晴天大征を越えるには
「「サンラク!!!!」」
墓守のウェザエモンが繰り出した
クアッドビートルの素材から作った、サンラクの頭装備:
しかしレディアント・ソルレイアにより、空を飛翔可能となっているペッパーの目には、何時の間にか空に放り投げられていた、
「究極奥義『
「えっ、どうやったの!?」
地面より跳躍一回転からサンラクが再起するや、京極は其のやり方が気になる様子で声を上げた。
「サンラク!晴天大征はどうだった!?」
「最後の天晴だけは、今までの技と『違う』!」
上空からペッパーの声が響き、サンラクは簡潔に感想を述べた。パリィにより多少耐久値が減っていた戦角兜はまだしも、耐久値をMAXまで回復させていた命湖鱗の腰当は、天晴の一撃で全壊する凄まじい威力。しかしサンラクは、断風や此処までパリィしたり、受けた斬撃の感触から、天晴は根本的に異なる技だと感じたのだ。
(大太刀の刃先、彼処に触れた兜の角が『意図も簡単に』仏陀斬られた。おそらく『装甲貫通』に『ガード貫通』……あと『装甲破壊効果』に加えて、まさかとは思うが『即死攻撃』か?あの天晴ってヤツはよ)
クソゲーマー・サンラクは、此の戦闘中にウェザエモンに斬られた感触を、電気信号とは言えど身体に刻み、記憶に覚えている。数多の
(だが『そんなものよりも』ヤバイのは、天晴の前に発生する『回避阻害の金縛り』だ…!アレのせいで、ウェザエモンとの『向きと位置』を合わせなきゃ、まともに反撃すら出来やしねぇ……!其処に『
機敏だろうが鈍重だろうが、あの金縛りは等しく逃走を封じ、最上段の斬り下ろしを食らう運命を決定付ける。
何より一番最悪なのは、墓守のウェザエモン由来のユニーク
(俺の残り残機は、涙珠と神薬共に5つ……。ペッパーや京ティメットの残機も使えれば、粗方の情報は引き出せそうでは有るが……)
と、サンラクがウェザエモンを見るや、其処には驚くべき光景が在った。其れは丁度一分程前に、ウェザエモンが晴天大征を宣言した時と同じ状態。そして、利き手で大太刀を水平に、残された片手を峰に添える構えで。
『しからば………我が
ウェザエモンの行動、そして台詞。クソゲーマー・サンラクとレトロゲーマー・ペッパーは、同時に晴天大征のギミックの『1つ』に気が付いた。
「オイ、まさか……!?!」
「嘘、だろ……!?」
クソゲーだろうと、神ゲーだろうと、其れは1つのギミックとして存在している。特定の条件を成せるまで継続し、充たせなければプレイヤーに再び襲い掛かる代物。
「「
『
「ラァァァァァイス?!?」
「「いや何で白米!?」」
ハモったゲーマー達の答えに正解と言うが如く、サンラクを掴みに掛かるウェザエモン。動揺しながらも、サンラクは
『
「ペッパー!灰吹雪と雷鐘封じながら、晴天大征の時間を測ってくれ!京ティメットは万が一の時に備えて、スイッチ出来るよう頼むわ!」
「はいよぉ!!!」
「解った!」
タイマーアプリを起動して、晴天大征の時間計測を始めたペッパーと、天晴によって斬り倒された後の事を京極に頼みつつ、ウェザエモンの最終試練を乗り越えるべく、己の身を以て実験を行う。
ユニークモンスターへ勝利する為、此の理不尽とサンラクは戦うのだ。
ウェザエモンの晴天大征が発動し、三人が驚愕の能力を目の当たりにしていた其の頃。
甲冑麒麟に挑むペンシルゴン・オイカッツォ・天王の二人と一頭のパーティーは、腹部装甲をひっぺがされて狂乱した巨大ロボット相手に、轟沈作戦を完遂するべく総仕上げに取り掛かっていた。
「さぁ、とっとと決めちゃおう!カッツォ君、天王ちゃん!」
「轟沈作戦の要、此方は何時でも出来るよペンシルゴン!」
『私モ準備万端デス!』
「ならよしっ!」
