戦況が変わる
が、使用すれば色調反転や五感の鈍重化を始めとした、様々な副作用を被る事となり。そして此のアイテムの真髄たるデメリットは、30秒経過毎に『使用者のレベルが1つずつ減少して、最終的にレベル30ダウン』と言う、必死にレベリングをしてきたメンタルにダイレクトアタックを決め、此のアイテムを産み出した開発者の性根の歪み具合が犇々と感じられる物。
しかし、此のデメリットを逆にメリットとして捉え、再度レベルアップによるステータスポイントの獲得、及びスキルレベルと魔法レベルアップの育成の為に用いる、ガチ勢や廃人プレイヤーは多数存在しており、喪われる虚無感を振り払い、唇を噛み潰し、血涙を溢して行った
「あぁ~!また
『嗚呼、御痛ワシヤ。オイカッツォ』
「天王ちゃん、同情する暇が有るなら甲冑麒麟に肉薄して、後ろ足蹴り上げブチ込んで!」
『了解』
「あ、因みに私は天秤ちゃんの残りのポイントで、ステータスアップ……っと!」
「ひっでぇ!やりやがった!鬼!悪魔!外道!ペンシルゴン!」
ミサイルを潜り抜け、ビーム砲撃を回避し。レベルダウンのSEの音と、ペンシルゴンの横暴にオイカッツォが怒りで吠えた。
拳気【
「ステータスアップしたんだから、ちゃんと働いてくれよペンシルゴン!」
「ナイス怯みだカッツォ君!其の膝苛め潰してあげるよ!」
『麒麟ヨ、御相手ツカマツル!』
オイカッツォに続き、天王が蹄を鳴らして接近。怯みモーションが強化されたデュアルインパクトで、立ち上がりに時間が掛かる甲冑麒麟に、ペンシルゴンが追撃の『
だが、甲冑麒麟の右手がガチガチと動くや、ペンシルゴンに掌が翳され。内側にて蓄積されていたビームが、彼女を飲み込まんと発射されそうに成る。
「あ、ヤバ……!」
『ペンシルゴン!』
天王が麒麟の右腕を己の巨駆で下から押し上げ、ビーム砲撃の方向を寸でのタイミングで変更。彼女を飲み込む光は、空へと放たれ消えていく。
「ッ…ありがと、天王ちゃん!」
『サポートガ目的故、此レクライハ当然カト』
「やっぱり腰の装甲だね。彼処は一際硬いけど、其れくらいガチガチに固めたって事は、確実に『何か』在るよ」
「弱点の可能性大って訳ね………」とペンシルゴンは呟き、二人と一頭は麒麟から距離を取りながら、彼女は指示を出す。
「カッツォ君、あとロープは何本持ってる?」
「残り四本。ただアイツの巨体を止めるには、本数が心許ないってのがね」
「あと四本か、OK解った。天王ちゃん、君には遠距離武装か何かはない?」
『私ハ試作型故、遠距離武装ハ有リマセン。ガ、マグマノ熱ニモ耐エ抜ケルダケノ強靭ナ装甲ト、麒麟ニモ負ケヌ高イ馬力ガ、私ノ持チ味デス』
「わぁお、シンプルisベスト。……でもお陰で、即興とは言え『甲冑麒麟轟沈作戦』が整った。ウェザエモンと戦ってる三人に被害を出す前に決めちゃいたいし、手短に説明するよ」
甲冑麒麟がズシン……ズシン……と地面を鳴らし、一歩また一歩と二人と一頭に近付く中、ペンシルゴンは簡潔かつ端的に説明を行う。
「━━━━━━━って感じなんだけど、行けるかい?天王ちゃん、カッツォ君」
『心得タ』
「腹砕きは頼んだよ、ペンシルゴン!」
「じゃあ、始めよう!」
ペンシルゴンが先行し、天王はオイカッツォを跨がらせ、反転の花園を走り出した。
「はいはい、麒麟ちゃん!おねーさんと遊ぼーぜー?」
