VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

169 / 1074


プレイヤー達は知るだろう




インパクト・オブ・ザ・ワールド ~世界は英雄達を知る~

其れは唐突な出来事であった。

 

シャングリラ・フロンティアの各エリア、各街の上空に突如として出現した、年季の入った黄金の鐘楼がカラーン…!カラーン…!と、荘厳な音色を世界に響かせる光景に、プレイヤー達は何だ何だと空を見上げる。

 

『シャングリラ・フロンティアをプレイされている全てのプレイヤーの皆様にお知らせ致します』

 

「え、何あれ」

「鐘?」

「ありゃ、ゲーマスからのアナウンスだわ」

「何か不具合でも有ったのかね?」

 

始めたばかりのプレイヤー達は、一体何事だと疑問を。既に古参となったプレイヤー達は、運営からの放送だと落ち着きを保ち。だが、其の後に来たのは予想だにしなかった、衝撃と驚愕の内容だったのである。

 

『現時刻を持ちまして、ユニークモンスター………『墓守のウェザエモン』の討伐を確認致しました』

 

「…………は?」

「はぁああああああああああ?!?」

「えっ、ユニークモンスター!?墓守のウェザエモンって、何!?」

「ふぁぁ!?!」

「マジかよ……えっ、マジかよ……」

 

シャングリラ・フロンティアに7体しか存在しない、理不尽の権化にして各々が最強と謳われるユニークモンスター。其の内の一角が今日、此の瞬間に倒されたというニュースは、瞬く間にプレイヤー達に伝播していき。そして彼等彼女等は、前人未到の大偉業を成し遂げた者達を知る事となる。

 

『討伐者プレイヤー名は『アーサー・ペンシルゴン』・『オイカッツォ』・『京極(キョウアルティメット)』・『サンラク』・『ペッパー』の五名です。

 

さらにユニークモンスターの討伐に伴い………ワールドストーリー【シャングリラ・フロンティア】が進行しました』

 

「えっ、五人……!?」

「嘘だろ、五人で倒しきったってのか!?」

「ペッパー……サンラク……オイカッツォ………情報出てたが何処だっけ?」

「廃人狩りに人斬り……他の連中も阿修羅会に関係あるの?」

「知らないの?阿修羅会って廃人狩りと人斬りに潰されたんだぞ」

「えっそうなの?」

「ワールドストーリー……?なんだそりゃ」

 

ユニークモンスターを倒した五人のプレイヤー達。其の情報を探す者や、調べ直す者が現れてシャングリラ・フロンティアは喧騒に満ちていく……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャンフロ第8の街『エイドルト』。

 

考察クランにして此の世界(シャンフロ)の謎を解き明かさんとする『ライブラリ』の本拠地もまた、運営からのアナウンスによって活性化していた。

 

「まさか此処に来て七つの最強種の、不明枠だった存在の一角が明らかになるとはね…」

「墓守のウェザエモンかぁ…どんなモンスター何だろう?」

「ウェザエモン………上左衛門かな?もしかしてサムライだったり?」

 

『夜襲のリュカオーン』・『天覇のジークヴルム』・『深淵のクターニッド』……大陸全土に派遣している調査班や、様々な情報屋のプレイヤーから得てきた事で判明した、七つの最強種達。つい最近『冥響のオルケストラ』という存在がライブラリにもたらされたのだが、此処に来て新しく『墓守のウェザエモン』が現れた事に、考察クランは盛り上がる。

 

「アナウンスに有った、ワールドストーリーってのは何だろうな?グランドクエストと違うんかね?」

「大まかなクエストが『NPCとの協力をしながら世界を開拓する』で、ワールドストーリーが『世界そのものが進んだ』と見て良いのかな?」

黒狼(ヴォルフシュバルツ)とかに調査依頼出して、調べて貰う?」

「此方も調査班を出したり、ウェポニアにも武器ラインナップの変化が無いか頼んでみますね」

 

ユニークモンスターの討伐により、ワールドストーリーというワードが出た事で、其の辺りの考察を行うクランメンバーも居る。

 

「皆、一度思考を続けながら聞いてくれ」

 

と、此処でクラン:ライブラリのオーナーにして、激渋ボイス魔法少女アバターのキョージュが、一室から姿を表す。

 

「キョージュさん!」

「考察で盛り上がっている所だが、先程討伐者メンバーの一人であるプレイヤーに、墓守のウェザエモンの情報の購入を依頼しておいた。胡椒争奪戦争を見ている者達には御存知だろう……ペッパー君だ」

