ウェザエモンと戦う者達は
ペンシルゴンとオイカッツォが、ペッパーが呼び出した
サンラクと
「オラァ!」
「はぁぁぁぁぁ!!!」
翡翠の刃が斬撃の軌跡を描き、戦角のパリィから紅白の連斬が調を刻み、亀裂が入ったウェザエモンの鎧に切り傷が走り、ダメージ表現たるポリゴンが溢れる。
「どーしたどーした、ウェザエモン!御得意のロボット剣術が通用しなくてショックかぁ???フハハハハハハハ!」
「残念だったね、ウェザエモン。僕も君の動きに随分慣れてきたよ。ほらほら、隠してる技でも出したらどーだい???アッハハハハ!」
外道二人が嘲笑い、各々の得物で鋒をウェザエモンに向けていた。サンラクは二本の
クライマックスブーストを始め、自身の体力と空腹度が少ない程に、スタミナ・器用・技量を減少し、筋力・敏捷・耐久力を上昇させる『
同じく体力の残量と空腹度を参照して、自身のスタミナが少ない程に、スタミナが底を尽き掛けている状態である程、敏捷・筋力・幸運を上昇させる『
京極は
自身の此処まで得たウェザエモン戦の経験に、持ち前の技量と
(まぁ………此処までノーダメだったアイツにダメージが入って、鬱憤晴らせるのは良いんだが。何か『オカシイ』んだよな)
サンラクが感じたのは、ウェザエモンの
敵は反撃してきているし、攻撃速度も相変わらず超速と理不尽攻撃。現在はペッパーが居ない為に、雷鐘と灰吹雪を防ぐ手段が無く、サンラク・京極共に1回ずつ死亡したが、御互いに蘇生アイテムを投げ付けて、戦線離脱を回避出来ている。
だからこそ。クソゲーマー・サンラクは思う━━━『ウェザエモンとの戦いは、ただ体力を削り切って終わる可能性は極めて低い』と。
神ゲーたるシャンフロが、第一段階と第二段階を耐え抜いた褒美として、ユニークモンスターの体力を削り切らせて終了………で、終わらないのでは無いのか。そんなゲーマーとしての予感を抱き。
「サンラク!京極!スマン!」
「ペッパー、おせーぞ!ウェザエモンは大分削ったぜ?」
「で、重役出勤のペッパーは今の今まで何をしてたの?」
「ちょっと墓参りに行ってた!」
「墓参り!?彼処の小さな墓に!?」
「何か、そうしなきゃいけない気がしてさ!」
「おいおい、そんなんで大丈夫かよペッパー…」
此処で戦線を離れて、あろうことか墓参りをしていたペッパーが、漸く外道二人と合流した時━━━━『其れ』は起きた。
『…………ァ………リス…。……ゥェザ……リォ……』
「!」
サンラクの胸に煌めく、エムルの宝物である『識別片のネックレス』と。ペッパーが全身に纏いし『
『………………
「………は?アリス………?」
「約束……」
「無事だった………?」
サンラク・ペッパー・京極の三人は武器を各々握ったまま、ウェザエモンの様子を窺い。同時に其の会話が何かが起き得る可能性を疑って、構えを続ける。
『ア……リス、断片認証キー………『アリス』。………そして『
ウェザエモンが言葉を発している。紡がれた、継承された、そしてアリス。サンラクとペッパーがウェザエモンに対する、何らかのフラグを踏んだ可能性が高い。
だが、イベントは進行する。ウェザエモンの言葉は止まらない。
『悠久は果てなく……我が身朽ち、果て…………彼等の行く末、見ざれ…ど……。確かに………『フロンティア』は………成され、成されて………。人の『想い』、は紡ぎ……紡がれ、ていく……』
「おいおい!?其所で
「まさかこんな状況で
「ッ………!サンラク、京極!何を仕掛けてくるか解らないから、注意してくれ!」
ペッパーは天将王装を纏ったまま、レディアント・ソルレイアの飛翔機能によって上空に舞い上がり。サンラクと京極は共に、各々の得物を握り直して備える。
