会談はまだまだ続く
「もし、此方の要望を受け入れて下さるなら。ペッパー君個人に、我等『ウェポニア』が手にしている切札。盾の
「勇者武器?な「「盾の勇者武器(だと)!?」」うぇぁい!?」
武器狂いの異名を持ちし、クラン・ウェポニアのオーナー『SOHO-ZONE』の爆弾豪速球に、ペッパーが反応するよりも更に早く、サイガ-100とペンシルゴンの双方が声を上げた。
「え、マジで?マジで持ってんの武器狂い?」
「はい。何せ所持者を出さないように厳重管理と、発見した場所にウェポニアのクランを建てた程ですから。いざと言う時に備えておきました」
「まさか他にも勇者武器が在ったとはな……」
二人がウムム……としているので、ペッパーは改めてSOHO-ZONEに話を聞いてみることにする。
「あー……えっと、SOHO-ZONEさん。勇者武器って何ですか?」
「あ、其処からですか……コホン。勇者武器と言うのは、シャンフロ内でも現状『6種類』しか確認されておらず、各武器種に1つずつ存在すると言われる、ユニーク何たるかを体現するアイテム。各々を装備すれば特殊な職業として『勇者』が解禁され、そして勇者武器達は『原始的かつ根源的な願い』に答え、
武器狂いの説明だけで、ライブラリのキョージュの目がキラキラに輝いており、逆にペンシルゴンはハッスルし始めて、面倒臭くなったエセ魔法少女を遠い目で見ている。
「今現在判明している勇者武器の所持者は『5人』。先ず廃人狩りのペンシルゴンさんが持つ、槍の勇者武器『
黒狼の団長たるサイガ-100さんが所有している、剣の勇者武器『
同じく黒狼に在籍している草餅さんが、弓の勇者武器『
現在活動しているプレイヤーの中では、最高峰の鍛冶師として知られるイムロンさんが、槌の勇者武器『
最後に
つまり剣・槍・弓・槌・杖の5種類だと思われていた勇者武器に、新たに盾が加わった事でペンシルゴンとサイガ-100は驚いた………という訳らしい。
(さて、どうしようか………)
勇者武器というユニークアイテムを、マッドネスブレイカー本体と情報を提供すれば入手出来るが、SOHO-ZONEの説明からペッパーは自身が提示する物が『価値として吊り合わない』と感じた。
無論勇者武器其の物にも興味は有り、盾を用いた新たな戦法やスタイルを模索するのにうってつけである。故にこそ。武器狂いを相手に、此方も保有している手札の1つを切りに行く。
「………SOHO-ZONEさん、今俺の手元にはマッドネスブレイカーは在りません。ですが、マッドネスブレイカー……其の前身である『ロックオンブレイカー』。其のユニーク小鎚を産み出す『製造方法及び特性』を記載した『秘伝書』。其れを御見せする事ならば、出来ます」
そうして掌に現れた『ロックオンブレイカーの製造秘伝書・改参式』を手に取り、ペッパーはSOHO-ZONEへ見せる。
「本、ですか?」
「此れは俺でないと鍛冶師がロックオンブレイカーを作れず、アイテムインベントリに含まれていない上、PKによって手元から離れる事もない代物です」
「成程……」と彼は本を手に取って、示された内容を黙読。そして書かれてある内容に、段々と目を丸く徐々に口が開いていく。
「ハハハ……!とんでもない武器だ、マッドネスブレイカー……!此程とは畏れ入る……!因みに材料と料金を持ってくれば、ペッパー君に生産依頼をしてもよろしいか?」
「はい、大丈夫です」
「解りました。取引成立と行きましょう」
差し出された手を握り、此処にウェポニアとペッパーの交渉は終結した。
「SOHO-ZONE君、随分と上機嫌だな。あの本は相当な物だったと御見受けするが」
「えぇ、えぇ。シャンフロには、まだまだ私の知らざる武器が沢山有ったのだと解ったので、調べ尽くせる幸せを犇々と感じましたから」
ホクホクかつ満面の笑顔で自分の席へ戻ったSOHO-ZONEを見て、サイガ-100はペッパーの持つ本が気になる様子である。
「私からの交渉は以上ですよ、Animaliaさん」
「其れじゃあ私ね。ではペッパーさん、そしてサンラクさん。始めに宣言して置くけれど、SF-Zooは可能な限り貴方達の要望を『全て呑む用意が有る』わ」
「む……」
「成程」
やられた、会話の主導権を相手に握られたと、ペッパー&サンラクは思った。初手から自分達が繰り出せる『最高の手札』をぶつける事で、交渉を優位に進める手口をドラマ以外で初めて見せられた気分だ。
