VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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集う者共




旅する狼達は水晶に集いて、会議は始まる

「あ、ペッパーはん!こんばんわなのさ」

「こんばんわ、アイトゥイル」

「目覚めたようじゃの、ペッパー」

「こんばんわ、ポポンガさん」

 

梓からペッパーと成り、兎御殿の休憩室で目覚めたペッパー。其処にはアイトゥイルとポポンガ、そしてサンラクにエムルが居た。

 

「お、直ぐ来たなペッパー」

「此れでもクランリーダーなんでね……。じゃんけんで負けた上、このままやる事やらずにバックレたら、サンラクは煽るでしょ?」

「良く解ってらっしゃる」

 

ニンマァァァァァと、今ならブン殴っても正義は此方に有りそうな顔をするサンラク。だが暴力を用いて訴えるのはあくまで最終手段であり、人間無闇矢鱈に流血沙汰を起こしていたら、命が幾ら有っても足らない。

 

「コホン……で、サンラク。エイドルトの何処で話し合いをするって聞いてるか?」

「其処に関してなんだが、ペンシルゴン曰く『蛇の林檎・水晶街支店』で行うんだとさ。後、俺にもアイツからのオーダーで『エムルを連れて来て』だとさ」

「其れ絶っっっっ対、嫌な予感しかしないんだが?」

「同感だわ」

 

実際パワーレベリングを共に行った際に、アイトゥイルとエムルを間近で見ていたのがオイカッツォであり、自分に対するヘイトを少しでも軽減しようと、ペンシルゴンと共謀したのだろうか。

 

「じゃあ、行きますかサンラク。其れと……逃げるなよ?」

「ハッ、お前もな」

 

御互いに釘を打ち込む形で逃がさない様にしあい、エムルが開いたゲートを使って、二人と二羽と一匹のパーティーはエイドルトに向かったのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エイドルトに到着し、サンラクは頭装備をエムルを隠せる様に『祭衣・打倒者の長頭巾(フェスタ・メジェ・カフィエ)』に切り替え、ペッパーは現状呪いの装備と化している影法師の愉快合羽(グルナー・ト・シェミンコート)にアイトゥイルとポポンガを隠し、蛇の林檎・水晶街支店に到着。

 

サードレマの店と顔が同じマスターに名前を出すと、2階にある大部屋に案内され。ドアを開くと、ペンシルゴンとオイカッツォ、そして京極(キョウアルティメット)のクラン:旅狼(ヴォルフガング)メンバーが全員揃っていた。

 

「やぁやぁ、ペッパー君。直ぐに対応してくれるとは、リーダーの素質が有るよ君は」

「バックレたらバックレたで、お前等全員何してくるか解らないからな。取り敢えず、全員集合してくれたのには感謝してる」

「僕も少しくらい楽になりたいからね。まぁ、血生臭い事に成った時は任せてよ」

「其れ絶対切り捨てたいだけでしょ……」

「奇遇だな、カッツォ。俺もそんな事考えたわ」

 

サンラクが装備を切り替え、エムルはマフラーへ擬態し。他愛も無い会話を重ねてワイワイと言い合い、近況報告をしながら待つ事およそ15分。

 

ガチャリと扉が開き、ゾゾゾゾゾ……と一番最初に入ってきたのは、サードレマでペッパー・サンラク・オイカッツォが遭遇したAnimalia。ギョロリとした目玉でサンラクとペッパーを見定め、飢えた狼すら逃げ出す形相と、ガルル……と喉を鳴らして居る。

 

其の後ろにはウサ耳やイヌ耳のカチューシャ、果ては肉球グローブでコスプレした、血走る眼と飢える肉食獣の如き、呼吸を放つプレイヤー達の群れ。そして半分死んだ目をしている、レーザーカジキの姿が在った。

 

「レーザーカジキ!」

「あ、ペッパーさん!」

 

希望の光を見付けてか、真っ先にペッパーの元へと走り寄るレーザーカジキ。

 

「ペッパー、其処の彼とは知り合いかい?」

「まぁ、そうだね京極。因みに彼はフリーなんだとさ」

「え、と……其の……『姉さん』が御迷惑を掛けてたら、すみません……」

 

そしてペンシルゴンがレーザーカジキを、ジッッッ………と見つめているが、最近のアイツは大体こんな感じだから馴れた方が楽になる。そしてAnimaliaと愉快な仲間達の視線は、マフラーに擬態しているエムルに、愉快合羽の中に居る筈のアイトゥイル目掛けて注ぎ込まれていた。

