識して刀をぶん投げた京極。視線が外れた瞬間にペッパーは意識を覚醒させ、直ぐに距離を離す。
「スマン、助かった!」
「寧ろ此処で1デスなんだから、よく生き残ってた方だわペッパー」
「さぁて、また面倒な鬼ごっこだね……。あの斬撃のリーチからしても、至近距離での戦闘は精神力と集中力を、どちらも凄まじく磨り減らしてくる」
刀を拾い上げ、再び三人の方へ向くウェザエモン。自分達にヘイトが行くならまだ良いが、一式装備を纏えるペッパーが狙われている以上、そうはいかないのだ。
「……サンラク、京極。ちょっと思い付いた事がある。上手く行けば、多大な時間稼ぎと蘇生アイテムを減らさずに戦える━━━━かもしれない」
そんな中、打開策を思い付いたペッパーがニヤリと笑ったのだった。
此の
天秤のバフによって、体力・耐久・筋力への追加ステータスを獲得したオイカッツォは、ペンシルゴンによる三度目の涙珠蘇生から、思考とロジックを構築していた。
ロープは未だ有れども、振り回される遠心力で千切れてしまう。かといって、中途半端に巻けば振りほどかれてからの、前足スタンプで即死確定。
(キャバリー・クライシスでも、此の手のタイプの馬は居たけどさぁ………跳ね回る戦車じゃん。馬の形したダンプカーじゃないじゃん)
嫌な脂汗が額に滲むも、オイカッツォは麒麟のミサイルとレーザーの合間を縫って、麒麟の後ろ足に走り込む。
「まぁ…シャンフロが『世界観や背景』から、攻略法を推理するゲームなので、巨大なロボットが『現地整備の必要性を重視』しているのは、当然な訳だ……と!」
両後ろ足に取り付けられた『鉄製の梯』を駆け上がり、オイカッツォは四度目となる、麒麟の登頂に成功。しかし問題は此処からであり、暴れ狂う麒麟にどうにかして張り付かなくては、振り落としモーションを誘発出来ない。
(問題は此処から。強化された筋力でも、此の暴れ馬をロープだけで止めるのは、正直本当にキツイ。せめて『張り付いて』動きを封じ……………張り付く?)
其の時、オイカッツォに電流走る。同時に其れは天啓となって、彼に答えを導き出させた。
「………良い事、閃いた……!」
戦闘開始から、16分が過ぎようとしている。
状況打破への閃き