挑発的に槍の穂先で膝関節を突っ付き、注意を引き付ける。振り翳される甲冑麒麟の鉄拳、然れど其の巨腕を繋ぐ細い二の腕と細腿に当たる箇所、即ち四肢の全てをロープで縛り付けた。
「さっきまでとは、全ッ然違うでしょ。ありったけのバフスキルに、残ったロープと天王の綱引きだ!気合入れてけ、天王!」
『了解、オイカッツォ!』
拳気【赤衝】を始め、筋力上昇スキル『ハイストレングス』に、四肢の筋力と耐久を向上させる『
「ペンシルゴン!天王と自前のバフが有るとは言え、ロープはあんまり長くは持たないよ!」
「上等!切札の雷槍の前に、巨人殺しで腹を砕かせて貰うよ!」
武器や蘇生アイテムを除き、殆どのアイテムが天秤によって捧げて無くなったペンシルゴンが、耐久限界を迎えた魔槍を放り捨て、アイテムインベントリより取り出すは、武器カテゴリー『大槍』に属し。
其の
「はぁぁぁぁぁ!!!」
自身より巨大なサイズの敵に対するダメージ補正が入る大槍に、ペンシルゴンは装甲貫通効果を
「ペンシルゴン、まだ!?」
「くっ……思った以上に堅い!けどっ!」
ロープが耐久限界を告げるアラートが鳴り響き、オイカッツォが叫ぶが、ペンシルゴンは己のやるべき事を成す。
「根性見せなさい、巨人殺し!」
巨人殺し・串刺しの耐久値が、ブロークン・シェルによる代償と、堅牢な甲冑麒麟の腹部にぶつかり合いでゴリゴリと減らされる中、彼女の一刺しが遂に堅牢な腹部装甲を剥がし、巨大な円状の砲撃部位らしき物が、白日の元に晒される。
「腹部が剥がれた!」
「よしっ!このまま決めちゃおう!」
が、其の直後。露出した砲撃部位にエネルギーが集束するや、甲冑麒麟は其処から細い枝分かれしたビームを、胴体からはミサイルを四方八方に放ち、自身を縛るロープを断ち切るや、狂乱するかのように暴れ始めた。
「ッ!!!」
「おわぁ!?ロープが全部逝った!」
天王に跨がって騎乗テクニックと共に、ミサイルとビームを避けるオイカッツォは、ペンシルゴンに合流する。
「ってか何アレ!?発狂モード!?距離取って態勢調える!?」
「おそらく、腹部装甲破壊がトリガーの可能性が高いね。其れと………このまま『轟沈』させるよ。長引いたらウェザエモンと戦ってる三人に、被害が及ぶ可能性が高い」
ペンシルゴンがそう言ったのは『半分』の理由だ。あの発狂具合では時間が掛かれば掛かる程、状況が不利になっていくのは明白で。
「で………もし私達が麒麟を仕留め損なったら、サンラク君と
「!」
そして残り半分は『外道節なサンラクと京極』を踏まえての理由である。あの二人ならば━━━━「えー!?俺と京ティメットはウェザエモンを仕留めたのに、機械馬一匹倒せなかった奴等が居るってマジですかぁ~!?」とか「へぇ~??お馬さんの足止めするのに手一杯だっだんだぁ~??ごめーん、僕達三人でウェザエモン倒しちゃった♪」とドヤ顔で煽る。いや、確実に半年は煽ってくる。
「あ、段々ムカついてきたわ!」
「其れに関して、私も同感だよ!じゃあ、やりますか!カッツォ君!天王ちゃん!」
「あぁ、やろう!ペンシルゴン、天王!」
『了解!』
「「『ジャイアントキリングだ(ダ)!!!』」」
逃走より反転。二人と一頭の挑戦者達は、荒れ狂いし甲冑麒麟を沈めるべく、走り出すのだった……。
甲冑麒麟を打ち倒せ