 

「おぅエムル、ヴォーパル魂の見せ所だぞ」

「其れは愉快な自殺なんですわ!?」

「アイトゥイルとエムルに握手したい方、一列に並んで下さい。過度なおさわりをした場合、直ぐに取り止めますから御注意を」

「ペッパーはん……格好良い事を言ってる様だけど、根本的な解決に成ってないのさ………」

 

ペッパーが音読及び睨みを効かせて、レーザーカジキがAnimaliaに何とか交渉する事により、どうにかヴォーパルバニーとの握手会が成立。時折彼等彼女等が、度を越えた『モフり』をしようとするものの、ペッパーの目が光る事により、大事には至らず済み。

 

そして握手会の最中に他の来訪者達もやって来た。

 

「来たぞ、ペンシルゴン」

「やっほー、モモちゃん。相変わらず削ってるねぇ?」

「やかましい!?会う度に毎度の如く、指摘するんじゃない!」

 

トップクランの1つ、黒狼(ヴォルフシュバルツ)のリーダー・サイガ-100、そしてクランの切札たる『最大火力(アタックホルダー)』のサイガ-0。現実で知り合いらしい会話をするペンシルゴンとサイガ-100を見て声を掛ける。

 

「御久し振りです、サイガ-100さん」

「やぁ、ペッパー君。最強種の一角を崩したという、運営アナウンスは聞いていたよ。あの時の君が其処まで至るとはね……」

「皆のおかげですよ」

 

サイガ-100と握手を交わし、そしてSF-Zooの握手会に目を通しつつも、ペッパーはサンラクとサイガ-0の方を見る。

 

「サンラクさん、こんばんわ。えっと……最強種討伐、おめでとう………ございます」

「あ、はい。ありがとうございます、サイガ-0さん」

 

何故か張り詰めた感じであるサイガ-0に、警戒色を示しているサンラク。おそらくサードレマでの阿修羅会騒動からの救難信号の一件で、礼を言う事無く消えてしまった事を根に持ってたのだろうか?

 

「おや、私と彼が最後だったかな?」

「そうみたいですね……何とか集合時間には間に合って良かった」

 

そして最後に聞こえたのは、激渋ボイスとペッパーにとっては『聞き覚えのある声』で。見た目はロリータの魔法少女と、海賊を彷彿とさせるバンダナや衣裳に身を包む、眼鏡の似合うインテリヤクザが入ってきた。

 

「いやはや。早急に対応してくれて助かったよサンラク君、そしてペッパーく………ん?」

「………………………」

「………………………」

 

ペッパーとインテリヤクザ、もとい『SOHO-ZONE』が顔を見合い、そして叫んだ。

 

「もしかして『ソウちゃん』……!?」

「あ、まさか『アズサ』か!?」

「何てこった……!久し振り、中学以来か!?ハハハ!」

「まさかお前が話題と嵐を巻き起こしてる『ペッパー』だったなんて、なんちゅう因果だよ…!」

 

数年振りに再会した親友に、ハリウッド映画である抱擁をし合う青年二人。皆の視線が気になるが、そんな事はどうでも良かった。

 

「ペッパー君、武器狂いと知り合いなの?」

「同じ中学の同級生。武器のデザインとギミックが秀逸なんだよ彼」

「以後御見知り置きを、アーサー・ペンシルゴンさん」

 

ペコリと御辞儀をしたSOHO-ZONE。そしてペッパーはキョージュの方を見る。

 

「御久し振りです、キョージュさん」

「うむ。久し振りだね、ペッパー君。対応が早くて助かった」

「さて……全員揃ったみたいだし、早速始めようか?プレイヤーの皆さん」

 

ペンシルゴンが司会進行をスイッチして、全員が席に座りつつも、ペッパーはアイトゥイルとエムルの握手会を監視し、他のプレイヤー達を見た。

 

シャンフロ最前線を駆ける、トップクランの『黒狼』。

考察クランの最大手にして、多数のクランとの繋がりを持つ『ライブラリ』。

動物の生態を徹底的にリサーチする、動物狂いながらも確かな実力を宿す『SF-Zoo』。

独自の方程式を確立し、武器と防具の耐久値計算を可能とした『ウェポニア』。

そしてシャンフロ史上初めて、ユニークモンスター討伐の栄誉を掴みし、5人の英雄が創設した『旅狼』。

 

此処に5つのクランによる、話し合いが幕を開けようとしていた………。

 

 

 

 






話し合いが始まる


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