飛び交うレーザーなミサイルの嵐の合間を縫い、天王に跨がったオイカッツォが甲冑麒麟の注意を引き付け、其の間にペンシルゴンは巨人ロボットの真横に在る『影』を目指しながら、魔法の詠唱を執り行う。
「汝、縫い留めしもの。我、繋ぎ止めしもの。万象に寄り添い、しかして相容れぬ。万有の黒を穿つ━━━【
槍系武器に付与する魔法の一つにして、敵やNPCにプレイヤーの『影』に穂先を刺す事により、武器の耐久限界で消滅する迄の間、ゴブリンだろうがワイバーンだろうが、其の動きを完全に封じ込められる其の性能故に、最初期に暴れた事で下方修正を受けた其れは、
だが、装甲貫通付与のブロークン・シェルに加えて、麒麟の巨体の動きを封じ込める為に耐久値を削られまくった
「持ちこたえられる時間は、おそらく『10秒』!でも、其れだけ有れば………仕留められる!」
アイテムインベントリからペンシルゴンが取り出すは、己の持つ武器の最後の一本。そして其れはペッパーが、兎の国の名匠鍛冶師たるビィラックに依頼し製作、持ってきてくれた雷嵐を纏いし大槍たる『
ゴーレム・機械系統のエネミーに対する高いダメージ補正追加と、帯電状態の相手に対する装甲貫通効果を持ち合わせた、まさに対甲冑麒麟の特攻兵器たる黒黄金の槍は、ギラリと渋い輝きと其の穂先より雷を放つ。
「いっけぇ、グラダネルガ!
まさに今、ペンシルゴンの心情を反映したかのようなスキルと共に、
直後、黒黄金の穂先が動けない甲冑麒麟の砲撃口に突き刺さって、麒麟の全身を雷が迸り。
「さぁ、最後の仕上げだ…!頼んだよカッツォ君、天王ちゃん!」
ペンシルゴンの声と共に、天王の上に乗ったオイカッツォが跳躍。同時に麒麟は其の巨体を翻し、後ろ脚での蹴りの態勢に入る。
「赤と青、そして黄!三色混合ッ………【
『オイカッツォ!御武運ヲ!』
麒麟の後ろ蹴りに己の足裏を合わせる形でオイカッツォがカッ飛び、まるでパチンコ玉の様に突き刺さった轟雷大槍・グラダネルガの持ち手部分に向かって、黒雷を纏う右拳を握り締めながら、凄まじい勢いで飛んで行く。
「名付けて、人機馬一体パイルバンカー!」
「さぁ、いい加減に沈め!
運動エネルギーを内封した黒の雷が、巨体に突き刺さって放ち続ける黄金の雷と合わさり、打ち据えられた衝撃が爆ぜた。
其れによってグラダネルガの穂先が、奥へ奥へと押し込まれて行き、遂には甲冑麒麟の動力源たるコアを穿ち貫き風穴を開け。グラダネルガは耐久値を大きく減らし、破損一歩手前ながらも何とか原型を保って地面に突き刺さる。
同時に巨人殺し・串刺しが耐久限界を迎え、其の身が砕けて消滅すると同時に、甲冑麒麟を構築していたポリゴンが盛大に爆発し、巨体は崩壊・消滅した。
「ふぃぃぃ~………勝てたぁ………」
「ちょっと休憩、だね……。グラダネルガは、無事かな……」
御互い大技発動とアクションと、スタミナ切れにより動けない二人だが、天王はウェザエモンと戦う三人の方向を静かに見据え。
『ペンシルゴン、オイカッツォ。立チ止マッテイル時間ハ有リマセン。急ガナクテハナリマセン』
そう言うや天王は、其の身を屈めて二人を背中に乗せられるようにする。
「いやぁ、本当に便利だね天王ちゃん………」
「因みに最大何人乗せられるの?天王は」
『……試シタ事ハ有リマセンガ、恐ラク三人位デアレバ、運ベルカト。サァ、行キマショウ』
グラダネルガ回収を後回しに、休憩によってスタミナが少し回復したペンシルゴンが、過剰黒衝の反動で動けないオイカッツォを天王に乗せ、自身も乗り込み。
反転の花園の大地を蹴り上げて、天王は其の巨体を奮わし駆け出すのだ。自身を呼び出したペッパーを、助けて支える為に………
甲冑麒麟戦、此処に閉幕