「ペッパーさん……サンラクさん……」
「大丈夫だ、レーザーカジキ。そして其の条件と引き替えに、君のお姉さん……Animaliaさんが求めているのは『ヴォーパルバニーをテイムするクエストの開示』。もしくは……」
「其のヴォーパルバニーの故郷『兎の国・ラビッツへの再訪問の方法』……って所か?」
サンラクの発言に、Animaliaの目の色が変わる。此れに関しては『墓守のウェザエモン戦』の前に、サンラクと出逢う機会が有ったので相談済みだ。動物好きな彼女とSF-Zooの面々なら、ヴォーパルバニーの国に再度来訪出来る様になれば十分過ぎるだろう。
「其れに関しちゃ、当人……いや当兎かな。エムルに話を聞いた方が早いと思うんだよ。だから握手してる、其処の二羽を返してくれると助かるんだが………良いか?」
サンラクの要求に、Animaliaは数分程悩みに悩んで悩みまくり、名残惜しそうに兎の姉妹達を解放して、各々付き人の元へと戻る。
「なぁ、エムル。質問良いか?」
「はい、サンラクさん。何ですわ?」
「確かラビッツって、時々プレイヤー……じゃなくて開拓者達を招いて『蛇退治』をさせてるって話をしてたよな?つまり、ラビッツって別に『人間立入禁止の御断り』って訳じゃ無いだろう?」
レーザーカジキも先日受注した『ユニークシナリオ【兎の国ツアー】』。致命の名を冠する武器で、自身よりレベルの高い敵モンスターを倒す事で発生する、初心者クリア推奨のユニークシナリオであり、同じくユニークシナリオだが、幾度も訪れられる『兎の国からの招待』以外では兎の国・ラビッツを訪れる事は出来ないとされている。
そしてどさくさに紛れ、1人逃走を企てたオイカッツォは
「多分そーだとは思い、ぴぁっ……」
「かわゆい……はぁ………」
「………エムル、アレは無視した方が良いのさ」
水晶らしきアイテムで、アイトゥイルとエムルを撮影しているAnimaliaに対し、危機感を抱くエムルに助太刀するアイトゥイルだが、寧ろ逆効果となってしまいデロンデロンの放送事故気味の笑顔をしている彼女に、此の場に居たほぼ全員がドン引きの表情をしている。
「でだ、エムル。一度蛇退治に招いた連中を、もう一度ラビッツに招待する……なんて事は出来るか?」
「むむむむ………其れはラビッツの『せーじ』に関わるので、何とも言えませんわ。でも、サンラクさんがお願いすれば、何とかなるかもしれませんわ!『エードワード』おにーちゃんは『じゅーなんなしこーのいんてりー』なんですわ!」
アイトゥイルから聞いた事の有るペッパーは、ビィラックやシークルゥに並ぶ実力者、そしてヴァイスアッシュの長男坊たる、エードワードの存在が俄然気になってきた。
「今から聞く事って出来たり?」
「はいな!其れはもう迅速に、そしてじっくり聞いてきますわ!」
「あぁ………」
「ペッパーはん、失礼するのさ」
「はいよ」
「アッアッア………」
明らかにAnimaliaを恐れている雰囲気で、エムルは木造の壁にゲートを創り出し、脱兎の如く逃げ去っていき。1羽残されたアイトゥイルは、ペッパーの愉快合羽の中へと潜り込んで避難し。其の様子を見ていたAnimaliaは目に見えて解りやすい、落ち込んだ表情でションボリとしている。
「………というらしいんだが、ラビッツ再来訪はエムルが話を聞いて、戻ってくるまで保留って事でも良いか?」
「むぅ、仕方無いわね………」
取り敢えず、Animaliaの用件に対する時間稼ぎは出来たので、良しとしておこう。そして最後にペッパー達が見つめる中、此処まで発言をしてこなかったライブラリのクランリーダー・キョージュが、遂に口を開く。
「さて……最後は私だね。ライブラリが求めているのは『墓守のウェザエモンに関する情報』だ。クランメンバー達が様々な考察を出し合い、議論を重ねてはいるが、どのような存在で如何なる背景を持っているのか、一切判明していない完全未知のユニークモンスター」
そう言いつつ、キョージュはユニークモンスターの名前を呟き、情報を此の場に居る全ての者達に伝達する。
「七つの最強種『
が、君達が討伐した『
故にと。キョージュはペッパーを、サンラクを、オイカッツォを、京極を、ペンシルゴンを見て、こう言ったのである。
「此れは私の
ウェザエモンの
最後に立ち塞がるは、最強クラスの舌戦人