 

ペッパー。黒毛のヴォーパルバニーを連れ、七つの最強種たるリュカオーン・ジークヴルムに接触、更にはウェザエモン討伐という、前人未到の大偉業を成し遂げるに至った、行動する度に話題と嵐を巻き起こすプレイヤー。

 

「最強種討伐の後なのか、返事は貰えなかったが……今回の一件で私は彼を━━━━ペッパー君を『クラン:ライブラリにスカウトしたい』という意思を、より強固なものとした」

 

情報源や戦力としてではなく、ペッパーというプレイヤー個人をキョージュは『評価』しており。そして彼と此の世界の謎を解明したいという、キョージュ自身の想いが有る。

 

「彼をクランへ迎える為にも、我々は相応の対価を用意しなくてはならない。考察クランとして最高の情報と共に交渉を行い、彼が我々の同志となれる様に頑張っていこう」

『おおおおおおおおおお!!!!』

 

ライブラリの本気を見せてやる。そんな強い想いを乗せて、考察クランのメンバー達は動くのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャンフロ第15の街『フィフティシア』。

 

現在此の街の一画に在る宿屋では、個室を借りる形でシャンフロにおいて最前線を走るトップクラン『黒狼(ヴォルフシュバルツ)』と、シャンフロの武器防具を徹底的に調べ上げる『ウェポニア』、シャンフロの世界に生きるモンスター達を調査する『SF-Zoo』。其の三大クランのオーナー達が集っていた。

 

「わざわざ呼び出して済まない。貴重な時間をいただけた事、感謝する」

「別に気にしてないわ、サイガ-100さん。寧ろ此方から声を掛けるつもりだったもの」

「私もですよ、団長さん。今回の呼び出し、此方にとっても大事でしたから」

 

先に立ち上がって頭を下げた剣聖勇者『サイガ-100』に、シャンフロ最強クラスの呪術師『Animalia』と、眼鏡が似合うインテリな顔立ちの海賊風衣裳とバンダナを頭に巻く、武器狂いの異名を持つ『SOHO-ZONE』が各々声を発する。

 

「今回集まって貰ったのは他でもない。ペッパー君とサンラク君、そしてオイカッツォ君についてだ」

 

三人の名前はAnimaliaの記憶にも新しい。およそ四週間前辺りに、サードレマに向かっていたペッパーにヴォーパルバニーをテイムするクエストを聞きに行き、彼と一緒に居たプレイヤー達の名前である。

 

「サンラクさんは見た感じだけど、ペッパーさんと同じ『リュカオーンの呪い(マーキング)』が在ったわ。しかも胴と脚の二ヶ所に………つまり彼はリュカオーンを相手に、ペッパーさんと『同じ』か『其れ以上』の善戦をしていたという事になるわね」

「私としては、ウェザエモン討伐の報酬が気になりますね。何せ初めてのユニークモンスター討伐という、前人未到の栄光を掴んだのですから」

 

「最前線を走る黒狼(我々)からすれば、トップクランも形無しなのだがな………」と、サイガ-100は溜息を付きつつ、およそ一ヶ月半前にサードレマの蛇の林檎にて、ペンシルゴンと共に相対したペッパーの事を思い出す。

 

(リュカオーンの瞳に刃を突き立て一矢報いたペッパー君。リュカオーン相手に二つ呪いを受けたサンラク君、そして彼等と一緒に居るオイカッツォ君。ユニークモンスターを倒した以上……三人共、相応の実力を持っていると見た方が良いだろう)

 

「サードレマでの阿修羅会との一件の後、サイガ-0に聞いてみたが、どうやらサンラク君と知り合いらしくてな。フレンド登録を結んだおかげで盟友救助(フレンドワープ)が出来ていたらしい」

「あぁ、だからあの時にサイガ-0さんが現れた訳ね。其れとペッパーさんなのだけど、私の身内にフレンド登録をした子が居た事がつい最近判って、其れを利用してコンタクト出来ないか依頼してるわ」

「取り敢えず、交渉の場を設けたい所ですね。スカウトや情報を得るにしても、先ずは舞台を整えなくてはいけません………」

 

トップクラン達の話し合いは続く。各々の目的を果たす為に…………。

 

 

 

 

 

 






強者共が動き出す


おまけ

「あんのクソ姉御がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

全てを奪われ、文字通り一文無しの頭寒貧になったオルスロット君。ウェザエモンという情報アドバンテージすら消滅した結果、ブチギレ発狂


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。