そしてウェザエモンは、まるで何かを『新たに』決心するかのように、弾けた己の鎧に残った肩当てを、自らの手で剥ぎ取り投げ捨て。利き手で大太刀を水平に構え、残された片手を峰に添えて、そして三人の開拓者へと言い放った。
『行くぞ……『
我が誓いを、我が『
其の一言に、サンラク・京極・ペッパーの脳より絶大な衝撃と、背筋を雷が走った様な警鐘が、過去最大級の音量で鳴り響く。
「……へっ!此処からが本当の本番ってか!良いぜ、掛かってこいよウェザエモン!」
「ウェザエモンの本気か…、乗り越えてみせる…!」
「絶対に油断したりしない……!」
墓守のウェザエモン、最後の戦い。最初に晴天大征のターゲットとされたのは………『サンラク』だった。
腰に刀を添えて、超速の抜刀居合の構えと共に。神速の踏み込みから、代名詞たる『
「ハッ…!御大層な宣言かと思ったら、ただの断風じゃ…『
なぞりし神速の抜刀居合の最中、空いた手を模して膨れ上がる白い雲の巨腕。
「えっ!?何でいきなり『別の技』!?」
「晴天大征……何かが『違う』!」
「おいおい、何焦ってんだウェザエモン!」
地面を薙ぎ払う白の質量攻撃を、ダッシュで躱わしたサンラク。其の最中に響くは、ウェザエモンの攻撃技の宣言。
『
「其れは━━━ボーナス行動ッ!」
降り注ぐ雷撃を、上空から強襲したペッパーが吸収していき、再び天へと飛んで行く。だが、今さら雷を吸収されようが、ウェザエモンは気に止める事はしない。
『
「オイ、技の
二連続の抜刀居合を紙一重と跳躍、首掴みを回転キックで腕を弾く。しかし、ウェザエモンは止まらなかった。
『
「全力ダッシュ!」
「灰吹雪は……俺が対応ッ!」
差し迫る火柱の龍から回避し、上空に浮き行きて黒雲となり。灰吹雪による追撃前に、ペッパーが人間扇風機の要領で、黒雲を打ち払う。
だが、ウェザエモンの本当の
『
「ッ!?速い━━━━!」
そう。幸運スタミナ敏捷に比重を置くステ振りをしたサンラクの、其の全力全開ダッシュに意とも容易く追い付いてきたのだ。其れだけでなく、既に両手は大太刀の柄を握り締め、刀身は天に掲げられている。
『
「明らかに必殺技って感じの其れを、食らう馬鹿はいねーだ………あれ?」
武器をインベントリに放り込み、万が一に備えて再誕の涙珠を取り出した瞬間、サンラクに襲い掛かったのは、自分の両足裏が粘着テープによって、地面に吸い付く様な感覚。其れによって彼は、『其の場から一歩たりとも動けなくなったのだ』。
おまけに『
「サンラク!?」
「どうした、サンラク!」
「動けね……ッ!!」
ぞわりと感じた濃密な死の気配、其の刹那にサンラクは手に持った再誕の涙珠を空に放り投げて、己の死に抗うべく戦角兜【四甲】による、不安定な状態での頭パリィを慣行し。
『
振り下ろされるは所謂『大上段の斬り下ろし』。剛たる剣の極致にして、回避不能の状況下なれば、其の一刀は文字通り龍ですらも両断し、二の太刀を必要としない。
頭パリィで繰り出した、戦角兜の象徴たる四角の内の三本が硝子細工のように『砕け散り』、サンラクの胴体を切り裂き、腰に纏う命湖鱗の腰当を仏陀斬って『破壊した』。
(何だそりゃ………天晴だか何だか知らねぇが、此の技は『ヤバすぎる』………!)
暗転する意識、聞こえるはペッパーと京極の声。
(だがな、ウェザエモン………!『此の程度』で、俺が倒れるタマだと思うな!)
僅かに残った視覚が見据えるは、数瞬前に己が放り投げた再誕の涙珠の輝き。開拓者達は闘志を持つ限り、其の心は決して折れない。
そして其れが
墓守が課す、最終試練を越えていけ。